手話検定とはどんな資格?難易度はどれくらい?【種類・試験内容・単語・メリット・就職】

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手話とは、耳の聞こえない方や声の出せない方が意思を伝える大切な手段となる言語です。最近では、ドラマでも話題になることが多くなりました。身近に感じるようで、意外と知らない手話のこと。これからの社会では、より多くの人が手話を使いこなせるようになるといいですよね。手話を使いこなせれば、より一層コミュニケーションの幅が広がります。より多くの人が手話を知るためには、幼いころから手話にふれあう機会が必要になるでしょう。手話の歌や簡単な合図としてなど、保育の中で取り入れることの多い手話。さて、今回はそんな手話の能力を測る手話検定について解説していきます!

手話検定とは?

手話を用いたコミュニケーション能力を測る試験のこと

手話検定とは、手話の能力を測る試験のこと。手話を用いて、どれくらいコミュニケーションが取れるのかを問う試験となっています。ユニバーサルデザインという言葉よく聞かれるようになった現代。どんな人にも優しい社会を作りたいと考える人は多いようです。その中でも、コミュニケーションの手段は、たくさん知っておいた方が良いですよね。これからの社会では、手話ができることが大きな強みになるでしょう。勉強をはじめても、ゴールがないと続かないという人もいると思います。そんな人は、手話検定に合格することを目標に勉強を始めてみるのもいいかもしれませんね。

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手話検定には2つある?

全国手話検定試験

手話検定には2種類あります。まず1つ目は、ここで紹介する全国手話検定試験です。社会福祉法人全国手話研修センターが主催するこの試験。面接をとおして、実際にどれくらいのコミュニケーションがとれるかが問われます。二つの中では、全国手話検定試験の方が、少し難易度が低いようです。初めて勉強する方や、まだ自信のない方は、全国手話検定試験を受けてみるといいかもしれませんよ。

手話技能検定

2つ目は、手話技能検定です。手話技能検定は、NPO手話技能検定協会が主催しています。この協会は、2006年に障がい者権利条約で、手話は言語であると明言される前から、手話を一つの言語として考えていました。だからこそ、手話という言語の実力を測る検定として、難易度も高くなっているようです。こうして聞くと、初めての人は少し身構えてしまうかもしれません。しかし、手話をしっかりと学びたい方や、自分の実力を測りたい方には、おすすめの検定となっています。

全国手話検定試験の試験内容は?

5級:自己紹介をもとに簡単な会話ができる

5級の学習時間の目安は、手話学習を始めて6か月くらいの人とされています。出題範囲の単語数はおよそ300~400。具体的には、ありがとう・おはようの挨拶の単語や、簡単な動詞・形容詞の単語が範囲となっているようです。簡単な自己紹介ができるレベルと記載されているので、受験の際には、自分の名前や年齢、家族のことなどを含めた自己紹介ができるようになっておきたいですね。

4級:家族との身近な日常生活などについて会話できる

4級受験の目安は、手話学習を始めて1年ほどのレベル。1年間の出来事や思い出、生活や予定について手話で表すことができるレベルとなっています。単語数はおよそ800~900。1年間・1週間・1日などの具体的な数字を含んだ単語や、季節の行事に関わる単語が範囲になっているようです。5級よりも、より実際の会話を意識した範囲になっていますね。手話をただ覚えるだけでなく、文章で伝えられるようになっていると良いでしょう。

3級:社会生活の体験を用いて会話することができる

3級の受験目安は、手話学習を始めてから1年半です。具体的には、日常生活の体験や、子供のこと・健康のこと・職場のことなどを手話を用いて話すことができるレベルのようです。単語数は1200~1400。単語数がさらに増えましたね。3級では、あらゆるテーマについて手話で表現できることが求められているため、名詞が多くなっている印象です。身の回りのものは、一通り手話で表現できるようになっていることが望ましいでしょう。

2級:社会生活全般について手話で簡単に会話できる

2級の受験目安は、手話学習開始から2年ほど。社会生活全般について手話で話すことができるレベルとされています。単語数は2100。公的な挨拶ができるほどのレベルを目安の一つとしているため、株式会社・会長・歯科等の名詞や、一任する・進歩する等の名詞を含む、少し難しい言葉が増えています。具体的には、仕事や公的な場において、手話でコミュニケーションが取れるレベルを指しているでしょう。

準1級:社会生活の体験などを手話で一部専門的に表すことができる

準1級は、手話学習を2年半ほどしている人が対象となっています。趣味やサークル活動などを含めた社会活動について、手話を用いて表すことができることが求められているようです。単語数はおよそ2600。単語の中には、アルツハイマーやAEDなどの医療に関する単語や、難しい言葉も増えています。最上級の一つ手前の級である準1級。合格のためには、万全な準備が必要となるでしょう。

1級:あらゆる場面においてよどみなく手話で話すことができる

最上級である1級の受験目安は、手話学習の開始からおよそ3年となっています。合格には、手話を用いてコミュニケーションを取ることに、全く問題がないレベルと考えて良いでしょう。必要となる単語数は3500。社会問題や、時事問題について自分の考えを述べることができるレベルが求められているので、専門的な単語がかなり増える印象です。言語学習において、専門的な会話をすることができるようになるまではかなり時間を要します。手話においても同じように、合格にはかなりの学習が必要でしょう。

手話技能検定の試験内容は?

7級:指文字の基本形を覚えてゆっくり表現・読み取ることができる

手話技能検定の初級である7級は、指文字についての試験になります。紙面に書かれた指文字の絵を見て、何が書かれているかを解答に書く試験です。受験目安としては、手話を始めて一か月ほど。英語で例えれば、アルファベットの練習をするのと似ているでしょう。指文字での50音を覚えていることが求められますが、濁点などの動きのある指文字は、範囲外となっています。

6級:簡単な挨拶や日常会話の単語を読み取ることができる。

6級の受験目安は、手話学習開始から3か月ほど。7級では範囲外だった動きのある指文字(濁点や半濁点のないもの)ですが、6級では出題範囲となります。映像の読み取りが主な試験内容です。求められる単語数は、100ほど。おはようございますやさようならなどの挨拶と、千の位までの数字などが手話で表現できるレベルが求められます。曜日や、家族に関する簡単な名詞も含まれているようです。

5級:挨拶や自己紹介等を相手に質問することができる

5級では、手話学習開始から、6か月程度が受験の目安となっています。求められる単語数は200ほど。例文数はおよそ30です。はじめまして、名前は〇〇です等の自己紹介に必要な例文を、手話で表現することができるレベルが求められます。それだけでなく、相手に、趣味についてなどの簡単な質問ができることも求められるでしょう。試験は、6級と同じく映像の読み取りとなっています。

4級:接客の会話や数字の入った会話をすることができる

4級の受験目安は、1年間程度。これまでの級では、簡単な会話や単語の表現が試験範囲でした。4級からは、社会生活で活用できる会話表現が求められます。必要になる単語数は、およそ500、例文数は100ほど。具体的には、喫茶店や保育園といった場所の名前や、お金について高い・安いという表現が範囲となっています。手話を用いて、お店や窓口で会話できるレベルが求められるでしょう。

3級:道案内や手話サークル・学校などで会話することができる

3級では、手話学習開始から2年ほどが目安となっています。求められるレベルは、手話を用いた道案内や社会・学校生活での会話が可能なレベル。求められる単語数は、1000程度で、例文数はおよそ300です。印鑑や診察といった、生活で使う少し難しい言葉や、海外旅行やオーストラリアなどの非日常的なものも範囲となります。疑問視・副詞・形容詞を用いて、手話で会話ができるレベルが求められるでしょう。

2級:専門分野を含む2000単語を読み取ることができる

2級で求められる受験目安は、手話学習開始から3年。実技も試験内容に含まれるので、手話での表現力がかなり必要になります。必要な単語数は2000ほど、例文数は制限なしと記載されています。2級では、憲法や定期預金などの難しいものが範囲に。試験内容は、インプロンプトスピーチと課題文です。インプロンプトスピーチとは、与えられたテーマで即興でスピーチすることを意味します。この試験においても、試験前に通達されたテーマに沿った、手話スピーチが課題。また、与えられた課題文に沿った手話表現をする試験も組み込まれています。これまでの級とは違い、受験者自らが手話で表現することが試験となるでしょう。

1級:高度で具体的な会話を自由にできる

最上級の1級は、3年以上の学習期間が目安。単語数や例文数に制限はありません。公式的に発表された範囲などもないため、ネイティブレベルの手話が必要となるでしょう。試験内容は、2級と同じくインプロンプトスピーチと課題文です。ちなみに、手話技能検定のインプロンプトスピーチのテーマなどは公表されていないため、合格には、かなり高いレベルが求められます。試験の難易度としては、非常に高いと考えた方が良いでしょう。

2種類の手話検定の違いは?

難易度の違い

この二つの試験は、難易度が少々異なるようです。目安としては、全国手話検定試験の1級の難易度と、手話技能検定の3級の難易度が同じくらいといわれています。全国手話検定試験と比べると、手話技能検定の方がより難易度が高いといえるでしょう。手話技能検定では、指文字や単語の読み取りだけでなく、スピーチによる表現などもあるため、難易度が高くなってるようですね。特に指文字だけを範囲とする級は、全国手話検定試験にはありません。しかし、指文字は手話を始めるにあたって欠かせないものなので、どちらの試験をうけるにも、しっかりとマスターしておきましょう。

試験概要の違い

全国手話検定試験と手話技能検定では、受験概要が少々異なります。全国手話検定試験においては、手話に関することだけでなく、耳の仕組みや聴覚障がいと社会環境についてや、ろうあ者の歴史についてなども出題範囲になるようです。手話技能検定試験は、手話を専門的に扱う試験。対して、全国手話技能検定は、手話や聴覚障がいなどについて全般的に扱う試験といえます。このような違いがあるため、手話を言語として学びたいのか、手話だけでなく、聴覚障がいに関する理解を深めたいのかによって、どちらを受験するか決めると良いでしょう。

試験目的の違い

この二つの試験では、試験が始まった目的が異なります。手話技能検定は、手話を一つの言語としてとらえていることが特徴でした。まだ手話の実力自体を測る試験や、それを証明する資格が、手話通訳士しかなかったころに、手話の実力を測る試験として誕生しました。対して全国手話検定試験は、手話を広めることや聴覚障がいについて理解を深めることが主な目的となっています。だからこそ、試験の内容には手話だけでなく、それに関することも出題されるのですね。

保育士が手話検定を取るメリット

ろう者の親御さんや子供とのコミュニケーションが円滑に

保育士が手話検定を取るメリットとして、まずコミュニケーションの幅が広がることが挙げられます。親御さんがろう者である場合には、親御さんとのコミュニケーションに役立つでしょう。それだけでなく、ろう者の親御さんを持つ子供の中に、幼少期は、話すより手話の方が得意な子がいるようです。そのため、簡単な挨拶や指文字を覚えていれば、コミュニケーションをより一層円滑に取ることができますね。

子供たちへの合図として簡単に取り入れることができる

実際に身近に手話を使う方がいない場合にも、子供たちの合図として、手話を活用することができます。たとえば、遊びの時間の終わりに、おしまいの手話を合図としてつかったり、絵本のよみきかせの前にはじまりの手話を活用します。言葉だけでなく、視覚的にも分かりやすい合図を用いることによって、園児の注目を集めやすくなるでしょう。切り替えや終わりの合図を、よりわかりやすく簡単にしたい方は、是非手話を取り入れてみてはどうでしょうか?

転職にも役立つ資格となる

手話検定は、転職に役立つ資格です。手話ができるということの証明になるため、手話に関する仕事をしやすくなります。耳の聞こえない子供たちの支援は、ろう学校だけではありません。社会福祉施設において、児童発達支援センターや、個人経営の聞こえとことばの教室など、支援や教育の形はさまざま。耳の聞こえない子供たちの支援の場では、保育士としての経験がそのまま生かせる場も多く、転職にはかなり役立つ資格となるでしょう。

まとめ

手話検定を取得して更なるスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか?

手話検定は、手話をはじめて勉強する方にとって、目標となる資格。手話検定を持っていることによって、活躍の幅はかなりひろがりますね。これからの保育士としてのキャリアに悩んでいる方や、何か人と違う強みが欲しいと思っている方には、かなりおすすめできる資格となっています。手話を学び、手話検定を取得して、更なるスキルアップを目指してみてはいかがでしょうか?

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