目次
※保育士試験は令和2年に改正が行われ、実技試験の各分野の名称が変更されました。
音楽表現に関する技術
→音楽に関する技術
造形表現に関する技術
→造形に関する技術
言語表現に関する技術
→言語に関する技術
保育士資格を取得するために受験が必要な保育士試験。この保育士試験には筆記試験と実技試験の二種類の試験があり、言語に関する技術は実技試験の分野の一つです。実技試験はこれに音楽に関する技術と造形に関する技術を加えた、3つの分野から2つを選んで受験する必要があります。今回は実技試験で「言語に関する技術」を受験する方に向けて、気を付けるべきポイントや練習法を紹介。ぜひ対策の参考にしてくださいね。
保育士試験・言語表現の試験日程【2024(令和6年)版】
言語表現は実技試験の一部ですので、前期に受ける場合は6月30日、後期に受ける場合は12月8日までに対策を終わらせるように計画を立てましょう!
実技試験:2024年6月30日(日)
実技試験:2024年12月8日(日)
保育士試験・言語表現の試験内容【2024(令和6年)版】
2024年度の前期における、言語表現の試験内容について公式サイトで問題が公開されていますので、こちらで紹介します。
1.「ももたろう」
2.「おむすびころりん」
3.「3びきのこぶた」
4.「3びきのやぎのがらがらどん」
子どもは15人程度が自分の前にいることを想定する。一般的なあらすじを通して、3歳の子どもがお話の世界を楽しめるように、3分にまとめてください。お話の内容をイメージできるよう、適切な身振り・手振りを加えてください。絵本等を持つことを想定せず、お話をしてください。
保育士試験・言語表現はどんな試験?
素話の能力を問う実技試験
上記で述べた通り、言語に関する技術の試験は保育士試験の実技試験の一種。そしてこの言語に関する技術の試験では、素話(すばなし)の力が試されます。素話とは、絵本や人形などの道具を用いらずに語りをすること。つまりこの試験では、絵本の内容を暗記し、体一つで物語を表現することが求められます。またこの試験は、どのように物語を表現するかが受験者の裁量に任されている自由度の高い試験。物語の要約から暗記、そして身振り手振りの装飾まで、多くの準備が必要になります。
世界の昔話を3分間で伝える
言語に関する技術の試験では、世界の昔話を題材として素話を行います。制限時間は3分間。その間に内容を伝えられるように、物語のあらすじをまとめて素話を行う必要があります。題材は例年4作品の候補が用意されており、どの作品で試験を受けるを選ぶ必要があります。題材の選び方やおすすめについては下記で紹介していますので、参考にしてくださいね。
合格ラインは6割
実技試験の前に行われる筆記試験の合格ラインは6割。こちらに受かった人が実技試験を受験することになります。そして今回まとめている「言語に関する技術」の試験の合格ラインも、筆記試験と同じく6割。また実技試験の合格のためには選択した2つの分野各々で6割以上をとる必要があります。一つの分野に50点が配点されているので、2つの分野でそれぞれ30点以上を得点できると実技試験の合格ということになります。
保育士試験・言語表現の練習ポイント
声量・抑揚・声のトーン
①声量
言語に関する技術の試験では、15人程度の子供たちに読み聞かせすることを想定して素話を行うことが求められます。叫ぶ必要はありませんが、声を張って話すことが必要です。想定する15人の子供たち全員が聞きもらすことのないよう、部屋全体に声が響くようにしましょう。
➁抑揚
基本的な声量については上記の通りですが、子供たちの集中力を保つためには抑揚をつけることが大切です。みんなで耳を傾けるような場面や、大きな声でハッと驚かせるような場面を作るのがよいでしょう。
③声のトーン
素話の中でいくつかの声のトーンを使い分けることが必要です。高い声や低い声、がなり声やささやき声。こういった声の出し方のレパートリーを増やしましょう。キャラクターによって声を変化させることで、物語の展開が分かりやすくなりますよ。セリフの内容に合わせてトーンを変えるのもおすすめです。
話すスピード
言語に関する技術の試験は、3歳の子供たちに向けて素話を行うことを想定しています。子供たちが言葉を聞き取ることができるスピードで話す必要があります。よって、普段よりもゆっくりとしたスピードで話すことを心がけしょう。この場合の目安は、一分間に300文字程度。素話の台本は、900文字以内に収まるように作るのが良いでしょう。また声量と同様、話すスピードも緩急をつけると子供たちの注意を引き付けることに繋がりますよ。
視線・表情
試験会場には、子供のイラストがプリントされた紙を貼られた椅子が配置されています。素話を行う際にはこちらに視線を置くようにしましょう。試験の際、目の前には試験官が座っています。試験官の反応が気になる気持ちを抑えて、子供たちに視線を配る練習をしておきましょう。また、素話の際に忘れがちなのが表情作り。ジェスチャーや話し方が上手でも、顔が固まっていると怖い印象を受けますよね。基本的には笑顔で、また場面によって柔軟に表情を変えるようにしましょう。
身振り・手振り
身振り手振りは、素話において必須です。試験の注意事項には、「お話の内容をイメージできるよう、適切な身振り・手振りを加えてください。」と書かれています。表現方法を考える際は、身振り手振りを第一に考えるようにしましょう。「おおきなかぶ」では株を引っ張る動作、「桃太郎」では鬼を攻撃する動作を身振り手振りで表現することができます。そのほかにもキャラクターが動く描写がある場合、そちらをジェスチャーで表現するのがいいでしょう。
保育士試験・言語表現で不合格になる人の特徴
試験問題の確認が不十分
諸注意を守れているかは、大事な採点の基準。いくら素晴らしい表現ができていても、諸注意の確認を怠ると合格が遠ざかってしまいます。ただ諸注意を守っていなかった場合に、必ず不合格になるわけではありません。しかし試験後に諸注意が守れていなかったことに気付けば、合格発表まで安心して待つことができないですよね。安心して合格発表までの時間を過ごすためにも、試験までの間定期的に試験問題を確認するようにしましょう。
話すことに精一杯で余裕がない
話すことだけに集中してしまい、表現がぎこちなくなってしまう可能性があります。この場合の主な原因は、練習不足や緊張。下記で練習方法や緊張をほぐす方法について具体的にまとめていますので、そちらを参考に準備を行いましょう。繰り返しの練習で自信をつけた上で、本番緊張をほぐせば段々と余裕が出てくるはず。目の前の子供たちをイメージして、その子供たちを楽しませよう!という気持ちで取り組めるといいですね。
台本を用意しよう
台本の作り方
台本を作る際には、以下の順番で行いましょう。
1.題材選び
まずは候補に挙げられている4つの昔話から、素話の題材を決めましょう。下記で題材の選び方とおすすめの題材について紹介していますのでそちらを参考にしてください。
2.物語の要約
題材が決まったら、次は物語の要約。初めは少し長めに作成し、その後3分間におさまるように内容を少しずつ削るのがいいでしょう。
3.表現方法を決める
物語の内容が決まったら、次は表現方法を考えていきましょう。表現方法とは、上記で挙げた身振り手振りや声の大きさ、加えて声のトーンなどです。セリフの横にかっこで書いておくとスムーズに練習に進むことができますよ。
題材の種類
初めにも記述した通り、今年度(令和6年度)の課題内容は以下の四つから選ぶことになっています。
2.「おむすびころりん」
3.「3びきのこぶた」
4.「3びきのやぎのがらがらどん」
題材の選び方とおすすめの題材
上記で登場人物を挙げたのは、題材選びの際に参考にしてもらいたい点であるためです。登場人物が多いと、声のトーンや話し方のバリエーションが多く必要になりますよね。上記であげた4つの昔話を見ると、登場人物が最も少ない作品は「3びきのやぎのがらがらどん」。登場人物による表現の使い分けを少なくしたいという場合は、こちらの作品がおすすめです。また、物語のまとめやすさを基準に選ぶのもいいでしょう。物語が複雑だと、台本作りに必要な作業である物語の要約が難しくなります。物語の複雑さを基準に選ぶ際は、「おおきなかぶ」をおすすめしますよ。こちらの作品はなかなか抜けないおおきなかぶを抜くために、段々と協力者が増えていく簡単なあらすじ。物語の要約を簡単にしたいという方には、こちらの作品がおすすめです。
保育士試験・言語表現の練習方法
上手な人の動画を参考にする
素話が上手な人の動画を見て、イメージをつかむことから始めましょう。保育士試験の受験者に向けた素話の動画も、Youtubeなどの動画配信サイトに多く載せられています。無料で見ることができるので、ぜひ活用しましょう。またテレビで放送されている子供向けの番組も、子供たちが理解しやすいように作られています。こちらも話し方や身振り手振りの参考にすることができますね。
本番に近いシチュエーションで練習する
できるだけ本番に近いシチュエーションで練習を重ねましょう。たくさん対策をしたのに、試験本番に実力を発揮できなかったという経験はありませんか?こんな事態を防ぐためには、練習の段階から本番に近いシチュエーションを用意することが大切です。子供のイラストをイスに張ったり、協力してもらえる場合は誰かに試験監督の役をお願いしたりするのがいいでしょう。また素話を行う際に立つか座るかは受験者に任されています。こちらに関しても決定してから練習を始めるのがおすすめです。
動画を撮って改善点を探す
自分の現状を正確に把握して改善につなげるために、自分の素話の様子を動画で確認することをおすすめします。自分では声を張っているつもりでも、周りからすると小さかったり、緊張で思ったよりも早口になってしまっていたりすることがあります。動画に撮って自分の素話を客観視することで、そんな事態を防ぐことができますよ。ただ、毎回動画を撮って見直すのは時間がかかり大変ですよね。その場合は鏡を目の前に用意して、身振り手振りや表情から確認してみましょう。
言語表現試験当日の最終準備
身だしなみチェック
身だしなみについては特に指定はありませんが、第一印象が良いに越したことはありませんよね。フォーマルな身だしなみになるよう心がけましょう。丈の短いスカートなど肌の露出が多い恰好や、派手過ぎる格好は控えるのがベター。また髪型やメイク、ネイルなども、できるだけシンプルなものにして試験に挑むのがおすすめです。採点基準はあるものの試験監督は人間。見た目の印象が結果に悪く響くことがないようにしましょう。
注意事項を再度確認
当日に、もう一度注意事項をチェックしておきましょう。特に注意しておきたい点は以下の5つです。
- 初めに子供に向かって題名を告げる
- 試験監督ではなく、イスに張られた子供のイラストを見て話す
- かならず身振り手振りをいれる
- 絵本や道具等の一切の使用は禁止
- 3分間が経過するまでは勝手に退席しない
プラスαの表現をたくさん加えて練習したのに、規定を守らずに減点されるのはもったいないですよね。当日に再度チェックしておきましょう。
身体の緊張をほぐす
保育士になるための大切な試験。いくら準備が万端でも、会場に着くと緊張してしまう方が多いのではないでしょうか。試験の直前は、実力を発揮するために体の緊張をほぐしましょう。ただ試験会場内では、音や声を出す練習をすることができません。練習は会場外で行い、会場の中では深呼吸や、座りながらできるストレッチをするのがおすすめです。身体がリラックスすると、心の緊張状態も少し改善されるはずですよ。
まとめ
万全を期して確実に合格をつかもう!
題材選びから要約、そして表現の装飾まで、多くが受験者の裁量に任されている言語に関する技術の試験。自由度が高い分オリジナルのアピールを考えることができますが、一方で準備の際に迷うことも多いですよね。また試験官の前で表現力豊かに話すという条件に、本番前から緊張している方も多いはず。今回の記事では、台本の準備から練習、そして本番の過ごし方に至るまでポイントを細かく解説しました。この記事を参考に万全を期して、確実に合格をつかみましょう!
また当サイトでは、保育士試験に関する記事を投稿しています。こちらもぜひチェックしてください!
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