保育ニュース
電車内のベビーカー利用に賛否両論 啓発ポスター引き金
2012年8月26日18時17分|朝日新聞デジタル
列車でのベビーカー利用に理解を求める鉄道会社や東京都のポスターに、批判が寄せられている。車内で通路をふさぐなどと苦情があり、鉄道会社はマナー向上の呼びかけに力を入れている。
「ベビーカーでの電車の乗り降りには注意が必要です。周りの方のお心づかいをお願いします」「車内ではストッパーをかけて」
首都圏の鉄道24社と都は3月、利用者に呼びかけるポスター約5700枚をJR東日本や私鉄、地下鉄の駅に張り出した。少子化対策の一つで、担当者は「赤ちゃんを育てやすい環境をつくる」と話す。
だが、利用者から「ベビーカーが通路をふさぐ」として、ポスターに対する疑問の声が都に寄せられた。都営地下鉄には「車内でベビーカーに足をぶつけられた」「ドアの脇を占領され、手すりを使えなかった」との声が相次いだ。
JR東日本にも「ポスターがあるからベビーカー利用者が厚かましくなる」「ベビーカーを畳もうというポスターも作って」と意見が寄せられたという。ネットでは意見が1千件以上飛び交っている。
ただ、ベビーカー利用者には事情がある。今月、JR新宿駅近くでベビーカーを押していた杉並区の主婦(38)は「子どもを病院に連れて行く時、電車に乗らざるを得ない。荷物と子どもを抱えてベビーカーを畳むのは無理」と話す。出産前は、通勤時にベビーカーを迷惑と思っていたが、考えが変わったという。
JR東日本は列車内のベビーカー利用を認めてきた。かつて駅や車内でベビーカーを畳むよう呼びかけた私鉄9社や都営地下鉄は99年、母親の要望を受け、「周囲に迷惑をかけない」ことを条件に利用を認めるようになった。
ポスター掲示を続ける小田急電鉄は、乗務員が車内を回る際、ベビーカー利用者に「通路をふさがないでください」と声かけをしている。「母親の育児ノイローゼを防ぐためにも外出は効果的」という都は、母親向けに「車内でもベビーカーから手を離さないで。暴走車になっちゃうよ」とマナー向上を呼びかけるチラシ約5万枚を保育所などで配っている。(藤森かもめ)
http://www.asahi.com/edu/kosodate/news/TKY201208250290.html