食育インストラクターとはどんな資格?【仕事・勉強・取り方・活かし方など】

何かと話題になることの多い食育。最近は幼稚園や小学校などで食育を実施することが増えています。そこで今回は、食育の実践に役に立つ食育インストラクターという資格について解説していきますよ。食育インストラクターとは、健康管理や食事に関する専門的な知識や技術を習得できる資格のこと。家庭内だけでなく、学校教育など様々な場において、活躍することができます。

食育インストラクターとは?

食育を実践する専門家のこと

食育インストラクターとは、食育を実践する専門家であることを示す資格で、資格取得には、食育を基礎から学ぶ必要があります。そのため、食育の基礎をしっかりと学び、それを実践することができる指導者の証となります。食育に関心の高い主婦の方や、学校教育等で活用したいと考えている方に人気のある食育インストラクターという資格。こうして聞くと、食育インストラクターの受験は、難易度が高いと思う方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、資格試験はプライマリーから1級まで5つにレベル分けされているため、食育初級者でも挑戦しやすい資格となっているでしょう。

資格取得には食育に対する深い理解と知識が求められる

食育初級者からでも挑戦しやすい食育インストラクターですが、取得には様々な知識が必要となります。そのため、基礎的な知識から勉強が必要です。食育を実践するだけでなく、食育を学ぶことによって食文化承継の担い手となるため、深い理解や知識が求められるのですね。「生きることは食べること」と言われることの多い食事。人生において必要不可欠だからこそ、それを正しく指導できる食育の専門家が求められています。「食育インストラクター」は食育に注目の集まる昨今にぴったりの資格といえるでしょう。

保育士くらぶ

食育アドバイザー・食育マイスターとの違いは?

食育インストラクターと関連する資格に、「食育アドバイザー」と「食育マイスター」というものがあります。この3つの資格に違いはあるのでしょうか?食育を学ぶ上で最も適しているものはどれなのか、気になりますよね。食育を専門的に学びたい方や、生活に活かしたい方、それぞれの目的があると思います。特徴や目的に違いがあるので、自分の目的と最も合っているものを受験できるといいでしょう。さて、ここからは、3つの資格の違いについてそれぞれの分野で解説していきます!

認定機関の違い

食育インストラクターは、特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会という機関が認定しています。それに対して食育アドバイザーは一般財団法人日本能力開発推進協会、日本野菜ソムリエ協会が認定しています。認定する機関の違いは、取得の目的や取得後のビジョンにも違いが出てくるでしょう。日本食育インストラクターという協会は、食育を広めることを主な目的として活動しています。その名前からも、食育を実践する協会として活動していることがうかがえますね。そのため食育インストラクターは、より専門的に食育を学びたい方に、最も適した資格となっています。

取得にかかる費用の違い

食育インストラクターの資格取得にかかる費用は、全部でおおよそ4万円ほどで、これには講習の受講料や筆記試験の受験料が含まれています。食育アドバイザーの場合は、約4万円ほど、食育マイスターの場合はおおよそ14万円ほどかかります。食育マイスターの資格取得には、特に費用がかかるようですね。これは、食育マイスターを認定する協会が、受験するために通学制度を用いているためです。通学以外では食育マイスターを取得することができません。対して、食育インストラクターや食育アドバイザーは、通信講座でも受講することができます。食育マイスターは他二つとは異なり、受講をメインとした資格取得と考えるといいでしょう。食育インストラクターにかかる費用は少々高く感じるかもしれませんが、他の食育に関する資格費用を鑑みると、相場に対して妥当な額といえるのではないでしょうか。

受験資格の違い

食育インストラクターの場合は、各級によって受験資格が異なります。基本的には、事前に指定された講座を受講していることが受験資格として求められています。また、上級になると実務経験を積んでいること、その前の級を取得している必要があることも。これは、専門的な知識を示す資格としての表れでしょう。食育アドバイザー取得には、食育インストラクターと同様に、認定機関が定めた教育訓練の全カリキュラムを終えている必要があります。この二つに対して食育マイスターに、受験資格は特にさだめられていません。そのため、誰でも・どの級からでも受講できるようになっています。

学習内容の違い

この3つの資格の間で大きく異なる点は、学習内容ではないでしょうか。食育インストラクターは、食育の3本柱を学び、健全な食生活を実践する力を鍛えます。また、調理の実習試験もあるため、調理の場において実際に活躍することができるでしょう。それに対して食育アドバイザーは食育に関する知識だけでなく衛生管理についても学習します。食育マイスターの学習内容は、食育に関する知識と地産地消、フードマイレージなど現代における食をめぐる問題について学びます。 こうしてみてみると、3つの資格にはそれぞれに特色があることが分かりますね。より実践的な食育を学びたい、習得したいと考えている方に、食育インストラクターの資格はピッタリではないでしょうか?

食育インストラクターの学習範囲や取得方法は?

プライマリー:食育の基礎を学ぶ入門階級

初級であるプライマリーでは、食育の基礎である食育の3本柱を学びます。食育の3本柱とは、

①安心・安全・健康の選食能力を養う
②衣食住の伝承・しつけは共食(家族の団欒)から
③食糧問題やエコロジーなど、地球の食を考える

の食育の3つの基本要素のことです。そのほかに食育に関する基本的な知識を学ぶことで、食育知識の基礎固めを行います。プライマリーは、食育の初級を学ぶ予備試験のようなもの。着実に取得するために、プライマリーからしっかり学んでいきましょう。取得には、指定された講座を受講し、試験に合格することが必要となります。

4級:基礎を踏まえて家庭料理の技術を学ぶ

食育の基本をふまえ、家庭料理の基本を学びます。主催協会の推進校に通学し、指定の講座・実習を受講したあと、筆記試験を受験。その試験に合格することで4級取得達成になります。この級は、プライマリーから一歩深く食育に対する理解を深められる級です。座学だけでなく調理実習もあるため、より実践的な勉強が必要となるでしょう。プライマリーから考えると、より専門的な内容を学ぶ4級。この級で基礎をしっかり学ぶことが、のちの資格取得にも大きく関わるので、しっかりと準備をして受験することをお勧めします。

3級:料理技術の向上と食育に対する理解を深める

3級の受験内容は、大まかに2つに分けられます。1つは、プライマリーと4級を取得し、調理実技筆記試験に合格、または推進校にて既定の調理実技を履修するという内容。これから食育を学ぼうと考えている方は、こちらの内容で受験することになります。プライマリーから4級と、基礎をしっかりと学べる上、上位級でより深く学ぶことができます。さて、2つ目は食育に関する国家資格をすでに取得している方向けです。すでに食育に関する基本的な知識を備えているため、プライマリー・4級を受験せず、3級から受験することが可能。その場合、下記の方法で取得することができます。

①認定研修会または協会推進校で単位を取得
②食育筆記試験を受験し合格
③調理実技筆記試験に合格、または主催協会推進校で調理実技を履修する

3級からは、4級までよりも難易度が少し上がるでしょう。そのため、プライマリー・4級と学んできた食育の基礎を忘れず、より知識を深める必要があります。

2級:食育と食事に関する幅広い知識を身に着ける

2級は、幅広い知識を身に着け、それをわかりやすく人に伝えられるようになることを目安としています。2級もまた3級のように、2通りの受験内容があります。

①資格認定食育研修会で単位を履修
②食育筆記試験に合格
③調理実技筆記試験に合格、または主催協会推進校で指定されている調理実技を履修

ただし、プライマリーを取得した方や国家資格を持っている方は、③が免除に。途中の級から受けることができる資格を持っている方でも、プライマリーでの基礎知識はしっかりと勉強する必要がありそうですね。

1級:食育に関する専門的な知識を身に着ける

最上級である1級の取得は、より専門的で実践的な能力を必要とします。また、取得にはこれまでの級とは違って、2級取得後から1年以上の実務経験が受験資格として必要になります。また、活動報告書やメニューの提出を求められるため、難易度はかなり上がるでしょう。専門性が高いため、養護教諭や管理栄養士の方も受験しています。受験内容をまとめると以下のようになります。

①2級を取得後、1年以上の実務経験を積む
②食育活動報告書の提出
③食育メニューの提案
④1級・2級資格認定合同研修会に参加し、単位を履修
⑤食育筆記試験に合格

専門的に食育を学び、実践したいと考えている方は、1級合格を目標に勉強を始めると良いのではないでしょうか。

食育インストラクターを活かせる仕事は?

保育・教育関係

食育を活かせる仕事として一番に思い浮かぶのは、教育関係ではないでしょうか。食育が注目されることの多い昨今、自分のこどもに質の高い食育を受けさせたいと思う親御さんが増えています。食育は、食事のマナーや文化を学ぶだけではありません。食育の機会は、健全な食事とは何か、それを実践する方法も学ぶことができる機会となります。だからこそ食育は、教育業界でかなり注目されている様子。食育インストラクターは、基礎から専門的分野まで、段階を踏んで学ぶことができます。そのため、現在すでに保育・教育関係で働いている方にとってのスキルアップとして挑戦しやすいのではないでしょうか。

社会福祉・介護関係

食育インストラクターを取得することによって、社会福祉・介護関係においても活躍することができます。特に高齢者を対象とした食育は、農林水産省が作成した食育白書にも明記されています。高齢化が急速に進んだ現代において、強く求められている栄養価の高い配食事業。現代においては、これを実現するだけでなく、高齢者自身が適切な食事を選ぶ必要があるでしょう。高齢者が介護士施設における食育を受けることによって、高齢者の低栄養化を防ぎ、健康状態を適切に保つことができます。また活躍の場は、障がい者施設等においても、何を食べることが健康なのかを指導する役割だけではありません。楽しく食べる・苦しくなく食べる・自分のペースで食べるなど、一人ひとりに合わせた食事方法を指導することも食育の一つとなります。

飲食業界

食育インストラクターは、飲食業界においても活躍することができます。やはり食育の専門家は、食事に関する深い知識を持っていると認識されます。そのため、飲食業界では活躍の場が多いでしょう。昨今の飲食業界では、環境に配慮した食品づくりや、フードロス問題にどう対処するかなどが課題となっています。食育インストラクターは環境問題や、フードロス等を深く学ぶことのできる資格。飲食業界において、求められている知識を持つのは、食育インストラクター取得者ではないでしょうか。そして、食育インストラクターという資格は、就職の際に、資格として履歴書に書くことが可能です。そのため、自身のアピールポイントとして紹介することができるでしょう。

食育インストラクターを取得するメリット

食育に関する理解を深めることができる

食育インストラクターは、食育を実践する専門家です。そのため、取得するまでに食育についての知識はすべて網羅する必要があります。食育への知識や理解を、確実に深めることができるでしょう。今はまだ食育の知識が全くない方も、基礎部分から学ぶことができます。1級まで取得するにはかなり時間が必要なようです。しかし、だからこそ、食育インストラクターを取得することが、食育の専門家である証になるのです。上位級では、既に食育を実践している受験者も増える様子。しかし、既に関連する資格を持っている人と、食育インストラクターだけを着実に勉強している人で、受験方法が異なるため、自分のペースで取得することができます。これらのことを鑑みて、これから食育を学んでいきたい方には、かなりおすすめの資格となっているでしょう。

食事のマナーや伝統などを教えることができる

食育の勉強には、食事マナーや伝統文化などが含まれています。食育において、食事マナーの指導や伝統文化継承などは、見落とされてしまいがちです。しかし、特に食事マナーは、幼いうちから学ぶことで、身につきやすくなるものです。食育インストラクター取得には、食育に関する幅広い知識を学習しなければなりません。そのため、指導者として教える相手に合わせた指導ができるのも、食育インストラクターを取得するメリットとなるでしょう。

まとめ

食育インストラクターを取得して食育を実践してみてはいかがでしょうか?

保育の場においても、食育実践の需要は高いものとなっています。食事マナーに関してだけでなく、何を食べるか、どのように食べるのかを幼少期から身に着けられると良いですね。また、食育インストラクターの取得には、調理実技の習得も含まれています。そのため、実際に調理実習を行ったりすることもできるので、実践にもとても役に立つ資格となっています。保育士としてもう一歩ステップアップしたい方は、食育インストラクターの資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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