保育士に必須の「素話」について解説!【ねらいや効果・上達するためのポイント・おすすめの題材などについて】

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素話とは?

素話では, 絵本や紙芝居といった小道具を一切使わずに行う素朴なお話のことを言います。

この素話は保育技術検定(1級)や保育士試験の実技にも組み込まれており,保育士にとっては欠かせないスキルだということができます。

「実技試験でやることになったんだけどどのようにすれば上手になるのかよくわからない…」「子どもたちの前で披露することになった時のために身に着けておきたい!」といった方のために,以下では素話について詳しく解説していきます。

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素話のねらいは?子どもにどんな効果があるの?

素話のねらい

保育所保育指針では,「言葉」に関する保育のねらいが以下のように定められています。

経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする 意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

また,続く内容には,

子どもが生活の中で、言葉の響きやリズム、新しい言葉や表現などに触れ、これらを使 う楽しさを味わえるようにすること。その際、絵本や物語に親しんだり、言葉遊びなどを したりすることを通して、言葉が豊かになるようにすること。

と記されています。

物語に触れ親しむことは,言葉を豊かにするうえでとても大切なことなのです。

保育士さんが身振り手振りや表情,リズムなどの様々な表現を交えて物語を語り聞かせる「素話」のねらいはまさに,

  • 相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度
  • 言葉に対する感覚や言葉で表現する力

を養うことだということができるでしょう。

どんな効果がある?

【集中力がつく】

素話では,絵やイラストを用いないので,子どもたちは内容を理解するために保育士さんの話を注意して聞くようになります。

もちろん集中して聞いてもらうための工夫は必要となりますが,もし子どもたちが素話をちゃんと聞いてくれるようになれば人の話を聞く態度や集中力が身につくことが期待できるのです。

【想像力が豊かになる】

素話では絵やイラストを頼りに内容を理解するということができないので,子どもたちは保育士さんのお話をもとにあれこれ想像を膨らませて物語を受け止めます。

数少ない手がかりから登場人物の心情や情景,世界観など様々なことに思いをはせることで,子どもの豊かな心や想像力が育まれるでしょう。

想像力は,現実の場面でも相手の気持ちを察したりおもんぱかったりするためにとても重要な力なので,思いやりのある子に育ってもらうためにも素話を行うことはとても有効だといえるかもしれませんね。

【言語能力やコミュニケーション能力が身につく】

前述したとおり,素話を行うことで期待できる効果には言語能力やコミュニケーション能力も含まれます。

物語を通して新しい言葉や言い回しに触れることで,子どもの語彙や表現は着実に増えていきます。

また,保育士さんが子どもに「皆はどう思う?」「悲しかったね…」「次はどうなるのかな?」などとたずねることで,互いに感じたことや思ったことを共有する経験ができます。

こうした他人と思いを共有する経験がコミュニケーション能力の土台となるのです。

素話が上達するためのポイント

ここでは,素話を上達させていくためのポイントを紹介していきたいと思います。

事前に話を読み込んで覚えておく

話の流れを覚えておくことは,子どもを物語の世界へ引き込むためには欠かせないことです。

うろ覚えの状態で素話をして言葉が途中でつっかえたりしてしまうと,お話のムードが壊れて子どもたちの気分も盛り上がらなくなってしまいます。

事前に絵本や動画などを何度も繰り返し見て,話の内容を覚えておくようにしましょう。

ゆっくりと話す

素話では,絵やイラストを使わずに言葉で物語を理解してもらう必要がるので「聞き取りやすさ」はとても重要 です。

聞き取りやすく,なおかつ子どもが理解できるようにゆっくりと話すことを心がけるようにしましょう。

その際話す早さは,読み聞かせや紙芝居で話す時よりも少しゆっくり目にしておくといいでしょう。

声のトーンにメリハリをつける

声のトーンを使い分けることも,子どもを物語に引き付けるために有効な方法です。

終始同じトーンで話すと,盛り上がりに欠けて子どもたちは退屈してしまうので,盛り上がる場面では声を大きくしたり,登場人物の繊細な感情を語る時には声を小さくするなどして場面ごとに声の出し方を変えるのも上達するための一つのポイント です。

男性や女性,大人や子どもなど,登場人物によって声の高さを変えてみることもおすすめですよ😊

テンポの良さを心がける

テンポの良さも素話上達のための大事なポイントです。

テンポが一定だと物語の起伏が伝わりにくく子どもたちを退屈してしまうので, 状況に応じて適度に間を置いたり逆に一気にたたみかけるようにしゃべるなどの工夫を心がけてみるといいでしょう。

話の雰囲気に合った環境を作る

子どもをを物語に引き込むために,雰囲気作りも重要なことです。

物語の内容に応じて,

  • 部屋を暗くしてみる
  • 話す時間帯を変える(朝・昼・夕,お昼寝の前,天気がいい時・悪い時など)
  • 話す場所を変える(室内・屋外)

などを行うことでいつもとは違う物語の雰囲気を作ることができます。

題材は何を選べばいい?

保育で素話をする際の題材としては,グリム童話やアンデルセン童話,日本昔話がよく用いられています。

また,保育士や子どもが考えたオリジナルのストーリーを話すこともあるようです。

以下では,おすすめの作品をいくつか紹介していきます。

マッチ売りの少女(アンデルセン童話)

貧しい人や困っている人を助けることの大切さを伝えることができ,子どもの感受性を育むのにぴったりな作品です。

物語の情景もイメージしやすいため,素話にピッタリの作品ということができるでしょう。

はだかの王様(アンデルセン童話)

間抜けな王様と言葉巧みなペテン師が印象的なコミカルな作品で,最後の純粋な子どもの正直な言葉には思わず笑ってしまいます。

面白おかしく描かれているシーンが多く,素話で披露すれば子どもは盛り上がること間違いなしでしょう。

赤ずきん(グリム童話)

グリム童話の中でも,赤ずきんはとても有名な作品です。

話の流れや構成がわかりやすくて覚えやすいため,素話初心者の方にはとてもおすすめの作品になります。

ブレーメンの音楽隊(グリム童話)

ろば・いぬ・ねこ・にわとりがブレーメンの街に行って音楽隊をを作ろうとする道中で,強盗の家を奪ってそこで楽しく暮らしていくお話です。

とても爽快感のある物語で展開も面白いので素話でもかなり盛り上がるのではないでしょうか。

鶴の恩返し(日本昔話)

鶴が命を救ってくれた恩人である青年に恩返しをしに機を織りに来るお話です。

ルールや約束を破ってはいけないということや相手を思いやることの大切さを教えてくれる教訓的な側面もあり,子どもの情操教育にも適した作品で一度は聞かせてあげたいお話になります。

一寸法師(日本昔話)

体の大きさが一寸しかない小さな男の子である一寸法師がお椀に乗って都へ行き,やがては誰からも尊敬される人になっていくお話です。

自分のコンプレックスを悲観しすぎず,前向きに努力し続けることの大切さを教えてくれる作品だということができます。

ホットケーキ(ノルウェー昔話)

「ホットケーキ」はノルウェーの昔話になります。

フライパンから逃げ出したホットケーキがころころと道を転がっていき,動物たちに食べられないように逃げていくいうとてもコミカルなお話です。

ストーリーがわかりやすくて言葉遊びも面白いので,低い年齢の子どもも楽しめる作品になっています。

ここまで,おすすめの作品についていろいろと紹介してきましたが,他にも素話の題材に適した作品はいろいろとあるので,ぜひ探してみてください!

おすすめの素話集

おはなしのろうそく

1冊に数話入っている素話集で,シリーズは32まであります。

子どもに実際にお話を聞かせた経験やわらべ歌,昔話なども載せられており,薄くて小さい本なのですがとても内容の濃い1冊となっています。

購入者からの評価も高い定番の素話本です。

お話だいすき!子どもとたのしむ1分間素話集

1分で話せるお話がまとめられており,内容はオリジナルの作品44編が生活・食べ物・家族・友達のジャンルに分類されています。

短いお話ばかりなので,子どもも飽きずに聞ける素話集だといえるでしょう。

子どもが眠るまえに読んであげたい365のみじかいお話

童話,昔話,オリジナルストーリーなどの幅広いジャンルの56作品が四季ごとにまとめられている1冊です。

作品はそれぞれ,目安の時間や年齢ごとに分類されているので保育士さんの題材選びにはぴったりの一冊です。

お話を覚えるにはどうすればいい?

素話の題材を覚えるには,以下の4つのステップを心がけておくといいでしょう。

  • STEP 1. 選んだ題材のストーリーを繰り返し読み,大まかな流れやあらすじを把握しておく
  • STEP 2. 絵や漫画,映像などで,頭の中でストーリーや登場人物を動かしてみる
  • STEP 3. 登場人物の動きや感情を頭の中で思い浮かべられるようにする
  • STEP 4. 子どもたちの前で何度も語ることで慣れる
重要なのは言葉を間違えないように覚えようとすることではなく,物語の大まかな流れをつかんで登場人物の動きや感情をイメージできるようにすること です。

そうすることで,子どもたちに伝えるために必要な言葉が自然と頭に入ってくるようになります。

物語の大枠を把握して自分なりに理解したことを言葉で伝えられるようになれば,子どもたちもわかりやすい素話ができると思いますよ😊

まとめ

今回は,素話について上達するためのポイントやおすすめの題材などに触れて解説してきましたがいかがだったでしょうか?

題材選びからわかりやすい伝え方など,最初は難しくて慣れないことも多いかと思いますが,保育士同士で素話を聞かせあうなどして協力し合って上達させていきましょう!

今回取り上げた内容を今後の保育の参考にしていただけると幸いです。

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