保育園経営の基礎知識【資格や開業の手順・収入・リスク・失敗例は?】

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経営、それも一つの手段

今回は保育園を経営するにはどうすればいいのか?というお話です。

2000年以前、保育園経営は社会福祉法人に限られていました。

しかし、規制緩和によって株式会社やNPO法人にも門戸が開かれることになりました。
まだまだ株式会社の参入は少ないですが、保育園経営に関してはハードルが低くなったのは確かです。

今回は、保育園経営を始めるにあたっての基本的な知識についてまとめました。保育園経営に興味のある方は是非ご一読ください。

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保育園を開業・経営するということ

待機児童解消が叫ばれる昨今、保育園経営に対しては働く大人たちの需要が高まっているのは間違いありません。
「保育園を経営する」、素人が考えるイメージでは学校を設立するぐらいの感じがしますよね。

保育園の「開業」自体は、実はそれほど大変なことではありません。

経営学では、ビジネスに必要な3つの経営資源として「ヒト・モノ・カネ」があげられています。
保育園の規模にもよりますが、小規模な園であれば、施設(モノ)や職員(ヒト)、初期の資金(カネ)を集めることに対しては、比較的壁が低く見えます。もちろんやることは多いですが…

しかし、「経営」となると難しい部分も多々あります。

子どもをどれくらいの人数受け入れ、どの様な方針で保育していくのかなど、考えるべきこと、試行錯誤を繰り返さねばならないことだらけです。
さらに、低賃金や過酷な労働環境が原因で保育士不足が加速している現状を見ると、保育士を適切な労働環境で雇用しなければならないことがよくわかります。

それでは、具体的に保育園の開業から経営までの流れ、やりがいや苦労について見ていきましょう。

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保育園経営の基礎知識(1)資格・経験、初期資金

先に書いたように、保育園は開業そのものは難しくありません。

まず、保育園の開業・経営には保育士資格も実務経験も必要ありません。
事実、保育の資格や経験がないまま保育園を経営し成功している方もいらっしゃるそうです。
もちろん経営にあたっては有資格者が必要ですから、自らで資格を保有していることに越したことはありません。

また、保育園として使用する物件さえあれば他には特に必要ないので、初めの資金が少なくても保育園は開設できます。

初期投資の為の資金が不足するようであれば、銀行に融資を申し込むこともできます。

保育園経営の基礎知識(2)認可or認可外?設立基準について

施設や人材を確保出来たら、保育施設を新規で設立する場合は各自治体に届出を出さなければなりません。

自治体の規定に沿って、施設の案内図や施設配置図、職員の名簿などの書類の提出が求められています。

(例:東京都八王子市ホームページ「認可外保育施設の開設をお考えの方へ」

社会福祉法人を設立して認可保育園を開設する場合には、独立行政法人・医療福祉機構から低利の融資が受けられます。
また自治体からの補助金が交付され、税制に関しても優遇されます。

そのかわり、国や自治体の定める基準をクリアしなければなりません。
園児の定員・保育室や園庭の広さ・園児1人あたりの保育士の数などが細かく定められています。

この基準が守られていない施設は、優遇措置を受けられない認可外保育園となります。
しかし認可外だから悪いということではありません。

より開業の壁が低いのは認可外保育園ですし、特色ある保育を目指してあえて認可外として運営されている保育園も数多くあります。

認可と認可外、いずれの保育施設を経営するにしろ、子どもの安全や保護者の信頼を第一に考えた園づくりを考えていかなければなりません。
子どもの命を預かる責任ある事業ですから、決して軽い気持ちで始めてよいことではないでしょう。

届出が受理されれば、受け入れる園児の募集や、ホームページの作成、様々な設備の設置など、本格的な経営に向けて準備を進めることになります。

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保育園経営の基礎知識(3)コンサルタントを活用

開業は手順だけ見ればそこまで複雑ではありませんが、経営の経験も保育の知識も全くないので先が不安…という方。

保育園開業を手助けしてくれる専門のコンサルタントを頼るのもひとつの選択肢です。
保育園事業経営の実績とノウハウが豊富なコンサルタントを選ぶようにしましょう。

いくつかご紹介しておきます。

  • スクルドアンドカンパニー
    認可保育所の直営や保育園のフランチャイズ展開を行っているスクルドアンドカンパニー。園児獲得力が高いと評判です。

  • ちびっこランド
    全国展開・500園を超えるフランチャイズで知名度が高いちびっこランド。豊富な実績と行き届いたサポート体制が人気。

  • フランドル
    1983年から一貫して保育園事業のコンサルティングを続けてきたフランドル。フランチャイズはちょっと…という人にはオススメです。

自分だけでは自信がない人は一度相談してみるのもいいかも知れません。

※「経営コンサルタント」事業を行っている会社は、求人サイト・転職サイトや派遣業を運営しているような会社とは別物です。
調べる際は、その違いにも注意してくださいね。

保育園経営の基礎知識(4)保育園経営の収入や年収

さて、保育園の開業まで実現させたら、いよいよ本格的に保育事業に取り組みます。

もちろん保育園の経営も自らの生計がかかる「ビジネス」である以上、金銭のことは真面目に考えなければなりません。

ネットなどでは「保育園経営は儲かる!」、「近所の保育園の理事長は羽振りがいい!」といった情報もありますが、実際保育園の経営は「儲かる」ものなのでしょうか。

認可保育園であれば補助金を活用する

認可保育園の場合には、補助金によってほとんどの運営費が賄われます。

園児の数が多くなればそれだけ補助金の額も大きくなるので、収入は増える仕組みです。

しかし、基準を満たす最低の人員で実際に保育を行うのは職員にも園児にも負担がかかります。
手厚く人員を配置し、尚且つ人件費のかかるベテランの保育士を多く抱えて経営していくと、その分経費がかかり赤字になってしまう施設も珍しくありません。

(それなら人件費を抑えればいいのでは…?それが日本全体で問題になっている、保育士の低賃金問題の1つの要因になっています。)

簡単に「大儲け」はできない

それでも黒字となっている保育園は、例えばどのような経営手法をとっているのでしょうか。

例えば、出来るだけ若い保育士を配置し非正規雇用の保育士も多く雇用するなど人件費を切り詰め、理事長(経営者)が園長を兼任し、事務長や職員も身内や同族で固める方法。

そういった事で経費を削減すれば、社会福祉法人の認可保育園ならかなり利益を生むことができます。

一方、認可外や認証保育園、託児所などの小規模保育園は、ほとんどの施設が慢性的に経営が苦しいと言われています。
補助金はあっても少額ですし、運営費が足りない状態で税制の優遇措置なども無いため何とかやりくりする施設が多いそうです。

保育園経営の基礎知識(5)魅力・メリット

保育園の経営で簡単に高収入を実現することは難しいとは言いましたが、金銭的なメリットもないわけではありません。

例えば…

  1. 他の事業と較べると初期投資が少なくて済む上、利益率が比較的高く投資回収率が高い

  2. 在庫を抱えるリスクがなく、大きな設備投資も必要ない

  3. 園児たちは一度入園すればよほどの理由がない限り卒園まで在籍するため、安定した経営が見込める

などのメリットが挙げられます。

例えばものを作る製造業と比べてみましょう。

製造業は、最初に工場を建て高額な機械を設置するためのお金がかかり、製品が売れなかった場合にそれを保管しておくための倉庫の維持費がかかり、景気が悪くなれば売り上げが落ちるという危険性にさらされています。

保育園経営には、このようなリスクが少ないといえそうですよね。

保育園経営は社会貢献

そういった経済的なメリット以外に、最大の魅力は自分が思う「理想の保育」を追求できるということではないでしょうか。

女性が安心して働くことができる社会づくりに貢献でき、子供たちがさみしい思いをしなくても済むためのお手伝いができるのです。

また子供好きな方なら、純粋に子供たちと触れ合えるお仕事は魅力いっぱいだと感じるかもしれません。

保育園経営の基礎知識(6)リスク・デメリット

特別な資格も必要なく、比較的少額の資金でも始められる。

魅力の多い保育園経営ですが、やはりリスクやデメリットはあります。

  1. 保育園経営の安定化には十分な数の園児を集める必要があるが、新規の園では集まりにくいこともあるので、経営が軌道に乗るまでは少し時間がかかる

  2. 保育園内で事故が起こったり、感染症が発生したりといった不測の事態が起こった場合、管理上の責任を問われ行政処分の対象になることもあり、何より保育園の評判が悪くなり、園児を集めることが難しくなるかもしれない

といった懸念があります。また、認可保育園の場合、経営が不振になったからと言って簡単に保育園を閉鎖することも出来ません。

喜びややりがいの多い反面、子どもを預かる責任は非常に大きいものです。それだけの覚悟が保育園の経営には必要でしょう。

保育園経営の課題、そして心得

ここまで、保育園の開業や経営について、手順やメリット・デメリットを説明してきましたが、いくらやりたいという気持ちがあっても、現実には逆らえないものです。

最後に、保育園の経営をめぐる課題や、経営者に求められる資質について簡単に見ていきましょう。

保育園経営の課題

補助金も多く、税制などの優遇措置もある認可保育園を経営しているのはほとんどが社会福祉法人です。

株式会社などの参入も近年増えてきてはいますが、まだまだ少数です。
既得権益を守るための運動をする心無い人たちもいるとの噂も聞こえてきます。

また、保護者の働き方が多様化している現在、小規模保育園や預かり時間の長い施設の需要も(とくに都心部で)高まっていますが、それらの多くは経営していくのが厳しい状況にあります。

これらの格差を是正するような、保育園開設・運営に関する制度の早急な改革、見直しなどが必要かもしれません。

さらに、待機児童が減らない都心部ですが、保育園を開設するにあたって用地や施設を用意することが難しいという問題があります。

そもそも場所が見つからない、あっても購入価格や賃料は高額で採算が合わないといった事が起こってしまいます。土地に関する問題も侮れません。

保育園経営者が意識すべきこと

そして実際に保育園経営を始めるにあたって、第一に考えたいのが福祉です。

福祉とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉で、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念です。
出典:Wikipedia

そして、平成22年の子ども子育て新システム検討会の教育・保育の定義について(案)では、

「保育所は、共働きなどの理由により、家庭において保育ができない子どもに対して個々の家庭に代わって養護および教育を一体的に提供する施設である。」

と定義されています。

保育とはあくまで社会福祉事業です。

たとえ営利団体の株式会社が運営していると言っても、保育の基本理念は不変。
保育園経営に際しては、福祉・保育の精神を決して忘れないように心がける事が必要です。

もちろんその中で利益を生み出さなければ破たんしてしまうのも事実ですが、利益が最優先になることのないようにするのも大切です。

保育は子どもを一番に考え、その次に保護者…という原則を忘れずにいなければなりません。

保育園経営のさいごに

保育園開設・経営についてご紹介しました。

開設のハードルは低いですが、経営を続けていくことは決してたやすくはないと思います。途中で簡単に投げ出してしまうことは許されない業種です。

もちろん大変なことばかりではありません。子どもたちを育てていく喜びは何物にも代えがたい幸せ、ではないでしょうか?

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