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知ってますか?「モンテッソーリ教育」

モンテッソーリ教育法をご存知でしょうか?
日本ではカトリック系を中心に、保育園や幼稚園でこのモンテッソーリ教育のカリキュラムを取り入れたところがたくさんあるようです。
では、モンテッソーリ教育とはいったいどういう教育法なのか?
そのメリットは?逆にデメリットはあるのか?モンテッソーリ教育法で育った人はどんな大人に育つのか?
幼稚園で実際にモンテッソーリ教育を受けていた筆者の体験談も踏まえ、
今回はこの「モンテッソーリ教育」について徹底リサーチしました!
◎モンテッソーリ教育とは?【概要と歴史】
モンテッソーリ教育は、ローマの精神病院で医師でありながら教育家としても活動していたマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法のことです。

知的障害児の教育にと開発し、その後貧困層の健常児のための施設「子どもの家」で完成させた独自の教育法が現在のモンテッソーリ教育の始まりだと言われています。その後、この教育法は障がいのある子どもの教育だけに限定されないとして今日のモンテッソーリ教育に至っています。
「子どもには自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在がこの教育法の大前提とされており、歩くことを教えなくても歩こうとする・言葉を教えなくても喋ることを覚えるなど、環境に積極的に関わり順応し吸収しようとする姿は、子ども自身が自立するため成長していく姿のあらわれといえます。
モンテッソーリ教育の目的は、それぞれの子どもの発達段階に合わせ、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢をもった人間に育てる」ことです。その目的を達成するため、モンテッソーリ博士は子どもたちを観察し、そこから得た事実と情報を基に独特の体系をもつおもちゃ(教具)を開発するなどモンテッソーリ教育法を確立させていったのでした。
欧米を中心に世界中に広まり、特にアメリカではブームが起こり3000ヶ所の子どもの家(モンテッソーリ教育法を行う施設の事、学校も含む)があると言われています。
ちなみに、世界で偉業を成し遂げている有名人の多くは幼少期にモンテッソーリ教育を受けていたことが判明しており、
アンネ・フランク、Google創業者の2人ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリン、Amazon創業者ジェフ・ベゾス、ピーター・ドラッカー、Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ、Wikipedia創設者ジミー・ウェールズ、藤井聡太七段(当時)…などが受けていたそうです。
教育ソムリエ藤崎達宏さんによる、「モンテッソーリ教育TV」というものを見つけたので、より詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。子どもの発達に関して説明をしてくれています。
◎モンテッソーリ教育の特徴【考え方や教育方針】
日本にも1960年代に紹介され、幼稚園や保育園でモンテッソーリ教育法を取り入れる施設が増えていきました。そのため日本ではモンテッソーリ=幼児教育というイメージがありますが、決して幼児教育としてだけではありません。
モンテッソーリ教育の考え方では人間として完成するのは24歳頃とされており、それまでの発達段階を
- 第一期:0歳~6歳(幼年期・乳幼児期) ☞ 変容期:「ヒト」として生まれてきた子どもが、人間社会という「環境」の中で「人間」へと変わっていく。モンテッソーリ教育の中で最も重要な時期とされる。
- 第二期:6歳~12歳(児童期・学童期) ☞ 一定安定期:「アイデンティティ」を芽生えさえ自立心を高めた子どもが、集団でより大きな課題に取り組めるようになる。
- 第三期:12歳~18歳(思春期) ☞ 変容期:性的に成熟し、子どもから大人に移り変わる。この時期の子どもは精神的に不安定なので、慎重な関わり方が求められる。
- 第四期:18歳~24歳(青年期) ☞ 安定期:精神的・肉体的に成熟、自立した人間として、相互に支えあって社会を形成していく。
と定義されています。各段階は6年幅をもち、3年からなる前期・後期に分けられています。
モンテッソーリ博士は子どもの観察をしていく中で、月齢や年齢ごとに子どもたちの興味の対象が次々に移り変わっていくことに気付きました。子どもには大人の手を借りずに一人でなんでもこなしてみたくなる時期があるのです。それを脳生理学的に基づいて、能力の獲得にはそれぞれ最適な時期があると結論付け「敏感期」と名付けました。
敏感期には、それぞれ「運動・感覚・秩序・言葉・文字・数・文化」に敏感な時期があるとし、モンテッソーリ教育では子どもたちが個々で自由に活動しながら敏感期を育んでいくことがモットーとされています。つまり、集団で同じことをするのではなく、子どもたちは毎日自分が今日やることを自由に選択できるということです。これがモンテッソーリ教育の大きな特徴といえるでしょう。

そのためには、子どもたちの知的好奇心が表れるようにすることはもちろん、「やってみたい」と思うような魅力的な教具や、自由に自発的に子どもたちが取捨選択できるような環境を整えることが重要事項となります。
また、モンテッソーリ教育では「異年齢混合の縦割りクラス制度」を取り入れています。年齢ごとにクラスを分けるのではなく、異なる年齢の子供たちを混ぜたクラスを構成することで、一番年上の年齢の子は全体のお手本となるお姉さん・お兄さんに、真ん中の年齢の子は年上の子どもを見て学びながらも年下の子のお手本となるように振る舞うことが求められます。そして一番年下の年齢の子は、たくさんのお姉さん・お兄さんの真似をしながら多くのことを学び吸収していくことがねらいとなっています。
相互に刺激を受けながら、協調性や社会性を身に着けていきます。
◎教育内容はズバリ『おしごと』

モンテッソーリ教育では、普段の活動のことを「おしごと」と呼んでいます。大人が生きていくために「仕事」をするように、子供も自分自身を成長・発達させていくために「おしごと」をするのです。成長していくために必要な活動なのでそのように呼ばれています。子どもたちはこの「おしごと」を通して自主的に学んでいきます。
カリキュラムに縛るのではなく、あくまで子供の自主性が尊重されます。
大人が「これをやりなさい」と指示するのではなく、あくまでも子どもが自分を成長させるために必要だと本能で感じ、「やってみたい」という気持ちと自主性を重んじ自発的に選ぶものです。
子どもたちはおしごとを毎日1時間~3時間行います。
そのおしごとには全部で五つの分野があります。
▼日常生活の練習
0歳の赤ちゃんにもきちんと「おしごと」が用意されています。まだ小さな手や指でも持てるようなデザインで動きの発達を促してくれます。
1歳からは「机を拭く」「お茶をいれる」「お花を生ける」「手を丁寧に洗う」「洗濯板を使って簡単な選択をする」といった、大人が普段当たり前のように行っている日常生活の練習を通して、自立心を養います。
使うものは子どもが扱いやすいサイズですが、例えばお茶を入れる時に使うコップは、落とせば割れてしまう本物を使います。お花も同様に生花を使い、優しく扱わなければ壊れてしまう、水をあげなければ枯れてしまうという当たり前だけれどとても大切なことを学んでいきます。
本物を使うことで、慎重に扱うことに慣れ、またプラスチックなどとは違う美しさに触れることが大切です。
▼モンテッソーリ教育の感覚教育
「長い・短い」「重い・軽い」のような抽象的な感覚を養います。

同じものでも長さが違う、重さが違う、大きさが違うものを一緒に使うことで、「これは長い」「これは短い」という感覚を理解していきます。
感覚教具を扱うようになるのは原則2歳半からとされていますが、教具を扱うようになるまでに五感を通した体験をたくさんしておくことが重要です。そのうえで感覚教具を使うようになったら、それまでの体験を整理し、感覚をより一層洗練させていくことが目的です。
ちなみにこの教具は「円柱さし」といって、それぞれ大きさが合う穴に円柱をはめていくというものです。ひとつの穴にはひとつの円柱しかはまらないようになっているので、正しい穴にぴったりハマる感覚と手先の感覚を働かせて遊ぶ教具です。小さな子どもには指先のトレーニングにもなります。
▼モンテッソーリ教育の言語教育

文字を知らなくても、大人の真似をして「書きたい・読みたい」という言語の活動が子どもたちにはあるのです。
言語教育では絵本や絵カード、文字を並び替えて言葉や文章を作成する文字カードなどを使って、語彙を増やし、文法や文章構成を学びます。
それらを用いることで、接続詞(日本語では「て・に・を・は」)や文法なども早くから身に着けることができます。
こちらの教具は、はめ込み型となっていてそれぞれ外枠・内枠と分けることが出来ます。そのどちらかを紙の上に置き、周りを鉛筆でかたるというものです。置いた時の角度を調整することで多角形を作り出すことも出来ますし、色々な形を組み合わせて新たな形を生み出すことも出来ます。
中を色鉛筆で塗ることも出来ますし、自分で工夫して学習する発展的な活動を行えます。
▼モンテッソーリ教育の算数教育

感覚教育で触れた「多い」「少ない」からいくつあるか、と段々具体的になっていくうちに、数の概念を学びます。
モンテッソーリの算数教育の最大の特徴は、数という抽象的なものを具体物にし、数という概念を手で形として触れられるようにしたということです。教具を使って二桁、三桁の数字をお仕事を通して学びながら、簡単な計算も一緒に学んでいきます。
こちらの教具は十進法の基礎を学ぶためのものです。一般的には「銀行ごっこ」や「両替あそび」と呼ばれていて、グループで遊びます。
1つのビーズが10個溜まったら10の棒状のビーズ1本に、10の棒状のビーズが10個溜まったら100のビーズ板1枚に、100のビーズ板が10枚溜まったら1000の立体ビーズ1つと両替…というようにどんどん両替していきます。集まったビーズはそれぞれビーズの個数に対応する数字カードを選び、最後はそれら全てを足して何個ビーズがあるか計算をします。
最後に数字を重ね合わせていくところも、全体の量をビーズという具体物と数字の両方で確認できているため、計算というより数字を重ね合わせるだけで簡単に答えを導き出すことが出来るのです。
この活動により、抽象的・論理的な思考を身に着けることを目的としています。
▼モンテッソーリ教育の文化教育

歴史や地理、音楽に美術、動物や植物など、私たちが暮らしている「日本」や「世界」がどのようなところなのか。またそれぞれの地域の「文化」についてまで、身近なものに触れながら多岐にわたって学んでいきます。
こちらの教具は、日本列島の全8地方がパズルになっていて、県はそれぞれ色分けされています。正しい形のところにはめるだけでなく、日本には「県と地方」があるということを学ぶことが出来ます。このパズルは日本だけでなく世界地図バージョンもあります。
モンテッソーリならではの「おしごと」について詳しくお伝えしましたが、その中でもやはり他にはない「教具」がこの教育法を大きく担っているといえます。

ご紹介しただけでなく、他にも様々な教具を販売しているサイトがありますので、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園・幼稚園には通っていないけど是非我が子にもこの教具を使わせたい!という親御さんがいらっしゃったら、一度このサイトを覗いてみるといいかもしれません。
またモンテッソーリの理念に基づいた教具を手作りすることも出来るようです。
これなら、モンテッソーリ教育を全面的に取り入れていない園や家庭でも気軽に用いることが出来ますね!
手作りのおもちゃに関してはこちらからサイトに飛んでいただけます。
◎モンテッソーリ教育のメリット・デメリット
▼モンテッソーリ教育のメリット
そんな教具等を使うモンテッソーリ教育のメリットは…
- 子どもの個性を伸ばす
↳子どもの自発性が尊重される自由で個々にあった教育 - 自主性や積極性が身に付く
↳感覚を洗練させ考える方法を身につけさせる感覚教育 - 集中力が養える
↳子どもが集中している時に教育者がそれを妨げない - 情緒が安定する
↳やりたいことを思う存分できることで落ち着きが生まれる
といったことがモンテッソーリ教育のメリットとして挙げられています。
子どもたちひとりずつの行動をしっかり観察し、その子供に合った教育を見極めるのがモンテッソーリ教育の真骨頂なのかも知れません。
▼モンテッソーリ教育のデメリット
では、モンテッソーリ教育にはどういったデメリットが考えられるでしょうか?
- 協調性に欠ける
↳個々の性格や個性を伸ばす教育法なので自立性は身に付くが周りに合わせることが上手にできないことも - 集団行動が苦手
↳自由を尊重する反面、みんなで一緒に何かをするといったことが苦手な子どももいる - 運動不足になりがち
↳室内で行うことが多く屋外での行動が比較的少ないため、運動不足気味なことも - 子どもらしくなくなる
↳自立と自発性を促す教育法で落ち着いた性格になり大人びた子どもに物足りなさを感じる保護者も - 元気すぎる子には向かない
↳おとなしい子に向くけれど、じっとしていられない子には厳しいかも?
といったデメリットがあると言われていますが、子どもによって向き不向きがあるのも事実かも知れません。
◎モンテッソーリ教育の園で働くということ
モンテッソーリ教育を取り入れている園で、「モンテッソーリ教員として働く場合」には専門の資格が必要です。
- 日本モンテッソーリ協会
- 日本モンテッソーリ教育綜合研究所
- 東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター
こちらの3つの機関で取得が可能です。しかしモンテッソーリ教育を取り入れている園で「保育士」として働く場合には資格は必要ないことになっています。ですが、モンテッソーリ教育を取り入れている園で働くなら、教育理念やノウハウを持っていることに越したことはありません。
少しでも興味がある方はサイトを覗いてみてください!
モンテッソーリ教育法を取り入れている幼稚園や施設によってその教育方針は少しずつ違います。
極端に言えば、モンテッソーリ教育の成果があらわれるかどうかは施設次第…なのかも知れません。
上記に述べた二つ目のデメリットに「集団行動が苦手になるかも」とありますが、私が幼少期通っていた園では午前中はおしごと、午後は外遊びをしたり室内でレクリエーションをしたりと分かれていて、一日中おしごとをしていたわけではありませんでした。園の教育方針にもよりますが、必ずしもそれがデメリットとしてあらわれるかは本当に個人と通う幼稚園によります。
しかし、実際外遊びは少なかった印象でした。外で遊ぶ時間はありましたが、一般の保育園・幼稚園と比べたら短かったように感じます。
このように、一般の保育園・幼稚園とは異なる教育方針をもった園に通うということは、それ相応のメリットデメリットが必ず出てきます。
モンテッソーリ教育を導入している園に応募を考えている方は、一度園に見学に行って1日の流れを見せてもらうといいでしょう。モンテッソーリ教育がどのように・どれくらい園の方針に反映されているのか確認しておくといいと思います。
◎モンテッソーリ教育のまとめ
子どもの個性を大切に
モンテッソーリ教育は素晴らしい教育法ですし、それによって才能が開花する子どもたちもたくさん出て来るのは事実です。
ただ、それも子どもたち一人ひとりの個性や性格・才能によって違うということです。
子どもたちそれぞれがいいところを伸ばして、弱点を克服する、その手段・方法

のひとつとして「モンテッソーリ教育」を選択するくらいの気持ちがちょうどいいのかも知れません。
私たち大人がモンテッソーリ教育を導入するうえで気を付けることは、「子どもの自発性・自主性を重んじ、優しく見守る」ということに尽きると思います。
子どもの「やりたい」「やってみたい」という気持ちをうまく引き出せるように導いていけるといいですね。
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