STEAM教育とは?【5つの分野・活用例・課題・保育園での実践例など】

みなさんはSTEAM教育という言葉を聞いたことがあるでしょうか。現在ではプログラミングの習い事もあるほどですから聞いたことがある方もいるかもしれません。近年教育業界における注目ワードにもなっているSTEAM教育。保育園や幼稚園、小学校や家庭などさまざまな場所で推進されています。この記事ではそんなSTEAM教育について取り組み例などを踏まえながら説明していきます。特に今回は保育園や幼稚園での実践例も挙げているので、ぜひ読んでみてくださいね。

STEAM教育とは?

STEAM教育は文理の枠を超えて多くの教科の学習を実社会に活かしていくもの

もともとScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学んでいくというSTEM教育という考え方がありました。特にIT系の技術などの革新が進んでいる状況を鑑みて、子供たちを今後のIT社会に適応していくことができる人材へと育てていくことを目的としたものでした。STEAM教育はこのSTEM教育にArt(芸術)を追加したものです。これによって子供たちの数学や科学的な思考の基礎と創造力豊かな思考を合わせて用いることができるようになることが期待されています。

保育士くらぶ

STEAM教育はなぜ必要?

社会の変化にも対応できる人材になるため

これまでの教育方針のままではなくSTEAM教育という考え方が広がっているのはなぜでしょうか。その理由は社会の変化が挙げられます。今の子供たちが大人になり、社会に出る頃の社会は予測不可能だと言われています。ITや人工知能を筆頭に多くの技術が進歩し、ものすごいスピードで変化していくことが予想されています。そういった状況下で大人になる子供たちにとって、先生に教わり習得するという教育だけでは不十分でしょう。自分で問題を解決し、自身を変化させていける能力が求められていきます。こういった背景からSTEAM教育が注目されているのでしょう。

S:科学

STEAM教育のSは科学(Science)です。科学は常にわたしたちを取り巻いているもので、もともと動植物や宇宙などの自然現象を学ぶ学問。STEAM教育においては子供たちがさまざまな物事に好奇心を持てるようにつながっていくような働きをしています。例えばなぜ氷は温めると水になるのか気になる子供がいたとしましょう。子供たちはこういった身の周りのことに対して、疑問や興味を持ちます。これが子供たちの知りたいという気持ちを養い、知的好奇心を強めていきます。

T:技術

次にSTEAM教育のTは技術(Technology)です。技術は上で述べた科学を利用して、実際にモノを作ったり、工夫したりすることです。科学を学ぶことによって得た情報や知識は持っているだけではなく、実際に用いることで最大限生活に役立つことになるでしょう。今ではよく聞くようになったプログラミングを学ぶことで知るだけでなく使うことまでできるでしょう。実際に技術という要素を学ぶことで、STEAM教育の目的の一つである論理的思考力や実際に課題を解決する力を直接的に養っていきます。

E:工学

次にSTEAM教育のEは工学(Engineering)です。工学は主に工業や産業に役立てるために、新しい製品や新しい技術を研究する学問です。科学で学び、技術で思考した物を実際に作り出すという役割を担うと言えるでしょう。現在では子供たちが扱えるような安全なロボットキットも開発されているので、使ってみても良いかもしれませんね。実際に工学という要素を学ぶことで産業において重要である空間把握能力や生産力を養うことにつながるでしょう。

A:芸術

次にSTEAM教育のAは芸術(Art)です。STEM教育からSTEAM教育へと変化するきっかけとなったのがこの芸術です。芸術は学校教育における美術ではなく、ダンスや演劇、デザインなど幅広い分野をまとめて指しています。またArt(芸術)だけでなく、リベラルアーツ(教養)の要素も含まれており文字通り、幅広い分野に対して自由な発想力で取り組むことが求められています。、従来のSTEM教育の論理的な思考力に留まらず、この芸術の要素に触れることで子供たちの想像力や発想力が養われていきます。

M:数学

最後にSTEAM教育のMは数学(Mathematics)です。数学は現在ペーパーテストやビジネスシーンのためのものであると考えられることも多いですが、単に計算力を養うものではありません。問いから答えに辿り着くための、論理的な思考力を大きく磨くことにつながっていきます。数理的な考え方を学んでいくことによって、他のSTEAMの要素へとつながっていきます。ですからこの数学という要素はSTEAM教育の土台とも言えるでしょう。

STEAM教育にも課題はある?

格差の問題が浮上している

STEAM教育の大きな課題の一つとして挙げられるのが格差の問題でしょう。地域間によるものや家庭間によるものなどさまざまな格差が存在するのが現状です。例えばプログラミングに触れるためのパソコンがある家庭もあれば、ない家庭もあるでしょう。また、そういった教育に力を入れている自治体と、そうでない自治体も存在しているでしょう。このように、受けられる教育や保育に差が生まれやすく、その結果子供達が得る体験の量も大きくなっています。子供たちの将来のことを考えると、格差は大きな課題だと言えるでしょう。

STEAM教育に携わる保育士や教員が不足している

担当の職員や教員が足りていないということは課題の一つと言えるでしょう。現在日本では保育士や幼稚園教諭、教員の不足が深刻になっています。その中で、STEAM教育という新たな教育方針を適用し、変革していくことは非常にハードルが高いでしょう。STEAM教育を推し進めていくためには、実際に子供たちと触れ合っている保育士や教員などが新たに多くを学ぶ必要があります。プログラミングなどに関しては尚更です。人材不足の影響で、かなり時間が限られてくる中での新たな物事の習得は非常に大変と言えるでしょう。

幼少期からのSTEAM教育

幼少期からのSTEAM教育は非常に有効

幼少期からSTEAMの要素に触れることは、子供たちにとって非常に有意義です。実際に保育園や幼稚園での活動にはSTEAM教育の入口となりうるものが多く存在しています。実際に多くのものに触れたり、五感を使ったりという機会が多いでしょう。実際に精一杯考え尽くす時間も確保されていますし、やりたいことに自由に挑戦できる機会は意外と少ないものです。そういった点を考慮しても、幼少期からのSTEAM教育は非常に有効と言えるでしょう。

保育園・幼稚園でのSTEAM教育実践例

工作

保育園や幼稚園における定番の活動である工作もSTEAM教育の一例となりうるでしょう。モノを切り貼りし作りたいものへと近づけていくという工学の要素。それぞれの作業によってどのような変化が起きるのか想像したり、美術的な観点で捉えたりという芸術の要素。また形や長さなどの要素に触れるということは数学の第一歩となっていくことでしょう。これらからも分かるように工作によってもSTEAM教育の多くの要素が育まれていくことでしょう。

自然体験

子供たちが自然に触れることができる環境づくりはSTEAM教育という観点で見ても非常に有益でしょう。実際に多くの保育園や幼稚園では植物を育てたり、公園で季節の植物に触れたり、動物や虫を飼ったりなど自然に触れる機会が多くあります。五感で感じたり、美しさを感じたり、疑問を持ったりと多くの刺激を得られることでしょう。こういった活動から子供たちは科学や美術の要素を学び、成長していきます。STEAM教育という観点で見ても、自然と触れ合うことができる環境は非常に重要と言えるでしょう。

科学遊び

自然体験と同様に現在でも取り入れられていることが多いのが、科学遊びです。小学校以降では理科の授業で実験を行うことがありますが、保育園や幼稚園から科学に関する内容に触れながら遊ぶということもまた非常に重要でしょう。特に身近なものを用いながら科学に触れることができるので、子供たちの純粋な疑問を引き出します。水が氷になったり、風車が回ったりといった比較的身近な出来事を通して子供たちの好奇心を育くみ、仕組みを考える機会を提供することにもなるでしょう。

知育玩具

子供たちが遊ぶおもちゃも工夫してみると良いでしょう。もちろん使って楽しむことも重要ですが、成長につながるようなおもちゃでも遊んででもらいたいですよね。子供たちが考えることや想像することを促し知的な成長を助けるおもちゃのことを知育玩具と言います。実際に現在でも知育玩具を利用している保育園や幼稚園もあります。代表的なものとして積み木やブロックが挙げられるでしょう。いろいろな形を組み合わせて遊んだり、組み立てながら何かを作ったりします。これによって空間把握能力が上がったり、物理的な考え方が身についたりします。こういった知育玩具での遊びは楽しみながらSTEAMの要素を学ぶこともできるでしょう。

声かけや会話

何かおもちゃを使ったり遊んだりしなくても、STEAM教育につながることもあります。1番分かりやすい例として、会話が挙げられます。会話は保育園や幼稚園であっても、家庭であっても毎日のように行われるものでしょう。「どうしてだと思う?」など疑問を投げかけることによって、子供たちの好奇心や思考力は上がっていきます。また子供ですから、分からないことも出てくるでしょう。そういった難しいものや分からないものに対しても自分なりに立ち向かい考えることにつながるでしょう。子供たちの成長する機会が日常にも多くあるのは、非常に良いことですよね。

まとめ

STEAM教育に取り組んでいこう

いかがだったでしょうか。今回はScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)、Art(芸術)を統合したSTEAM教育について説明してきました。実際に保育園等での活用例や取り組み、課題などについても触れましたね。STEAM教育という言葉を聞いたことがあったという人にも無かったという人にも、深く知り理解するきっかけになればと思います。この記事を読んで興味が湧いた方は、ぜひSTEAMの要素を意識しながら子供たちと接してみてください。

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