夏バテ対策はいつから?治し方や症状チェックも紹介!【食事・飲み物・原因】

4月の入園式で子供たちを迎え入れたら、あっという間に夏の到来。近頃は夏を感じるような汗ばむ陽気の日が増えてきましたね。そして今回紹介する夏バテは、夏本番を迎える前に対策を始めるのが好ましいとされています。だるさや食欲不振等の体調不良を引き起こす夏バテ。特に体調を崩しやすい子供たちや、忙しい保育士の方は気を付けたい症状ですよね。今回の記事では、夏バテの意味や具体的な症状について詳しく解説しています。さらに保育園でできる夏バテ対策についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

夏バテとは

夏バテの意味と語源

夏バテは、自律神経の乱れや水分不足、疲労の蓄積などが原因で夏に起こる体調不良の総称。だるさや食欲不振、消化不良などの症状が代表的です。また夏バテは、夏とばてるの2つを合体させた言葉。ばてるの語源には諸説あり、以下の2つの説が有力ですよ。

  1. 疲れ果てるの果てるがばてるとなって広まった
  2. 競走馬の足が疲れてもつれることを意味する競馬用語ばたばたになるがばてるになり広まった
保育士くらぶ

保育園での夏バテ対策はいつから始める?

夏バテ対策は6月までに始める

夏バテ対策は6月までに始めるのがおすすめ。2022年度には6月25日から7月3日にかけて、東京都で9日連続の猛暑日が観測されました。猛暑日の到来までに夏バテ対策を始めることで、夏バテの要因である寒暖差に備えることが出来ますよ。一方下記で紹介する夏バテ対策は、保育園でも重視される基本的生活習慣に関するものが主になっています。夏バテになりにくい身体を作るため、そして保育の一環としても1年を通して対策を継続するのがベストです。
※猛暑日…最高気温が35℃以上の日

保育園の子供たちが夏バテになりやすい理由

1.地面からの照り返しの影響を受けやすいため

子供たちが夏バテになりやすい理由の1つ目に、地面からの照り返しの影響を受けやすいことが挙げられます。これは子供たちの背丈が大人より低いため、地面と顔との距離が近くなることが原因。また背丈の低い子供ほど照り返しの影響が強くなるため、乳幼児期の小さな子供たちは特にのぼせやすく注意が必要です。外出の際、高い気温と直射日光にさらされると大人の私たちも体力を消耗してしまいますよね。加えて照り返しによる影響を強く受ける子供たちは、体力の消耗がより大きいといえます。

2.汗による体温調節の機能が未発達であるため

子供たちが夏バテになりやすい理由の2つ目に、汗による体温調節の機能が未発達であることが挙げられます。以下のように汗腺そのものや、汗腺から発汗する能力は発達によって養われるもの。汗をかく機能が未発達だと、たくさん汗をかいて素早く体温を下げることが出来ません。

    汗をかく機能の発達を構成するもの
  • 汗腺の発達:汗をかくことが出来る能動汗腺の発達(3歳頃まで)
  • 発汗機能の発達:汗腺から汗を出す機能の発達(主に思春期に発達)

3.体温が環境温度に左右されやすいため

子供たちが夏バテになりやすい理由の3つ目に、体温が外気温に左右されやすいということがあります。子供は皮膚が薄く皮下脂肪が少ないため、身体の表面から熱を放出または吸収しやすいのです。上記のように汗による体温調節機能が未発達であることも加わり、厳しい暑さの中で子供の体温は猛スピードで上昇します。一方暑さに気を取られてしまう夏ですが、冷え対策も忘れないようにしましょう。身体が冷えている状態は、すなわち全身の血流が滞り各器官の機能が低下している状態。夏バテをはじめとした不調を引き起こしやすくなってしまいます。

4.体重当たりの必要水分量が多いため

子供たちが夏バテになりやすい理由の最後に、体重当たりの必要水分量が多く水分不足になりやすいことが挙げられます。大人と比べると随分と小さい子供たちの身体。少ない水分で維持できると思いきや、実はそうではありません。1日の必要水分摂取量(体重1㎏あたり)は、成人が50mlであるのに対し乳児は150ml、幼児は100mlとされています。子供たちの必要水分量が多いことの要因としては、以下の3つがありますよ。

  1. 体重に占める水分量の割合が大きい
    体重に占める水分量の割合は大人が約60%であるのに対し、幼児は約65%、乳児は約70%とされています。
  2. 腎臓の機能が未発達
    血液中の老廃物や塩分をろ過し、体液を一定に保つ役割を担うのが腎臓。この腎臓の機能が未発達な子供たちは、水分が足りていないときも尿を薄いまま排泄してしまいます。
  3. 体重当たりの不感蒸泄量が多い
    私たちの身体は尿や汗の他に、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)によって水分を失っています。不感蒸泄とは、私たちが感じることなく皮膚と呼気から蒸散している水分のこと。乳幼児期の子供は新陳代謝が激しく、この不感蒸泄の量が大人の2倍近くにのぼります。
体重(1㎏)当たりの不感蒸泄量
小児約25~30ml/日
成人約15ml/日

保育士の夏バテにも注意

保育士自身の体調管理も忘れずに!

子供たちの保育に手一杯で、後回しになりやすい保育士の夏バテ対策。しかしながら夏の気温差や水分の消耗によってダメージを受けているのは子供たちだけではありません。また保育士は体力仕事が多い上、忙しさや人間関係によってストレスをためやすい仕事。そのため自律神経の乱れによる夏バテに警戒する必要があります。以下で紹介する夏バテ対策は保育士の方も取り入れられるものばかりですので、ぜひ子供たちと一緒に実践しましょう。

夏バテの症状をチェックしよう

夏バテ症状のチェックリスト

夏バテ症状チェックリスト
・身体がだるい、重い
・疲れやすい、疲れが残る
・やる気が出ない、集中力がない
・イライラする、気分が落ち込む
・足腰が冷える
・肌のつやがない
・肩こりや頭痛がある
・よく眠れない
・食欲がない
・胃もたれや胃痛がある
・便秘や下痢をする
・生理不順がある
引用:福田千晶(2013)

夏になってから上記に該当する体調不良が現れた場合、夏バテの可能性があります。次の段落では夏バテの治し方を対策と合わせて紹介していきますよ。

夏バテの治し方と対策【保育園で実践】

①温度差対策

上記のように、子供たちの体温は環境温度に影響を受けやすくなっています。環境温度に気を配り、子供たちの体温が激しく変動しないように注意しましょう。保育園でできる具体的な対策として、以下が挙げられます。

  1. 園外活動はなるべく気温の低い時間に、日陰で行う
  2. 汗を書いた後は冷たいおしぼりで体を拭き、素早く着替えを行う
  3. 空調は28度程度に設定し、冷房が直接子供に当たらないように配慮する

➁水分補給

体温調節のために大量の汗をかく夏。特に園外活動をして汗をかいた後などは、冷たい飲み物を一気飲みしたくなることもありますよね。一方これは身体に負担の大きいNG行為。体に負担をかけずに体内の水分量を維持するため、以下の3点に気を付けるようにしましょう。

  • 飲み物の温度
    できるだけ常温か温かい飲み物をとるようにしましょう。冷たい飲み物は胃腸の働きを悪くしたり、体温を急激に低下させたりする恐れがあります。
  • 水分補給のタイミング
    飲み物を一気に流し込むことは、身体にとっては大きな負担。胃酸の濃度が薄まるため、消化不良に繋がります。また身体に効率よく水分を蓄えるためにも、こまめに水分摂取を行う必要がありますよ。保育園においては子供たちへ、定期的な水分補給の呼びかけを行うようにしましょう。
  • ミネラルを合わせてとる
    汗をかく際に水分と一緒に排出されるのがミネラル。水分と一緒にこのミネラルを摂ることを忘れないようにしましょう。経口補水液やスポーツドリンクなど、ミネラルがとれる飲み物を保育園で用意しておくのがおすすめです。

摂取した水分が身体に吸収されるまでに30分程度かかるため、運動などを行う際は前もって水分を摂取しておくことを意識する必要があります。

③十分な睡眠

自律神経の働きと睡眠の質は相互作用しています。決まった時間に十分な睡眠を確保することで自律神経が整い、このためより良質な睡眠をとることができる好循環が生まれますよ。また保育園においては、お昼寝の前にストレッチの時間をとるのがおすすめです。ゆっくりと身体を伸ばすことで血流を促し、身体をリラックスさせることが出来ますよ。他にもオルゴールをかけることや、保育士がトントンとたたいてあげるといった工夫が考えられます。

④食習慣の改善

偏食や小食など、食習慣の乱れによって体調を崩しやすい子供たち。胃腸の疲れや栄養不足を防ぐために、この機会に子供たちの食事を見直してみましょう。以下で夏バテに効果的な食材とそれらを取り入れられるレシピを取り上げていますので、保育園での食事にも取り入れてみてくださいね。また食べ方にも気を付ける必要があります。短時間で食事を済ませる早食いは、胃腸にとって大きな負担。食事の時間には、保育士から子供たちによく噛んで食べることを呼びかけるようにしましょう。

夏バテに効果的な食材

これからの食事に取り入れたい夏バテに効果的な食材には、以下のようなものがあります。

  • ビタミンB1が豊富な食材
    ビタミンB1は、体内に取り入れられた糖質をエネルギーに変換する際に必要となる栄養素です。ビタミンB1が豊富な食材としては、豚肉・うなぎ・全粒穀物・ナッツが挙げられます。
  • ビタミンB2が豊富な食材
    ビタミンB2は、体内に取り入れられた脂肪をエネルギーに変換する際に必要となる栄養素です。ビタミンB2が豊富な食材としては、レバー・うなぎ・ブロッコリー・鶏卵・乳製品・大豆製品が挙げられます。
  • たんぱく質が豊富な食材
    たんぱく質は、人の身体の材料となる栄養素です。たんぱく質が豊富な食材としては、肉類・魚介類・鶏卵・大豆製品・乳製品が挙げられます。
  • ミネラルが豊富な食材
    上記で述べたように、汗と同時に失われるミネラル。飲み物に加えて食事からも意識的に摂取しましょう。ミネラルが豊富な食材としては、食塩(ナトリウム)、野菜類や果物類(カリウム)、乳製品(カルシウム)、海藻類(マグネシウム)、亜鉛(煮干し)が挙げられます。

夏バテにオススメなレシピ例

夏バテ対策に効果的な食材をたくさん取り入れられるレシピを紹介!

卵と豚の炒め物

夏バテに効果的な食材…豚肉(ビタミンB1、たんぱく質)、鶏卵(ビタミンB2、たんぱく質、ミネラル)、キャベツや小松菜、人参等お好きな野菜をいれて作りましょう。

鶏肉の肉豆腐

夏バテに効果的な食材…鶏肉(ビタミンB2、たんぱく質)、豆腐(ビタミンB2、たんぱく質)

鶏肉とピーマンのナッツ炒め

夏バテに効果的な食材…ミックスナッツ(ビタミンB1、ビタミンB2、たんぱく質)、鶏肉(ビタミンB2、たんぱく質)

オクラ納豆

夏バテに効果的な食材…納豆(ビタミンB2、たんぱく質)、オクラ(カリウム・カルシウム・マグネシウム)

保育園の子供たちを夏バテになりにくい体質に!

汗腺と発汗機能の発達を促す

発汗機能において重要な役割を果たすのが、能動汗腺。能動汗腺の数が多いほど、汗による体温調節が行いやすくなります。上記で挙げたように能動汗腺は発達によって養われるもの。加えて能動汗腺から汗を出す発汗機能も発達によって養われます。そしてどちらの発達においても積極的に汗をかく機会を用意することが必要です。気温が高い中で激しい運動を行うのは夏バテ対策として好ましくありませんが、少し汗をかく程度の運動を行ったり、お家での入浴習慣をつけたりすることで充分機能の発達を促すことが出来ますよ。

規則正しい生活を身に着ける

夏バテの要因となる自律神経の乱れを防ぐためには、規則正しい生活を身に着けることが大切。特に起床・就寝の時間が固定されていることは、自律神経を整えるために重要です。しかしながら睡眠や入浴、食事は保育園だけで行われるものではなく、子供たちの生活習慣を整えるためには保護者との協力が必須ですよね。この機会に保護者にも基本的生活習慣に関する知識を共有し、今一度家庭での生活習慣を振り返ってもらいましょう。

東洋医学から学ぶ夏バテ

東洋医学における夏バテとは

夏バテに対応する概念をもつのは、主に中国で発展した東洋医学。東洋医学において夏バテは注夏病(中夏病)と呼ばれます。東洋医学において夏バテの対策や治療は、上記で挙げたような基本的生活習慣の改善や冷え対策が重視されます。加えて漢方や鍼灸等が用いられることもありますよ。一方日本の医師は西洋医学を専攻した医師であるため、私たちにとって東洋医学の治療は身近ではありません。しかしながら東洋医学は不調の根本的な改善を目指すという点で、西洋医学とは違う魅力を持っています。

夏バテに効く漢方

漢方薬は、東洋医学における夏バテ症状へのアプローチの1つ。夏バテ症状には胃腸の働きを促進させる漢方や、冷えを改善させる漢方がおすすめされます。

  1. 清暑益気湯
    こんな症状に:食欲不振・疲労倦怠
  2. 補中益気湯
    こんな症状に:食欲不振・易疲労感
  3. 六君子湯
    こんな症状に:食欲不振
  4. 五苓散
    突然の嘔吐・下痢
  5. 人参養栄湯
    こんな症状に:消化不良・疲労倦怠・手足の冷え

まとめ

夏バテ対策をして子供たちと夏を元気に過ごそう!

体内の水分を維持するのが難しいことや、体温調節機能が未発達であることから大人と比べて夏バテになりやすい子供たち。そんな子供たちを夏バテから守るためには、早めの夏バテ対策がカギとなります。また今回紹介した夏バテ対策は、保育園ですぐに取り入れられるものばかり。ぜひ実践してみてくださいね。加えて今回の記事では、東洋医学から見た夏バテについても紹介しました。漢方による夏バテ対策や治療は、忙しい保育士の方でも取り入れやすくおすすめですよ。5月から始める夏バテ対策で、夏を元気に乗り切りましょう!

参考文献

医健KEN 福岡医健・スポーツ専門学校「東洋医学と西洋医学の違いとは?」福岡医健・スポーツ専門学校
公益財団法人母子健康協会「乳幼児は脱水になりやすい」母子健康協会
大洋製薬「熱中症関連情報 乳幼児・小児に対する注意点」大洋製薬株式会社
テルモ体温研究所「子どもの体温の特徴」TERUMO
日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる 1.腎臓の構造と働き」
福田千晶[監修] (2013)『夏に負けない身体をつくる ホントはコワイ夏バテ51の対策』日東院

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