海外の保育事情を紹介!【特徴・事情・内容・必要な資格・海外での働き方など】

みなさんは海外の保育に目を向けたことがあるでしょうか。海外の保育といっても国によってまちまちで、各国の文化や背景、その他さまざまな要素が影響して保育が形成されています。それゆえ日本の保育とは異なる特色を持っていることも往々にしてあります。本記事では、諸外国の保育事情や海外で保育士さんとして働くために必要なことなどについて触れいていきながら海外の保育について考えていきます。ぜひみなさん、日本の保育とどのように違うかなど意識しながら読んでみてくださいね。

海外にも保育園はあるの?

細かい違いはあるものの保育用の施設はある

日本の保育園や幼稚園と明確に同じような保育施設が海外にあるわけではありません。しかし海外にも多くの保育施設が存在しています。世界中に多くの国が存在し、それぞれが自国の制度をもとに保育をおこなっているので、システムも異なっています。教育的な目的を重要視する国もあれば、人間性を養うことにフォーカスしている国も。国やその土地の文化などによってさまざまな工夫がなされており、定義や制度も多様なものとなっています。

保育士くらぶ

世界共通の保育の基本

児童の権利に関する条約がある

世界中の保育を支える大前提として、国際人権条約の中に児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)というものがあります。この条約の中含まれているのは大きく分けて以下の四つの内容。一つ目は安全に成長できるようにするべきという内容です。二つ目は子どもにとって最も良いことをするべきだというもので、三つ目には子ども自身が意見を発することができる環境にするということ。四つ目は差別を禁止するもの。これらの四つの原則が現在の世界における保育の共通認識でありルールとなっています。

諸外国の保育事情

アメリカ

アメリカは自由の国と呼べれているだけあり、子どもに対しても自由な教育をしています。子どもの個性を養い、自己表現力を伸ばす幼児教育がなされています。日頃から自分の意見を言い合える環境づくりが行われ、目指していることも。アメリカの保育施設は民間組織が主体となっており、いわゆる自由競争が行われています。それゆえ他の保育施設と競い合いながらお互いの保育の質を向上させることにつながっているようです。日本とは異なり、保育は社会福祉ではなく一種のサービスとして扱われるので、保育料に関しても基本的には家庭が負担します。家庭によって幼児教育が受けられるかどうかが決まるなど社会課題にもなっていますね。

イギリス

イギリスにはEYFSという乳幼児の学びに対するカリキュラムがあることが特徴ですね。ですからイギリスに存在するすべての保育施設ではこのカリキュラムに従って保育が行われています。イギリスでは学校に行く前の準備をするという考え方があり、到達するべき目標が明示されています。この目標に合わせて子どもたちの発育が評価されることになっていくシステム。加えてこの評価を用いて保育施設や家庭、小学校での話し合いを行っており、保育政策の策定の根拠としても用いています。

ドイツ

ドイツにおいては国ではなく各州が保育の権限を持っているのが特徴です。保育施設は民間の福祉団体が運営するケースが多く、それぞれの園がそれぞれの理念を持って運営しています。ドイツでは歴史的な背景から社会や文化、経済など幅広い面で多様な特徴を持った子どもたちが多くいるのが現状です。国全体で保育の質の向上を目指した法整備を行い、保育の評価システムの導入をし、取り組みの共通化を図っています。育児休暇や子供手当ても充実している点からもドイツという国自体が保育という分野に力を入れていると言えるでしょう。

スウェーデン

スウェーデンには就学前学校があり、子どもたちは1歳半ごろから通い始めています。さまざまな背景の子供たちがいるので年齢などにとらわれずに一緒に生活するのが基本となっていてこれが大きな特徴と言えるでしょう。就学前学校では保育を生涯学習の基礎として位置づけ、カリキュラムを作っています。民主主義と人間の価値の平等を重要視しているのですね。様々な面で異なる点があったとしてもみな平等に同じ人間として接することを初等教育の段階から教えています。子供の安全の確保にも力を入れており、学校査察庁によって監査を行なわれていることも大きな特徴と言えるでしょう。

ニュージーランド

ニュージーランドでは幼稚園と保育園を一元化して作られたカリキュラムであるテ・ファリキをもとに幼児教育が行なわれています。このテ・ファリキというカリキュラムには重要視している特徴が二つ。社会的や文化的な学びとさまざまな人々と子どもが築く関係です。逆に子供が就学前に読み書きができたり、運動ができたりといったことは全く求められていません。子供の学びの姿を捉えて、子どもの園内での行動を記録したラーニング・ストーリーという記録ノートを子どもに配布しています。

フィリピン

フィリピンの幼児教育の中で最も特徴的な点は、幼稚園に1年間通うことが義務であるということですね。フィリピンでは基本的には保育園に2年間通った後に、幼稚園や小学校に通うという流れがあります。保育園が学校教育法に基づいていない点は日本の保育園と同様ですが、保育園での活動内容は異なります。フィリピンには大家族が多いということもあり家庭で子供の面倒を見る人手が足りないということも少ないようですね。ですから託児所的な意味はあまり持っておらず、幼児教育施設といった意味合いが強くなっています。教育へのありがたみという意識も強く、保育施設の先生は子どもやその両親から敬われることが多いのも特徴の一つと言えるでしょう。

海外の保育からみた日本の保育

安全や健康への配慮が行き届いている

世界の保育から日本の保育を見てみると、日本の保育も特徴的と言えるでしょう。子どもの安全を確保することへの徹底っぷりは世界の中でも随一で、努力と専門性に関しても1番ですよね。日本の連絡帳には子供の1日の生活において起きたことや様子、怪我などこと細かく記載がされています。クラスにいるたくさんの子どもたちをひとりひとり観察し、親御さんたちが気になることを漏らしなく記載している保育者は高い専門性を持っています。また近年では保育の質の向上にも注目が集まっていることもまた事実でしょう。保育者の専門性と技術は、安全面で非常に評価が高い日本の保育の大切な役割を担っています。

今後の日本の保育事情は?

海外の柔軟な制度に追いつくことが求められる

グローバル化が加速する社会に対応して、現在日本では海外の制度を参考に保育現場の改善が早急に進められています。日本の保育には良い点があると同時に大きな問題も。保育園に入ることができなかった家庭から不満が出たこともあり、次第に国も対応を練り出しています。実際他の国に比べて、柔軟性に欠ける点も否めません。実際に現在給与の引き上げも検討されているが、これでもいまだに不十分と言わざるを得ないでしょう。今後も議論が重ねられ、政策が実行されていくことが必要です。

海外で日本人保育士が働く場所とは?

日本人向け保育施設

海外で日本人保育士の方が働く場所はのうち1つ目は日本人向け保育施設です。海外に駐在する方々のお子さんが通う保育施設です。将来日本に帰る予定がある家庭の子どもたちが通うことが多く、海外の保育施設では行なわないような日本の伝統的な行事を行うことも特徴の一つと言えるでしょう。そういった経験を通して、海外であっても日本の文化や日本人のアイデンティティを育てることができるようになっています。日本語を使用することが多く、日本で保育士として働いていた方々にとっては働きやすい施設と言えるでしょう。

企業内保育施設

海外の企業内保育施設にも多くの日本人保育士が勤めています。企業内保育施設とは海外転勤の社員が多い家族などが企業内に保育施設を設けて、日本人社員が子どもを預けられるようにしている施設ですね。特に日本とは異なり海外には子どもをひとりで家に置いていくなどの行為の危険性が高い国も多くあります。そういった子どもたちのための保育施設も、日本での保育に近いものができるので働きやすい環境と言えるでしょう。実際に親御さんが近くにいるというのも安心ですね。

海外で保育士として働くためには?

その国の保育の資格やライセンスを取る

保育士資格は日本国内で保育士として働くために取得する必要がある資格です。ですから海外で保育士として働こうと考えた際には、日本での保育資格とは別にその国の保育資格を取得する必要も。日本と同様に海外の国でも保育資格の取得には現地の専門学校や大学に通うことが必要とされるケースが多いです。しかし一部の国では日本で保育士資格を持っているとそれを一部活用することができるので、働こうと考えている国での資格取得の方法を必ず確認するようにしましょう。

就労ビザを取得する

前提として保育士に限らず、海外で働くためには就労ビザが必要です。就労ビザとはその国で仕事に就くことを許可するもの。就労ビザの中にはいくつも種類が存在しますし、働く国によっても就労ビザの取得のための条件は異なります。実際に海外で保育士として働こうと考えている方は早めに就労ビザの取得条件を確認するようにしましょう。保育士という職業は専門職であり貴重な人材とみなされるので、就労ビザを取りやすいと言われているで自信を持って就労ビザの取得に臨むと良いでしょう。

現地の言語を話せるようになろう

海外の一般的な保育施設で働く場合に限らず、日本語を用いることが多い日本人向け保育施設や企業内保育施設に勤める場合であってもある程度の語学力は必要になります。両親のうちいずれかが現地の方で、日本語が通じないということも十分あり得ますし、子どもたちや両親以外の方々と接することもあるでしょう。そういった際に困らないためにも海外の保育施設で働くのならば、現地の言語を話すことができた方が良いでしょう。実際に保育施設側が求人の際に一定の語学力を要求しているケースも多いので是非習得してみてください。

まとめ

海外と日本の保育には違いがある

いかがだったでしょうか。今回は海外の保育というテーマで、諸外国の保育の特徴や海外の保育施設で働くために必要なことなどについて触れてきました。それぞれの国に社会的な背景やさまざまな文化があり、そういった影響から保育に関しても多様になっていることがわかったと思います。日本の保育も安全面など良いところがあることがわかった反面、海外の保育の良いところに目が引かれた方も少なくないのではないことでしょう。今後も日本の保育の良い点を保ちながら、保育政策に関して進めていくことが必要とされています。

よくある質問

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