子どもは我慢を何歳からできるの?【うんざり・ストレス・練習】

子どもが自分のこだわりを抑えて我慢することは非常に難しいです。しかし子どもが今やりたいことを我慢して次の行動に移す、友達におもちゃを貸すなど集団生活では我慢が時には必要になりますね。子どもはただわがままを言っているのではなく、自己主張という成長の通過点でもあります。今回の記事では、保育士さんが子どものわがままを言う気持ちを理解して、我慢することを教えるためのコツをご紹介します。子どもへの声かけに悩まれている保育士さん必見です!

子どもはいつから我慢ができるの?

2歳頃に概念を持ち始める

子どもは第一反抗期を迎える2歳ごろに、我慢という概念を持つようになります。第一反抗期を迎えた子どもは、自分の要求を伝えたくとも言葉が出てこないもどかしさを感じながら、癇癪を起こす様子が見受けられますね。他にも自分がやりたいという気持ちが芽生え、大人の手伝いを拒んだりイヤイヤと否定を繰り返します。そのような時は精神的な余裕を持ち、子どもがやりたい気持ちを尊重して見守ることが大切ですよ。注意をする際は、わかりやすい言葉でやってはいけない理由を伝えましょう。我慢の概念がわかるとはいえまだ言葉を十分に理解することが難しい年齢であるので、何度も根気強く伝えることが理解への一歩ですね。

4歳頃から我慢する力が育つ

3歳ごろに我慢する理由が理解できるようになります。4歳ごろには保育園や幼稚園での集団生活を通して、我慢する必要がある場面を学びますよ。お友達や保育士さんの様子を見て自分と他者の違いや共通点に気づき、周囲の人の気持ちにも耳を傾けることができるようになります。例えば今遊んでいるおもちゃで同じようにお友達が遊びたいのかもしれない。この気持ちを理解できるようになると、貸してあげようという次の行動に繋がりますよ。最初は保育士さんが「〇〇くんにおもちゃ貸してあげれるかな?〇〇くんもおもちゃで遊びたいって言ってるよ。」などと周りの状況とどのような行動を取ると良いのか教えましょう。

保育士くらぶ

わがままになる理由は?

大人の関心を引きたい

ではなぜ子どもはわがままになるのでしょうか?大きな理由の一つに大人の関心を引きたい気持ちが挙げられます。この気持ちには大人がどこまで自分の気持ちに寄り添ってくれるかを試す行動も含まれています。試し行動は自分への愛情を確認するために、関心を引く方法がわからず悪い行動を繰り返してしまう傾向があります。保護者以外にも特定の保育士さんへ試し行動を行う場合もありますね。子どもを注意したあとは言葉や態度で愛情を伝えましょう。

子どもの自己主張の表れ

わがままではなく子どもの自己主張である場合もありますね。自己主張はわがままとは異なり、甘えではなく自分はどうしたいのか主張することを指します。子どもは、保育士さんやお友達に心を開くことで自分の考えや気持ちを言っても良いのだと安心します。つまり自己主張が現れることは、子どもがいつでも話せる環境が作れているということになりますよ。自己主張が強く周りの意見を聞けない子どもには、周りの意見が聞けるような機会を設けましょう。例えば、今先生が大切なお話をしているから、待てるかな?などと伝えましょう。

大人が過干渉している

大人が過干渉して子どもの要求に全て答えることで、わがままを言っても許されると考えてしまうケースがあります。保育士さんは子どもの意見を尊重しつつも、どうして今その行動ができないのか説明をしましょう。また過干渉は子どもの自主性を軽んじ、行動を制限することにも繋がるかもしれません。制限をかける過干渉が続くと自己が育たなくなったり、大人から信用されていないと不信感を持つようになります。心配な気持ちから過干渉しすぎることなく、子どもが自由に物事を選択できるような環境を整えることが重要です。子どもは自分の気持ちを尊重してくれたと感じると安心し周りを見る余裕が出てきますよ。

ストレスを感じている

子どもがストレスを感じたことで、吐口として人に当たったり自分のわがままを突き通して周囲の大人を困らせてしまう場合もあります。ストレスを感じているサインとして、わがまま以外にも、活力が無い、無表情になる特徴があります。他にも自分から極端に話さなくなる或いは相手の返事を待たずに話し続ける場合もあるので、小さな変化に気づくことも大切ですね。周囲との信頼関係が構築できていない入園直後など環境の変化が大きい場合にストレスを感じやすいので注意をしましょう。子どもが何度言っても話を聞いてくれなかったり、相手の反応を面白がっている様子が見受けられた時は、ストレスサインかもしれません。

なぜ我慢が必要なのか?

集団生活に順応する

ではなぜ我慢が必要なのか改めて考えていきましょう。第一に保育園や幼稚園といった集団生活に順応するために用います。集団生活では集合をする時やおもちゃを順番に使用する時など、自分の欲求を抑えて我慢する場面がありますね。皆で保育園生活を送るためにも、今これをやり続けたいという衝動を抑えることを学ぶ必要があります。また我慢することは、相手を思いやる気持ちが含まれています。誰かのために行動をすることで、相手が喜んでくれることを体験させる機会を保育園でも作ってあげましょう。

危険行動を防ぐ

子どもに我慢を覚えてもらうことは、危険行動を未然に防ぐことに繋がります。子どもは一つの物事に集中をしすぎて周りが見えなくなる時があります。そのような時に保育士さんの制する声が聞こえて、自分のやりたい衝動をセーブすることができると防ぐことができますね。危険行動を減らすために、日頃から場面に合わせてしてはいけない行動を伝えて子どもと約束をしましょう。そしてなぜ約束が必要で、守らないとどのような危険があるのかもしっかりと伝えておくことが大切です。

子どもと向き合うときのコツ

子どもの主張に耳を傾ける

子どもが言うことを聞いてくれなかったり癇癪を起こしてしまうと手に負えないと思いますよね。今回はこのようなわがままとどのように向き合えば良いのかコツを紹介します。最も大切なことは、子どもの主張に耳を傾けることです。例えば急にこれは僕のおもちゃと言っておもちゃを横取りしてしまった子どもがいました。よく話を聞くと子どもがおもちゃを使うために待っていた時に、待っていなかったお友達が割り込みをしてしまったという経緯がありました。このように我慢が積み重なり、自分の気持ちがこみあげて欲求になる場合もありますね。わがままには子どもなりの理由があるので、注意をする前に話を聞きましょう。

我慢する理由を具体的に説明する

時には子どもたちに思い通りにいかないという経験をしてもらうことも大切ですね。そのためには保育士さんはわがままをしても良い境界線を持ち、この境界線は職員で共有しましょう。先生によって怒られる境界線が違うと、子どもたちは悪いことの区別がわからず困惑してしまいます。また集団生活は一人一人の小さな我慢と譲り合い、そして思いやりが欠かせません。子どもの話を聞きわがままの一線を超えた時には、理由をしっかりと説明して注意をしましょう。2歳〜3歳児はどこがどのように悪いのかを説明した後に、これからどうしたら良いのか解決方法を提示しましょう。4歳〜5歳児には〇〇ちゃんはどうしたらいいと思う?などと尋ねて、自分の言葉で納得できるようお手伝いができると良いですね。

【2~3歳児】我慢の教え方

理解しやすい言葉を使う

2歳児の語彙数は約300語、3歳児は1000語とまだ理解できない言葉や長い文章だと理解できない傾向にあります。わかりやすい言葉でゆっくりかつはっきりと伝えることが大切ですね。また子どもの興味は分散しやすく集中力も長くは持たないため、長い話は控えましょう。理解していない様子の場合は、表情や身振り手振りでわかりやすくしたり、言葉を置き換えると良いですね。例えば子どもが危険行動を繰り返しているときは、「〇〇くん走らないで!危ないよ。足を怪我しちゃうよ」などと端的に注意をしましょう。

交渉をする

子どもが欲求を訴えたとき、全面的にダメと否定するのではなく交渉することも重要ですね。例えば子どもがまだおもちゃで遊んでいたいと言って、お片付けをしてくれなかったとします。このようなとき早くお片付けしようと言うだけではなく、お片付けしたら△△遊びができるよと交渉すると興味が湧くかもしれません。別の物に興味を移すために、手遊びを活用するのも良いですね。お片付けの歌を歌うことを習慣にしていると、自然に次の行動につながることもありますね。以前の記事で子供達に人気な手遊び特集をしたので合わせて参考にしてください。

【4~5歳児】我慢の教え方

社会のルールを教える

4〜5歳児は周囲の人に興味を持つようになり、少しずつ関係性を構築しはじめます。保育士さんやお友達との関わりを通して、他者の気持ちに寄り添うような行動が身につきますね。このような時期は社会のルールを少しずつ教える良い時期と言えます。まずは社会のルールとは何か、なぜ守るのかをわかりやすく説明しましょう。お散歩に行くときや公共の施設を利用する時に、急に走り回ったり大きな声を出してはいけないことを伝えます。急に走ると誰かにぶつかって怪我をさせてしまう危険以外にも、みんなが気持ちよく施設を利用するために静かにする約束があるなど理由を説明しましょう。

我慢する理由を一緒に考える

4〜5歳児は考える力がぐんぐんと伸び、自分の行動を自分の言葉で説明できるようになります。そのため保育士さんが子どもに注意をするとき、なぜ注意をしたのか理由を考えることができる環境を作りましょう。理由が分からなかったり難しい場合は、このとき〇〇くんはどんな気持ちになったかな?などと手助けをして一緒に考えると良いですね。一方的に注意をすると、怒られたから我慢をするだけで本質は理解できません。

子どもに我慢させすぎている?

子どもの意欲を押さえつけないようにしよう

大人の都合で子どもに我慢をさせすぎないよう注意が必要ですね。大人から見ると子どものわがままと自己主張の違いが分かりにくいため、全てをわがままだと決めつけてしまうことは危険ですよ。話を聞いてもらえずいつも注意をされると、芽生えた自我が折れてしまい自信を失ってしまいます。また子どもの行動を見て先回りをしすぎないようにしましょう。大人からするとこうすればいいのにとつい口出しをしてしまいがちです。しかし自分が行動するまで納得ができない子どもがいるので、時には見守ることも大事ですね。

我慢する力を養う遊び

折り紙

遊びを通して我慢をする力を養うことができます。まずは折り紙で我慢する力を身につけましょう。折り紙には集中力及び忍耐力の訓練ができるという大きなねらいがあります。折り紙は完成形や折る手順をしっかりと見ないと、作り上げることはできません。さらに複雑な工程があるので集中力と観察力が求められます。そのため完成まで手先に集中して取り組む行動は、根気強さと我慢する力を養うのでお勧めです。2歳児から5歳児まで幅広い年齢に対応しているので、ぜひ製作に取り入れてください。

鬼ごっこ

子どもに大人気な鬼ごっこも実は忍耐力を鍛えることに向いている遊びです。鬼ごっこは、鬼の子どもと鬼から逃げる子ども2つの役目があり明確なルールが存在します。決められたルールの元で、お友達と協力しながら勝敗を決めるので協調性と規則を守る大切さを自然と学ぶことができます。他にも順番に役割を変えることで、みんなが楽しく遊ぶために役割を交代する必要があることを知ります。勝敗が決まるので負けたとしても気持ちをコントロールする自制心を身につけることもできますね。

まとめ

目標を達成するためにも我慢する力は必要です。

我慢する力は集団生活において必要なため、少しずつ我慢する理由を伝えましょう。すぐに理解することは難しいですが、4歳ごろになるとお友達の気持ちを想像することができるようになりますよ。怒られることを恐れて我慢するのではなく、我慢する必要を感じて我慢ができた時は大きな成長の証ですね。しかし状況に合わせて我慢をさせすぎることなく、見守ることも重要です。子どもの気持ちを尊重しながら、我慢する理由を考えてみましょう。

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