施設保育士とは?【求められること・専門性・資質・年収・求人も解説】

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「施設保育士」という選択肢

保育士さんの働く現場は、保育園や幼稚園、子ども園ばかりではありません。

他にも、いわゆる児童福祉施設と呼ばれる場所があります。この児童福祉施設に勤務する保育士を「施設保育士」と言います。

今回は一般にはあまり知られることの少ないこの施設保育士についてリサーチしました。
保育士さんの中には福祉に興味があって、保育の職に就いた方もたくさんいらっしゃると思います。施設保育士のお話、ぜひご一読ください。

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そもそも施設保育士とは

施設保育士が働く「児童福祉施設」とは…

・助産施設
・乳児院
・母子生活支援施設
・保育所
・児童厚生施設
児童養護施設
・知的障害児施設
・知的障害児通園施設
・盲ろうあ児施設
・肢体不自由児施設
・重症心身障害児施設
・情緒障害児短期治療施設
・児童自立支援施設
・児童家庭支援センター

 
の14施設が、1998年に施行された改正・児童福祉法に規定された施設です。保育所も児童福祉施設なのですが、それ以外の施設で働く保育士を施設保育士と呼ぶようです。

数も多く、良く知られているのは児童養護施設ではないでしょうか?児童福祉法では

「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上擁護を擁する児童を入所させて、これを擁護し、あわせて退所したものに対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする」

と定義されています。

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施設保育士の役割とは?保育園との違い

施設保育士の役割としては、通常の保育園に勤務する保育士と同じように入所する子どもたちの食事や排せつの世話などの日常生活の補助が基本です。

大きな違いは、通常の保育園が一時的な預かり保育を行う施設であるのに対して、子どもたちが入所する施設でほとんどの時間を過ごすということです。

さらに、いろいろな事情で親と離れたり、あるいは保護者から虐待されているなどの辛い境遇の子どもたちの心のケアも必要になります。子どもたちにとっては施設が「お家」の代わりになるわけですから、保護者に近い役割が求められるようです。

特別な資格は必要?

施設保育士になるためには、通常の保育士と同じように「保育士資格」が必ず必要になります。保育士資格を取得するには2通りの方法があります。

  1. 短大や4年制大学、専門学校などで保育学科などを修了して卒業する。
  2. 保育士試験に合格する。

 
①の方法は最低でも2年間はかかりますが、幼稚園教諭の免許も同時に取得できる場合も多く比較的簡単に取得できます。

②の方法は通学などが必要なく、試験に合格さえすれば短期間で取得できますが、合格率は2割程度とかなり難関となっています。

他にも、必ず必要ではないものの、介護や福祉に関する知識や、カウンセリングやメンタルケアのスキルや資格があると役立つのではないでしょうか?

施設保育士について①お仕事

では、施設保育士はどういった仕事をするのでしょうか?

児童福祉施設の多くは入所施設です。昼夜を問わずに子どもたちのお世話をする必要があり、24時間体制の施設も少なくありません。シフト制で夜勤や当直があることもしばしばです。児童養護施設を例にして、具体的なお仕事をご紹介します。

  • まずは子どもの心のケア
  • 食事や入浴、排せつなどの補助など身の周りのお世話
  • 掃除や洗濯、集団生活のルールなど、生活に必要な知識を学ばせる
  • 自立して生活できるように支援する

 
実際に児童養護施設に勤務する方のブログなどを拝見して思ったのですが、24時間体制の勤務なので泊りのシフトもあり、気の抜けないことも多く、本当に大変なお仕事だなと感じました。

施設保育士について②給料・年収

保育士は低収入…最近は社会問題化していますが、施設保育士のお給料はいくらぐらいでしょうか?

・公立(公務員)と私立で異なる?

公立の施設であれば職員は「公務員」になりますので公務員給与規定にのっとった額が支給されます。とはいえ、初任給は私立の保育園で働く保育士とさほど変わらないようです。

さらに、施設保育士はたとえ長く務めたとしても給与アップはあまり見込めないようで、昇進などもほぼありませんのでお給料は安いまま…平均すると300万円余りといったことが多いようです。賞与や福利厚生はしっかりした施設が多いようです。

一般の保育士さんの給与を引き上げる措置がありましたが、2017年4月から民間の児童養護施設などで働く職員の給与を2%(月7千円程度)引き上げると厚生労働省が発表しました。2%で人手不足は解消されるのでしょうか?正直疑問です。

もちろん手当を加算する処遇改善策も取られていますが…

施設保育士について③大切なこと

施設保育士として福祉の仕事をするにあたって、どういったことに気を付けると良いでしょうか?

施設保育士は大変な仕事です。勤務時間や仕事の量・質、どれをとっても保育園で働く保育士さんよりキツイのではないでしょうか?

いっそ「過酷」と言っても過言ではないかも知れません。だからこそ、生半可な気持ちではできないと思われます。それ相応の「覚悟」が必要かも知れません。

・求められるスキルとは

保育のスキルはもちろん必要ですが、それだけでは足りないかも知れません。
忍耐力や寛容さ、包容力といったことも求められそうです。

入所している子どもたちは、何かの理由で親と離れて暮らしているので情緒が不安定だったり、暴言や暴力に訴えたりする子供もいるかも知れません。

そういった子どもたちにもちゃんと向き合う愛情と、時には冷静に見つめる保育のプロの視点も大事です。

施設保育士のメリット・デメリット

施設保育士の仕事をするうえでのメリット・デメリットをいくつかご紹介します。

・メリット、やりがい

一般の保育園での子どもとの関わり方よりも、もっと親密な関係が築けます。
子どもたちの成長をより身近に感じ、自立に向けてサポートすることで保護者に代わる存在とも言えるかも知れません。

心身ともに傷ついた子どもを助けてあげたい!という福祉にかける思いが強い人にはうってつけかもしれません。施設によって違いはありますが、賞与などの待遇や福利厚生が手厚いところが多いのも魅力かも知れません。

・デメリット、厳しい環境

子どもに深く関われる反面、その成長に大きな影響を与えるかも知れないと責任の重さは、人によってはデメリットになり得るポイントです。

また、365日・24時間の体制、シフト制ではありますが、間違いなく不規則な生活は覚悟しなければなりません。夜勤や土・日・祝日の出勤も当然ありますし、一般の保育士よりも広い業務範囲も体力的に厳しいと言えるでしょう。

労働環境の現実

デメリットの項でも少し触れましたが、一般の保育園のように開設時間が決まっておらず、24時間ずっと気が抜けないと言ってもいい施設の労働環境はやはり厳しいようです。

泊り(夜勤)があることも、施設保育士の大変な一面です。これも施設によって違うので一概には言えませんが、泊り勤務明けに人手が足りないので残業をさせられるといったブラックな施設も中にはあると言われます。

シフト通りに勤務したとしても、不規則は生活になるのは避けられませんから、労働環境は決して楽だとは言えないようです。

求人情報の例

実際どのような労働環境なのか?参考までに、施設保育士の求人をいくつかの施設形態ごとにご紹介します。

  • 児童養護施設 大阪市 社会福祉法人
    シフト制8時間勤務/月給180,000円~240,000円/賞与年2回4.1か月分/
    週休2日/保育士資格・児童指導員任用資格必要/住宅手当・時間外手当あり
  • 乳児院 東京都 社会福祉法人
    シフト制夜勤・宿直あり/月給190,000円~224,500円/賞与年2回3.8か月分/週休2日/保育士資格必要/退職金・住宅手当・夜勤、宿直手当あり
  • 児童自立支援施設 東京都 都職員2類
    シフト制夜勤・宿泊あり/月給187,000円/期末勤勉手当(賞与)あり/公務員に準ずる待遇/資格・職歴などにより一定の基準で加算あり
  • 母子生活支援施設 埼玉県
    宿直月3~4回あり/月給177,000円~197,000円/賞与年2回4.1か月分/月9日休/退職金・育児休暇・昇給あり

 
一般の保育士と比べると、やや好待遇なことが多いようです。
転職サイトなどで「施設保育士」で求人を検索するか、アドバイザーやコーディネーターなどに福祉施設で働きたい旨を伝えて求人を探してもらうなどしてみてはいかがでしょうか?

さいごに

大変だけれど、やりがいや充足感もある施設保育士。

福祉に興味がある人や、心に傷を負った子どもたちの役に立ちたい方は、施設のホームページをチェックしたり、施設の見学に行ってみたりするのもいいですね。

よくある質問

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