担当制保育とは?保育の特徴ややり方、1日の流れ、メリットを紹介!

皆さんこんにちは!保育士くらぶ編集部です。

担当制保育をご存知ですか?

なんとなく聞いたことはあるけど詳しくは分からない人も多いかと思います。

今回は、担当制保育について特徴や担当制保育のやり方、メリットなどを紹介します。

担当制保育とは?

担当制保育とは、特定の保育士さんが子どもの身の回りのお世話を受け持つ方法の保育です。

そもそも担当制保育は、複数担任である乳児の保育などに良く取り入れられている手法です。

保育園は集団生活の場なので、1つのクラスに同じ年齢の子どもが集まり保育を受けますが、未満児や乳児など年齢が低い時期は特に、一人ひとりの成長スピードに個人差が出てしまいます。

このような子ども達をまとめて指導することや、全員が同じ活動を一斉にすることは難しいことですよね。

一人ひとりの生活リズムや月齢、成長に合わせて1日の生活を進めたり、興味を引き出す遊びをしたり、成長を促す働きかけや関わり方が大切です。

担当制保育は、1人の保育士さんが3~4人の子どもを担当します。関わる時間が長いので、保育士さんと子どもの信頼関係が築きやすく、安心安定の中で生活することで、子どもの本来の力を発揮しやすくなります。

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担当制保育の概要と特徴

担当制保育とは、乳児クラスで取り入れられることの多い保育の手法で、子どものお世話を担当する保育士を決めておきます。

主に身の回りのことを担当の保育士さんがメインでお世話することが多く、0歳児や1歳児などの、まだ保育士さんと1対1での関係性が重要になる年齢で、特に効果的かもしれません。

担当のグループごとに、順番におむつを替えたり、グループ別に食事を摂ったりと規則正しい生活リズムを大切にした日課の流れも特徴の1つです。

それによって、子ども達は見通しを持って過ごすと共に、子ども一人ひとりのリズムに合わせた関わりを実現すること繋がります。

また、おむつ替えや食事など身の回りの介助を主に担当するため、育児担当制と呼ばれることもあるようです。

担当制保育の基本的な動き方

担当制保育の基本的動き方は、 「担当ごと」です。

クラスの全員で一斉に行動することは、ほとんど無く少人数で活動していきます。

一人ひとりの育児

担当ごとに動くと言っても、とのように動くのでしょうか。

さらに詳しく説明すると、担当ごとに動いてはいますが、関わるのは一人ひとりになります。

少人数とはいえグループですが、トイレに行くときも担当1人ずつ連れて行き、園庭に出るときや食事をするときも一人ひとりに声をかけます。

そもそも、担当制保育は「グループ」という認識ではありません。

子ども一人ひとりと丁寧に関わるために、担当制を取っているという考え方です。つまり、グループではなく、○○くんの担当はA先生、□□ちゃんの担当はA先生、という感じです。

子ども一人ひとりに担当の保育士がいるといった方が、イメージしやすいかもしれません。

遊ぶ時間の確保

担当制保育は、クラス全体で一斉に動くことがないので、子どもの遊び時間が十分に確保されます。

保育園によっては、一斉に動くため、廊下に子ども達を並べ座らせて、オムツ替えの順番待ちをするところもあるようです。

しかし、このように待っている時間は、子ども達にとっては必要ない暇で嫌な時間ですよね。

担当制保育だと、排泄は一人ひとり行うので、排泄以外の時間は全て遊ぶ時間にできます。

その方が子ども達にとっても嬉しい時間になりますね。

担当制保育のやり方と1日の流れ

ここからは実際にどのように保育士が動いて、担当制保育をしているのかを、分かりやすくイラストを使って紹介していきます。

担当制保育のやり方

例えば、1歳クラスの子ども10人を3人の保育士さんが見ているとしましょう。

すると以下のように割り振りすることが多いでしょう。

・保育士A:4人の子どもを担当
・保育士B:3人の子どもを担当
・保育士C:3人の子どもを担当

担当する子どもについては、主に生活習慣に繋がる身の回りのお世話をしたり、児童票(個別の保育記録)を作成したりすることがあるでしょう。その他にも様々なケースがあるようです。

園の方針やクラスの子どもの年齢、様子に合わせた対応ができるとよいでしょう。

担当制保育の1日の流れ

ここからは、実際にどのように保育士が働いて、担当保育をしているのか、イラストを使いながら紹介します!

1歳クラス10人を3人の保育士さんがもつクラスを想定し、以下の各場面ごとに説明します。

・園庭に出て遊ぶ
・トイレ
・食事

やり方の説明と同じように、それぞれの保育士さんをA, B, Cとし、A先生は4人、B, C先生は3人担当児を持つことを想定とします。

また、基本的に動きはA→B→Cの順番で動いて行くものとします。

流れ① 園庭に出て遊ぶ

まず、園庭に出るときは、担当のグループごとに出ます。

初めに、A先生が担当の子ども4人を連れて、園庭に行く準備をし、外に出ます。

その時、B先生とC先生とそれぞれの担当の子ども達は、室内で遊んでいて、まだ園庭に出る準備はしません。

次に、A先生の様子を見ながら、B先生は担当の子ども達、一人ひとりに「お片付けをして外に遊びに行こう」と声かけをしていきます。

その時、C先生と担当の子ども達は、まだ室内遊びをしている状態です。

・A先生:園庭で遊びを見ている
・B先生:担当の子ども達と園庭に出て遊ぶ準備をしている
・C先生:室内遊びを見ている

担当制保育では、このようにそれぞれの保育士さんがグループごとに別々に行動することが多いです。

そして、B先生のグループが園庭で遊び始めたらC先生が担当の子ども達、一人ひとりに「お片付けをして外に遊びに行こう」と声かけをしていきます。

この時、A先生とB先生の担当の子ども達は園庭で遊んでいます。

園庭での遊びをやめて室内に戻るときも、この動きの逆をしていきます。

このような流れで、担当制保育では担当ごとに園庭に出て遊びます。

担当ごとに準備をして園庭にでることで、待つ時間が基本的に発生しないのが特徴です。

流れ② トイレ

トイレに行くときも、保育士さんが担当の子ども達を一人ひとり連れて行きます。

イラストのように担当の子ども1人のためにトイレに行っているとき、他の子ども達は、トイレに連れていっていない保育士さん(B, C)に見てもらいます。

つまり、B先生とC先生で9人の室内遊びを見ている状態になります。

このように、B先生の担当の子どもがトイレするときはB先生が介助に入り、その他の子どもをA, C先生が見ていて、C先生の担当の子どもがトイレするときはC先生が介助に入り、その他の子どもをA, B先生が見ます。

トイレに入っていない保育士さんで、室内遊びをしている子ども達を見るというになります。

流れ③ 食事

担当制保育の日常の中で、最も複雑だと言われているのが食事の場面です。

3人の保育士さんが、かなり流動的に動くので、頭を整理しながら読み進めていってください。

まず、食事の時間になったら、A先生が担当の子ども達の食事の準備を始めます。

A先生が食事の準備をしている間は、クラスの子ども達10人全員が遊んでいます。なので、B先生とC先生が室内遊びを見ています。

A先生は食事の準備が終わったら、担当の子ども一人ひとりに食事をすることを伝えます。この時、決して「A先生のグループの皆は食事を摂ります!」などといったことは言ってはいけません。あくまで一人ひとりに声かけをします。

そして、A先生の担当の子ども4人が食事を始めたら、B先生はAとBの子ども達のお昼寝用のベッドを用意します。

その間、BとCの子ども達はC先生が見ていることになります。

B先生はお昼寝用のベッドを用意し終えたら、そのまま食事の準備に入ります。

B先生が食事の準備が終わり次第、担当の子ども達を一人ひとり呼び、食事を開始します。

次は、C先生が食事の準備をする番ですが、まだA先生は担当の子ども達と食事をしているはずなので、C先生はすぐには動きません。

C先生の担当の子ども達はA先生の担当の子ども達が食事を終えてから始めます。

B先生の担当の子ども達が食事を始めてしばらくすると、A先生の担当の子ども達の食事が終わり始めるので、A先生はテーブルを片付けます。

この時、保育士さんは担当の子どもが食事を終えたら、終えた子からお昼寝用のベッドに連れて行きます。

A先生が片付け終わったら、C先生は食事の準備に入ります。

A先生は、Cの子ども達の室内遊びを見ながら、Aの子ども達のお昼寝も見ます。

食事の準備が終わったら、C先生は担当している子ども達を一人ひとり食事に誘います。

C先生の担当の子ども達が食事をし始めたら、A先生がCの子ども達のお昼寝用のベッドを準備します。

Cのお昼寝用のベッドの準備が終わったら、お昼寝に入ります。

このような流れで食事を行っていきます。

かなり複雑なので、しっかり理解できるまで読んでおくと実践するときの不安は少ないかもしれませんね。

担当制保育のメリット

子どもの変化に気付きやすい

子どもの食事やお昼寝、おむつの替えなど毎日の生活を見ている担当保育士さんは、ちょっとした子どもの変化にも気付くことが出来るそうです。

そのような気づきは、子どもの様子や健康面を把握するのに役立てられるでしょう。

また、「苦手で食べなかった野菜を食べるようになった」「初めて自分でボタンを閉められた」など、子どもの成長にいち早く気付き、たくさん褒めることも出来そうですね。

子どもの性格や特徴を把握しやすい

毎日決まった子どものお世話を担当するので、子どもの性格や好みなどの特徴を早くつかめるようです。

子どもの性格や特徴が分かっていれば、声かけや援助もしやすく、子どもが落ちついて過ごすことに繋がるでしょう。

一人ひとりに向き合う時間が長いので、新米の保育士さんにとっても、保育に早く慣れることが出来るという利点もあります。

子どもとの信頼関係が築きやすい

食事やおむつ替え等の身の回りのお世話は、0歳児や1歳児などの乳児の子ども達にとって安心できる大人にやって貰う大切なことです。知らない大人等に身の回りのお世話をされるのは、子ども達にとってとても怖いことかもしれません。

しかし、決まった保育士さんに身の回りのお世話をしてもらうことで、子ども達は安心して過ごせるようになるでしょう。

身の回りのお世話をすることで愛着関係が形成されるため、担当保育士さんは子どもにとって信頼できる大人だと感じてもらいやすいかもしれません。

子どもに合わせた保育が出来る

担当の子ども達とグループごとにまとまって着替えやトイレ、食事などを行うため、子ども一人ひとりの状況に合わせた保育がしやすいという利点があります。

「今日は疲れ気味の様子なので食事を早めに切り上げて、早めに午睡させる」「着替えを自分でやりたい子どもがいるので、着替えの時間を少し多く取る」など、大人数ではできないような小回りが利いた動きができるでしょう。

物事をじっくりと教えられる

担当制保育では、基本的な生活習慣の自立を促すために、着替えやトイレなどの身の回りのお世話をする時間をゆったりと確保している場合が多いそうです。

また、子どもも担当の保育士さんのやり方に慣れているため、比較的スムーズに子どもの援助をすることができます。

なので、新米の保育士さんでも落ち着いて関わることができたり、生活習慣の自立を援助しやすいかもしれません。

保護者との信頼関係が築きやすい

担当制保育では、今日の様子や体調を保護者に申し送りする役割も担当の保育士さんが行う事が多いようです。

また、担当の子どもの食事や睡眠、排泄など子どもの成長や健康に直結することを把握できているため、保護者の方に自信を持って詳しく伝えることができるでしょう。

そのような密接なやりとりを重ねるうちに、保護者の方とも打ち解け、信頼関係を作りやすくなるでしょう。

担当制保育を実施している園で働くポイント

担当保育を実施している園で働くときに、意識するとよいポイントを紹介します。

担当の子どもとしっかり向き合い関係を築く

子ども達は、担当の保育士さんに身の回りのお世話をしてもらうことで、保育士さんのことを信頼し安心できる大人であると感じるようになっていきます。

子どもと保育士さんの間で愛着関係ができることで、その子どもにとって保育園は安心できる居場所になるでしょう。信頼して貰うには、自分が担当した子ども達の性格や特徴、好みなどをしっかりと把握することが大切です。

すぐに関係を作るのは難しいと思います。しかし、たくさん子どものことを観察し、気持ちをくみ取ろうとすれば少しずつ子どものことが分かってくるかもしれませんね。

分からないことは積極的に他の保育士に聞く

担当制保育は、食事の介助やオムツ交換の時間など、担当グループで交代制になっていることも多く、先輩保育士さんや他の保育士さんが行っている声かけや関わり方をじっくり観察し学ぶ機会が少ないかもしれません。

そのため、保育スキルを見て学ぶことができないので、自信の関わり方が適切であるのか不安になることもあると思います。分からないことや不安なこと、気になる点は、こまめに先輩や他の保育士さんに相談することで、色々な知識を吸収して行けそうですね。

担当の子ども以外とも関わる機会を持つように心掛ける

担当制保育では、担当外の子どもとの関わる機会がどうしても少なくなってしまいます。

普段関わっていないので、子どもの性格や特徴などがなかなか掴めず、その子との関わり方を覚えるのに時間がかかることもあるでしょう。

遊びの時間などを使って、担当外の子どもとも積極的に関わり、クラス全体のことを把握していけるとよいですね。

規則正しい生活を送れるように意識する

担当制保育では、日課の基本となる生活リズムを整えることが重要視されています。

保育園にかゆ御子どもは、それぞれ起きる時間やご飯の時間、トイレのタイミングなども様々なため、個々に合わせた柔軟な生活リズムを形成していくことが求められます。

毎日の生活リズムを規則正しく整えることは、子ども達が見通しを持って生活し、安心して過ごすことができるようになるためには重要なことです。

他の保育士との連携

担当制保育は、一人ひとりに担当がつくため保育士さんは一人でやりくりしているように思いがちですが、保育士さん同士が連携しないと担当制保育は成り立ちません。

担当制保育は、常に保育士さんがバラバラに行動していますが、それぞれの動きを見ながら、自分の役割に適した動きをしなければいけません。

そのためには、他の保育士さんの動きを見たり、子ども達の動きを把握することが求められるのです。

また、担任している保育士さん全員が担当制保育の動き方を理解していることが、最低条件と言われています。

なので、担当制保育の動き方をしっかりと頭に入れ他の保育士さんとの連携を意識して行うと良いでしょう。

まとめ

今回は、担当制保育について特徴や担当制保育のやり方、メリットなどついて紹介しました。

乳児クラスで取り入れられることが多い担当制保育は、決まった子どもの身の回りのお世話をするので、子どもの性格や関わり方に慣れやすく、しっかりと生活習慣を身につけさせられるというメリットがあります。

また、新米の保育士さんはじっくりと子どもと向き合うことができるので、落ち着いた保育ができるようになるかもしれません。

是非、担当制保育とは何かを理解して、園選びなどの役に立ててみてください。

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保育士くらぶは保育士の転職キャリアサポートを行うアスカが運営しています。保育士くらぶ編集部のメンバーは元保育士や幼稚園教諭出身のメンバーを中心に「保育業界をもっと良くしたい!」という思いがあるメンバーが在籍し、日々執筆しています。保育士くらぶでは現役保育士さんが職場で活かすことが出来る、保育のノウハウやネタ、保育学生にとって必要な知識などを発信しています。 アスカは保育士の就職支援を行う会社です。1994年創業。全国で約10万名の保育士、幼稚園教諭の皆さまが登録しています。年間約1万名がアスカを通じて保育園や幼稚園、学童などの施設への就職を決めています。 保育士の求人情報は 【保育求人ガイド】 https://hoikukyuujin.com/ プロフィール入力で園からスカウトを受ける 【保育士スカウト】 https://www.hoikushiscout.com/