幼保一元化について知ろう【認定こども園・メリット・デメリットなど】

みなさんは幼保一元化という言葉を知っていますか?保育園と幼稚園が分かれているのが一般的ですが、幼保一元化とは文字の通り幼稚園と保育園を一つにまとめようという政策のこと。近年では保護者の就労環境が変化したり待機児童が問題になったりと様々な問題が挙げられている現在において、幼保一元化は非常に注目されています。この記事では幼保一元化について触れていきます。メリットやデメリットなども挙げていくので、みなさんぜひ読んでみてくださいね。

幼保一元化とは?

幼稚園と保育園を一つにまとめようという政策のこと

幼保一元化とは、幼稚園と保育園を一つにまとめようという政策のことです。育児の仕方や育児サービスが多様化している現在では、多くの問題を抱えている保育園や幼稚園。特に待機児童問題は深刻で、保育園の入所選考に落選した方の不満が話題になったこともありましたね。こういった問題への対応策として検討されているのが、幼稚園と保育園を一元化するということです。実際に法律を改正し、子供の保育と教育を実施することを目的としています。これによって保護者の方の働き方や生活スタイルを問わずに柔軟なサービスを提供できると期待されていますね。

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なぜ幼保一元化が必要なのか?

共働き家庭の増加などの社会の変化に対応するため

現在日本では共働き世帯が増加しており、60%以上が共働き世帯であるとされています。これによって保育園の需要は高まり、逆に幼稚園の需要は低くなっています。保育園や幼稚園が制度化された数十年前とは、家庭環境も大きく異なっていることでしょう。しかし、現在の保育園や幼稚園は環境の変化に対応できておらず、整備が進んでいないのが現状です。待機児童問題や少子化問題など、子どもに関わる問題は多くあります。これらに対応するために、幼保一元化を行うということですね。増加した共働き世帯に対応し、待機児童を減らすこと、それらが少子化対策につなげていくことが目的とされています。

幼稚園と保育園の違いは?

子供を預ける目的が違う

保育園と幼稚園の違いとして最も大きいのはもともと園の目的が異なるという点でしょう。保育園は、保護者が働いているなどの理由で保育を必要としている乳児や幼児を保護者から預かって保育するという施設です。一方で幼稚園は、満3歳から小学校に通い始めるまでの幼児への教育を目的としており、適切な環境を与えて、心身の発達を助長することを目的としている施設です。保育園が児童福祉施設で、幼稚園が教育施設と施設の区分自体が異なっていますね。もともとの目的が異なるので、それに付随して異なる点が多くあります。標準的な受け入れ時間は、保育園には7時半ごろから18時ごろまでの園が多いですが、幼稚園では9時から14時ごろが一般的です。保護者が働いているなどの理由から保育を要している子供たちのための施設である保育園。それにに対して、幼稚園は教育を受けるという目的なので、時間としても早めの時間で終わるように設定されていますね。

保育料や入園条件など実務的な差がある

また幼稚園と保育園には実務的な差異もあります。具体的には、保育料や入園条件などでしょう。保育園の保育料は世帯収入、子供の人数、自治体、保育時間の4つの要素を考慮して決定されます。同じ1歳児を預けるとしても年収の差によって大きく保育料が変わってくるというのはよくあるケースでしょう。また入園希望者が多い保育園では入園条件というものも存在しています。選考のために点数を用いて、審査基準としています。具体的には保育料と同様に家族構成や所得などの情報を用いたもの。加えて、家族の状況によって加減点を行い調整するものがあります。(その園に兄弟姉妹が在籍していることが考慮されることもありそうですね。)

認定こども園とは?

幼保一元化によって誕生した施設のこと

認定こども園は幼保一元化によって誕生した施設。保育園には保育所保育指針、幼稚園には幼稚園教育要領とそれぞれ指針があり、それぞれが独自の保育・教育活動を行われています。認定こども園では幼保連携型認定こども園教育・保育要領という指針が新たに策定されました。これによって保育園と幼稚園の良い点を合わせた活動が行われてるのが特徴と言えるでしょう。0歳から5歳までの年齢の子供が通うことができ、子育て支援の提供や交流の場ともなるのが認定こども園です。

幼保一元化のメリットは?

幼稚園でも延長保育が受けられる

幼保一元化のメリットとして挙げられるのが時間外保育です。各園ごとに多少の差はありますが、保育園では通常の保育時間の前後に時間外保育を受け付けている場合があります。職業によっては同じ時間に送り迎えが難しいというケースもあるので、ありがたい仕組みですよね。一方で、幼稚園では子供を預けられる時間は8時半から14時ごろまでという園が多く、短い時間でしかも柔軟な対応がないという状態です。認定こども園では、保育時間が7時から19時までと長く、幼稚園でも時間外保育が受けられるような状態といえるでしょう。共働き世帯にとっては、非常にありがたい仕組みですよね。

保育園の入園条件が緩和される

保育園の入園条件が緩和されることも、幼保一元化のメリットとして挙げられるでしょう。もともと、保育園の入園条件に共働き世帯が含まれていることもありました。しかし認定こども園では、入園する子どもの年齢や状況によって認定区分の違いはあるものの、入園における制限はありません。具体的には、3歳以上であれば保護者の方が働いているかどうかによって制限されることはありません。3歳未満であっても、保育の必要な事由に該当すれば、入園することができます。認定こども園では入園条件が大幅に緩和されたことによって、子どもたちを均等に受け入れることができるような環境を作ろうとしているといえるでしょう。

保育と教育を一緒に受けられる

幼保一元化の最大のメリットは、保育と教育双方を受けることができると言う点でしょう。上で保育園と幼稚園の違いを説明しましたが、幼保一元化によってできた認定こども園では両園の良さを体験できます。園の方針によっては英語や音楽など特徴的な活動をしながらの保育が行われており、多様な教育を受けることができます。家庭環境から保育園に通っていた子供が教育を受けられるようになるなど、保育と教育を一緒に受けられるようになるでしょう。これによって子供たちの可能性を広げていけるでしょう。

幼保一元化のデメリットは?

議論が不十分である

ここまで幼保一元化のメリットについて述べてきましたが、同時に問題点も存在しています。問題点として挙げられるのは議論がまだまだ不十分であるという点でしょう。何かここを解決しないといけないなどの明確な問題が定まっておらず、幼保一元化の方向性についても不透明です。もともと保育園と幼稚園それぞれにルールがある中で、基準をどちらに合わせていくのかも議論の途中。家庭の就労環境など、あらゆる状況に対応するための幼保一元化ですね。しかし家庭ごとに園に対して求めることが様々であるので、どのように一元化していくのか議論が分かれています。幼保一元化を進めていくためにも、今後も議論が必要であることは言うまでもないでしょう。

人材が不足している

幼保一元化の問題点として人材が足りていないというも挙げられるでしょう。実際に、現在保育士だけでも7万人以上足りていないというデータもあります。保育分野や幼児教育の現場では、人材が明らかに不足しており、これは待機児童問題の大きな要因にもなっています。加えて、幼保一元化が進むとなると方針や価値観が大きく変わることとなり、働き手の負担も大きくなることでしょう。もともと保育園と幼稚園の職員では、必要な資格が異なるので再度学びなおす必要が出てくることでしょう。待機児童問題の解決のために作られた認定こども園に、子どもたちの生活を支える職員が足りないということも大いにありうる状況となっています。

幼保一元化はなぜ進んでいない?

幼稚園と保育園で担当省庁が異なるため

ここまで読んできて、メリットが多いと感じたり、ぜひとも幼保一元化が進んでほしいと思ったりしている方がいるのではないでしょうか。しかし現実では、まだまだ幼保一元化は進んでいません。この理由として挙げられるのが縦割り行政でしょう。つまり、幼稚園と保育園は異なる省庁が担当しており、うまくコミュニケーションが取れていないという状況です。具体的には幼稚園は文部科学省が管轄する学校教育施設で、保育園は厚生労働省が管轄する児童福祉施設です。それぞれの省庁にルールや考え方があり、うまく事が運んでいないのでしょう。加えて、本記事でも触れた認定こども園を管轄する省庁は内閣府であり、新たな省庁まで絡んでくることとなります。幼保一元化にはメリットもデメリットもあるからこそ、より議論が進んでほしいですね。

保育士から見た幼保一元化は?

大きな変化に対応することが求められる

幼稚園と保育園の機能を持つ認定こども園が設立され、幼保一元化が進んでいます。この幼保一元化が進むと保育士の方の働き方や子供たちとの向き合い方も変化していくことでしょう。加えて、2018年に保育所保育指針でも子供主体の保育が推奨されました。保育園でも幼児教育の考え方を取り入れ、子供主体の保育へとシフトしていることで保育士の方自身も変化が求められていますね。昔の協調性を重視していた保育と比べて、子供の主体性を大事にしていく保育では子供たちひとりひとりに時間をかけることとなります。ベテランとなった保育士の方でも新しい保育を取り入れながら、子供たちと接するのには苦労しているようですね。特に人材不足の問題を抱えている現状も相まって、非常に厳しいと言えるかもしれません。実際にもう少し保育士の方がいたらという、追加人員を求める現場の声も少なくないようです。幼保一元化は子供たちにとってメリットがあることかもしれません。ただし、実際に現場で働いている方の目線に立つと改善しなければならない問題が山積みですね。

まとめ

今後の幼保一元化の動きに注目しよう

いかがだったでしょうか。この記事では幼保一元化について説明してきました。幼保一元化とは何かという説明に加えて、背景やメリット、デメリットなどにも触れてきましたね。幼児の保育、教育業界では多くの問題が存在していて、迅速な対応が求められています。幼保一元化についてまだまだ議論が進んでおらず、課題感も伝わったのではないでしょうか。この記事を読んで、幼保一元化について興味を持ったり、疑問に思った方がいるのではないでしょうか。子供たちとその保護者の方達のためにも、みんなで議論していくことが重要なのではないでしょうか。

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