アドラー心理学について知ろう!【子育て・わかりやすく・課題の分離・勇気づけなど】

みなさんはアドラー心理学やアドラー式子育てという言葉を聞いたことがあるでしょうか。アドラー心理学は心理学の中で最も有名なものの一つです。またこのアドラー心理学を応用した子育てのことをアドラー式子育てと言います。アドラー心理学の内容や特徴、活用ポイントなどこの記事で幅広く触れていきしょう。特にアドラー式子育てに関しては、子供との接し方に悩んでいる方にとって考えるために良いヒントとなるかもしれません。ぜひこの記事を読んでアドラー心理学とそれを用いたアドラー式子育てについて知ってみてくださいね。

アドラー心理学とは?

幸せになるための心理学

オーストリアの精神科医であったアルフレッド・アドラーは、自身で臨床心理学の体系を創始しました。アドラーはこの心理学を個人心理学と名づけ、現在日本ではアドラー心理学という名前で浸透しています。このアドラー心理学は、いわば幸せに生きていくための心理学と言えるでしょう。具体的には人は目的のもとに生きており、幸せになるには勇気を持つ必要があるという考え方からなる心理学です。アドラーの考えには幸福とは何かや、いかに人は生きていくのかといったテーマに対して明確にイメージを持っているものになります。

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アドラー心理学の注目度が増している理由

『嫌われる理由』の大ヒット

もともとアドラーは日本で知名度がそれほど高い心理学者ではありませんでした。加えて、アドラー心理学や個人心理学という心理学の名前自体もごく一部の人に伝わっていた程度のものでした。しかし2013年に『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社/岸見一郎・古賀史健 著)という書籍が出版されます。この書籍はアドラー心理学を解説するもので、内容とそのわかりやすさが理由で大ヒット。これによってアドラー心理学の名前が日本中に知れ渡っていきました。

SNS時代の空気感が原因

ではなぜ『嫌われる勇気』は大ヒットし、アドラー心理学が受け入れられたのでしょうか。これには現代社会の課題が影響していると考えられます。その課題とはSNSへの依存です。現在多くの人が少なくとも一つはSNSを利用しているという状況でしょう。SNSに依存する人が多くなったことで、人々はより承認欲求を持ち、そしてその承認欲求は次第に膨れ上がっています。承認欲求という言葉が良い言葉だと考えられておらず問題視されている現代に、承認欲求を一つのテーマとして取り上げているアドラー心理学はピッタリだったということになります。

アドラー心理学の特徴4選

目的論

アドラー心理学の最大の特徴として目的論を基礎にしているという点が挙げられるでしょう。目的論とは、人は目的のもとに生きているという考え方で、人間の行動には全て目的がありその目的のために選択しているという観点です。少し難解に聞こえる内容ですがアドラー心理学ができた当初は原因論という考え方が主流でした。ですがアドラー心理学では、当時特徴的だった目的論という考え方を採用しています。例えば過去のトラウマなどにとらわれず次の何かに向かって行動しようと考えることは、アドラー心理学の目的論にあたるでしょう。

ヨコの関係

次に挙げるアドラー心理学の特徴はヨコの関係という観点です。一般的なタテの関係において上の人が下の人を支配したり、下の人が上の人に依存したりというような関係性のことです。このタテの関係は年齢差や立場など多くのものによって生まれているでしょう。一方アドラー心理学おいて重要視されているのがヨコの関係です。横並びに位置する人同士がお互いに信頼関係を築き合うような関係性となります。自分以外の人を対等に扱うため共同体を形成しているという感覚を持つようになります。

課題の分離

次に挙げるアドラー心理学の特徴は課題の分離という観点です。課題の分離とは対等な関係にある他者が持っている課題と自分が持っている課題を分けて捉えるということです。一つ上で述べたヨコの関係を築くことによって、他者に対して劣等感や優越感を感じることがなくなるでしょう。その上で他者が抱えている課題に対して、自分の課題ではないと分離して過度に介入しなくなるということです。これは他者を見捨てるということではなく、他者が当事者意識を持って物事に取り組むことに繋がっていくことを促すこととなります。

勇気づけ

アドラー心理学の特徴の一つとして挙げられるのが勇気づけという対人支援における技法です。アドラー心理学において勇気は最も重要なキーワードです。大ヒットのきっかけとなった書籍の題名に入っていることからも分かるでしょう。勇気づけとは、自分や他者に対して困難を克服する活力を与えることです。人間が成長していく上で、大小あれど困難は避けて通ることができません。困難を乗り越え、成長していくためのエネルギーが必要だと考えたアドラーは、このエネルギーを勇気と名づけ、重要視しています。

アドラー心理学のメリット

物事をシンプルに捉えられる

アドラー心理学を学び体現することによるメリットとして、物事がシンプルに捉えられるようになるという点があります。私たちは過去にあの出来事があったからこうなってしまったなど、考えなくても良いことまで考えてしまうものです。しかしアドラー心理学には目的論という考え方があります。この目的論を活用することで、そういった考えなくても良いことを考えずに済み、行動を目的のために整理することができるでしょう。それゆえ物事をシンプルに見ることができるようになっていくのではないでしょうか。

どう生きるかが明確になる

一つ一つの物事への向き合い方だけでなく人生や生き方という大きい観点でも考え方が整理され、明確になるでしょう。アドラー心理学によって自分が抱える課題や目的、その選択肢などをもシンプルに考えることができていきます。その結果、自分がどのように物事を考え、どのように生きていくのかという、人生観を明確に抱えることができるようになることでしょう。こういった哲学的な人生観は向き合いにくかったり、考えるのが難しかったりするものです。しかしアドラー心理学がそういった物事を考えるきっかけにもなってくれるかもしれませんよ。

自分の全てを活用できる

次に挙げるアドラー心理学のメリットは自分を活用できるようになっていくということです。アドラー心理学では、他者のことも自分のことも尊重するようになります。他者の特徴が捉えられると同時に、自分がどのような人間でどのようなことができるのかなど自分について深く知ることができるでしょう。知ることによって自分に対して自信を持つことにもつながるでしょうし、知識やスキルが引き出されていくことでしょう。課題の分離を行っていることで、自分の課題に対して当事者意識を持って取り組むことができるようにもなりますね。

自分を変えることができる

アドラー心理学は過去の物事をあまり重要視しておらず、未来に目を向けています。ですから今までこうだったからなどの考え方を軽視することができるようになるのでしょう。自分がなりたいと思う姿を追うことの後押しもしてくれるでしょう。過去にとらわれず、性格に関しても変えていくことができるということです。人が性格や考え方を変えることはなかなか簡単ではありません。しかしアドラー心理学は私たちが変わったり成長したりするきっかけにもなってくれますし、そのための勇気も与えてくれるでしょう。
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アドラー式子育てとは

アドラー心理学を取り入れた子育てのこと

ここまでで述べてきたアドラー心理学は、保育や子育てに活用することもできます。現に家庭における子育てや保育の現場などではアドラー心理学が広く認知されるようになっています。堅く難しい印象のあるその他の心理学や哲学などとは異なり、しっかりと心理学を学んでいる人でなくともわかりやすい内容で、実践的で使いやすいものと言えるでしょう。他者のことも自分のことも大切にし、勇気を持つべきだというアドラーの教えは子供たちとっても学ぶと良いものだと言えるのではないでしょうか。

アドラー心理学の子育てのポイント

褒めない

アドラー式子育てにおいて勇気づけが非常に重要視されていると述べました。アドラー式子育てにおいて褒めないということは特徴の一つと言えるでしょう。具体的には子供が何かしてくれた際に「えらいね」や「すごいね」と褒めるのではなく、「ありがとう」や「うれしいな」と自分の気持ちを伝えるということが推奨されています。相手の気持ちを受け取ることによって、褒められるために何かをするのではなく、自分の意志で相手を喜ばせるような行動を取ります。子供を頻繁に褒めていると、褒められる状況が当たり前になり、褒められない状況を不安に思うようになるとも言われています。

叱らない

上で述べた褒めないというポイントに加えて、叱らないというポイントもあります。子供に感情的に怒ることは、アドラー式子育てにおいて勇気くじきと呼ばれています。叱るという行為は子供のやる気を失わせ、学ぶ機会を奪っていくことになるようです。何かしてほしかったり何かをやめてほしかったりと、子供に対して何かしらの要求をしたいことはあるでしょう。そういった際には命令口調で伝えるのではなく、自分の気持ちを伝えてお願いしたり、子供に考えさせるということが重要だと考えられています。

フラットな関係性を保とう

ここまでアドラー式子育てのポイントを二つ挙げてきましたが、この二つに共通するポイントとは何だと思いますか?それはアドラー心理学の特徴の一つであるヨコの関係性という考え方です。アドラー式子育てにおいては、子供を子供扱いせず対等に人として接することが重要だとされています。ここまでで述べてきた、褒めないや叱らないという行為は明らかに親子間や先生と園児との間に上下関係が成立してしまっています。大人が良いと思った行動をとると褒められ、大人が良くないと思った行動をとると叱られるという状態は、子供がコントロールされている状態であり、子供たちの自立が妨げられてしまっています。

まとめ

アドラー心理学を学んで保育に応用してみよう

いかがだったでしょうか。この記事ではアドラー心理学とそれを用いたアドラー式子育てについて説明してきました。メリットやポイントなどにも触れたので、ぜひ活用してみてください。子供との接し方など頭を悩ませることも多いと思います。もしもこの記事を読んで興味を持ったら、アドラー心理学を活用してみるのも一つの手なのではないでしょうか。子育てや子供との接し方にはこれといった正解はないでしょう。だからこそ新しい方法をどんどんと採用していって、子供たちにとっても自分にとっても良い方法を一つ探してみてくださいね。

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