一斉保育と自由保育とは?違いやそれぞれのメリット・デメリットまとめ

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はじめに

何が何だかわからない人のイラスト(女性)

あなたが勤務する保育園ではどんな保育を行っていますか?一斉保育ですか?自由保育ですか?

はっきりと一斉保育・自由保育と明言する保育士さんもいるでしょう。

基本は一斉保育で、一定時間だけ自由保育、あるいはその逆という場合もあるでしょう。

また、どちらなのかハッキリしない、よく分からないという保育士さんもいるのではないでしょうか?

保護者が保育園を選ぶ際に、どういった保育を行っているかを目安にするのは当然ですが、その際に一斉保育なのか自由保育なのかが大きなウエイトを占めるのもよくあることです。

今回は、この一斉保育と自由保育について深堀りしていこうと思います。 ある意味基本理念とも言える保育の根幹に関わるテーマですが、どちらがいいのかを判定するのではなく、公平で客観的な視点から一斉保育と自由保育の長所・短所、その保育に関わる保育士さんのとるべき行動などを紹介しながら、一斉保育・自由保育をもう一度考察してみましょう。

一斉保育と自由保育とは?それぞれの特徴

まずは一斉保育・自由保育とはどういったものなのかの基本的な情報から紹介します。

保育には一斉保育と自由保育がある

そもそも「保育」とは何なのか?

保育園の存在意義やその目的といった根源的な問題ですが、保育士さんならおなじみの厚生労働省「保育所保育指針解説」の保育の目標によると…

保育所は、それぞれに特色や保育方針があり、また、施設の規模や地域性などにより、その行う保育の在り様も様々に異なる

としながらも、全ての保育所の目標を…

子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う

と定義しています。

子どもたちの望ましい未来のために努力しなければならないけれど、その方法は各保育園に任せますよ、といったところでしょうか? その保育の理念や手法として、一斉保育と自由保育があります。


一斉保育の内容

「一学期の目標」のイラスト文字

設定保育計画保育と呼ばれることも一斉保育は、その名のとおりクラスやグループ、あるいは園全体の子どもたちに同じ目標やねらい、指導案のもとで保育を行うことを指しています。

つまり一斉に同じことをするという意味で一斉保育と名付けられていますが、その「一斉」があまり良い言葉ではないと言われることもあり、設定保育や計画保育と言う名称で呼ばれることもあるようです。

日本における保育や幼児教育の基礎は戦後に広まったとされていますが、イギリスの社会主義者ロバート・オーウェンやドイツの教育学者フリードリヒ・フレーベルらの影響を受けた幼児教育が明治時代から存在していました。

 

保育や教育のひとつの手法として、一斉保育が広く取り入れられていたのは間違いないようです。

その内容は、保育者(園・保育士)が日案や週案、月案などの指導案や、ねらいなどを設定しクラスやグループの単位ごとに保育を行うというものです。

ただ、「ウチの園は一斉保育を保育理念にしています」という保育園は少ないのではないでしょうか?

一斉保育は保育理念というより、保育のひとつの手法として表現されることが多く、「うちの園は一斉保育を多く取り入れています」や、「うちの園では一斉保育中心です」といった言い方をされるようです。

一斉保育を行っている保育園でも自由保育を手法として取り入れ、一日の内に設定保育と自由保育が混在するといった保育方法をとる園も多く見られます。


自由保育の内容

自由の女神像のイラスト

一方自由保育はというと、こちらもその名のとおり子どもたちが自発的に遊びや製作などを行う、つまり自由に過ごさせる保育です。

一斉保育と大きく違うところは、保育理念として自由保育を掲げる保育園も少なくないところです。

自由保育の歴史は古く、形式化したフレーベル主義を改革し児童中心の自由な保育を提唱した教育者、倉橋惣三氏の「誘導保育」などがその基礎となっていると言われています。

 

また、自由保育はあくまで理念であって、手法としては誘導保育と呼ばれることもあります。

手法としては、課題の設定などを行わず子どもたちの自発的な発案や行動に任せ、介助やアドバイス、時には行動の道筋を示したりしながら自由に過ごさせるといったことが行われます。 また、自由保育を理念として掲げる保育園では、異年齢保育の形態を取り入れている保育園も見られます。

一斉保育のメリット・デメリット

続いては、一斉保育・自由保育の長所・短所を具体的に紹介します。

ここがイイよと言う賛辞やこんなにひどい!といった批判など、一斉保育や自由保育についての意見はいろいろなところで見受けられます。

あくまでも客観的に公平な目でメリットとデメリットを挙げていきます。 まずは一斉保育から…

一斉保育のメリット

前項でも述べましたが、一斉保育は保育理念としてではなく保育のひとつの手法として捉えられている場合が多いので、ここでは方法・手法としての一斉保育のメリットを紹介します。

  1. 平等な教育・経験を受けられる
    お絵かきや製作、絵本の読み聞かせや外遊びを、クラスやグループ単位で同じテーマに沿って保育を行うのでみんなが平等に経験することができ、仲間外れやみんなから取り残される子どもが発生しにくいメリットがあります。
  2. 小学校になじみやすい
    小学校での授業も一斉保育と同じように、クラスやグループ単位で同じことをする教育なので、小学校に上がっても子どもたちが戸惑うことなくなじめるようになります。
  3. 集団生活のスキルが身に付き、忍耐力や集中力、協調性が育つ
    みんなで同じ課題に取り組むため、人と関わり集団で生活するノウハウを学べ、我慢したり人に合わせたりといったスキルも身に付きます。
  4. 成長の度合いを把握しやすい
    同じ設定同じテーマで保育を行うからこそ、子どもたち個々の発達度合いや成長状況を把握しやすくなります。
  5. 意図的な指導ができる
    これは園側にとってのメリットですが、保育理念や保育方針を前面に打ち出している園にとってはそれを具現化しやすく、外部にアピールしやすくなるという長所があります。

保育の現場で長く取り入れられてきたということは、それだけメリットが多いということに他なりません。 システムとしても確立されていて、新人保育士さんでも取り組めるノウハウやマニュアルがあり、成果も出ているのではないでしょうか?


一斉保育のデメリット

続いては一斉保育のデメリットを挙げてみましょう。

  1. 自由な発想が苦手になる
    課題やねらいが決められていて、子どもたちはそれに従っていればよくなりがちで、子どもたちが自由に発想したり、発案したりすることが苦手になってしまう可能性があります。
  2. 設定や課題を柔軟に変更できない
    あらかじめねらいなどが設定されていて、それに沿って保育を行えばいいので進めやすい反面、思わぬトラブルやアクシデントなどが発生すると、その場その場で臨機応変に変更することが難しい面もあります。
  3. 自主性が育ちにくい
    子どもたちが保育者の指示待ち、受け身になってしまい、自主的に行動することができなくなることも考えられます。
    また、みんなで同じことを一斉にするため、個性が伸ばされないのでは?という指摘もあります。
  4. 保育者側からの押しつけ保育になる
    課題や設定も、保育者(園・保育士)が立案・決定するもので、極論で言えば大人の都合を押しつけているという批判もあります。
    つまり、保育者や保護者の言うことを聞く子どもを育てるといった危惧もささやかれています。

一斉保育と言う言葉からは、全体主義画一的と言ったニュアンスが感じられ、保護者から批判的にみられることもあります。 一斉保育は保育理念ではなく保育手法だと理解すれば、そういった批判は当てはまらないと思いますが、一斉でなく設定や計画であればネガティブな匂いは消えるのではないでしょうか?


自由保育のメリット・デメリット

続いては自由保育のメリット・デメリットを紹介します。 自由保育に関しては、保育理念と保育手法の両面からその長所と短所を挙げてみましょう。

自由保育のメリット

理念としての自由保育はかなり幅が広く、これが自由保育!というハッキリした定義もないため理念として掲げるハードルは低いのですが、自由保育をどう具現化するかが難しいとも言えるのではないでしょうか?

  1. 自分で考えて自主的に行動できるようになる
    今日はこれをやりますという決まった設定やねらいが無い自由保育では、子どもたちがやりたいことを自発的に見つけて行うため、自主性や積極性が養われます。
  2. 想像力や個性が伸ばされる
    みんなで同じことをする一斉保育と比べて、好きなことを自発的にするので子どもたちの想像力・個性が伸びると言われています。
  3. ねらいや課題などが自由に設定・変更できる
    自由に行動させる中で保育者が子どもたちの特性や弱点を見つけて、その部分を伸ばしたり補ったりできるような指導や誘導を柔軟に取り入れることができます。
  4. 保護者や外部に向けてポジティブな印象を与える
    自由保育を理念とすることで旧態依然とした保育ではなく、子ども主体の進歩的な保育方針を行っていることがアピールしやすくなります。
  5. 子どもたちの遊びに対する満足度が高い
    一斉保育のように決まったテーマや課題が無いため、ある程度好きなことができる自由保育では子どもたちが思い切り楽しめ、その満足度が高いようです。

手法としての自由保育、その自由の度合いは保育園によって差があるようです。

どんな場所でどんな遊びをしてもいいという自由度の高い保育方法や、ここはお絵かきでここは工作、こっちは絵本という風にゾーンを決めて行う手法もあります。 また、時間帯を区切ってテーマを設定し、その中で自由に行動するというやり方も考えられます。


自由保育のデメリット

理念としての自由保育は保護者ウケが良く、保育者としては取り入れやすいのですが、手法としての自由をどう捉えるかでその成果が問われそうです。

  1. 放任になってしまいがち
    運営側が自由の意味をはき違えて、ただ子どもの好き勝手にさせるという間違った自由保育を行う保育園になってしまうと最悪です。
  2. 小学校教育とのギャップが心配
    今日の小学校教育は一斉保育と似通った部分が多々あります。
    自由保育で育った子どもたちが小学校に入学して、うまく周囲になじめなくなることも考えられます。
  3. 協調性や忍耐力を養えないこともある
    ある程度自由に好きなことができるので、子どもたちの満足度は高くなりますが、我慢したり人に合わせたりするスキルを身に付けられない可能性もあります。
  4. 自由であるが故に遊びや行動に偏りが生まれることもある
    好きなことだけすればいいとなれば、苦手なことややりたくないことはしなくてもよくなり、行動や興味が偏りがちになる恐れもあります。
  5. 保育者の専門性や経験、力量が問われる
    うまく自由保育を手法や理念として取り入れ、円滑に実践・運営するのはかなり難しく、現場の保育士さんの技量によって成果が左右されます。

いくら自由保育とは言っても、保育者でしっかりねらいや計画を立てた上で保育を行わなければただの放任主義、好き勝手にさせるだけになってしまいます。

それぞれの保育で保育士がとるべき行動とは?

最後に、一斉保育・自由保育それぞれの保育を行う上で現場の保育士さんに求められる役割や注意点を紹介します。

一斉保育の場合

一斉保育を行う上で重要なのが、計画をしっかり立てることです。

年間の保育目標やねらい・課題を、年度が開始するまでに運営と保育士さんでクラスやグループ単位で決定しておかなければなりません。

その上で、現場の保育士さんが担う役割を挙げてみましょう。

  • 子どもの発達や成長に応じた日案や週案を決める
  • ねらいや課題に沿って保育を行う
  • グループ・クラス単位で全体を見ながら、子どもたち一人ひとりの様子も観察する
  • 子どもたちの行動をある程度予測し環境や設定を用意する
また注意点としては、課題や設定を押し付けてしまわず子どもたちに合わせて柔軟に対応すること、そして、できない・やらない子どもたちにはアドバイスや提案をし、決して放置しないなどが挙げられます。

 


自由保育の場合

自由保育といえども、目標や課題、ねらいはしっかり立てて全職員で共有しておくことが必要です。

その上で、自由保育を行う際の保育士さんの役割を見てみましょう。

  • 子ども同士のトラブルが無いように配慮する
  • 自発性や積極性のない子どもにはこちらから働きかけることも必要
  • 時には提案を投げかけるなどきっかけを作る
  • 子どもたちの発達度合いや個性に応じた声掛けや対応を心がける
子どもたちの自発性や発案に任せることが自由保育の手法ですが、自由=放任になってしまわないように、誘導や選択を提案するなど介助や声掛けも重要です。

 


まとめ

一斉保育・自由保育それぞれに良いところがあり課題もある理念・手法なので、どちらが優れているか一概に決めつけることはできません。

また、その解釈や実践方法も保育園によってそれぞれです。

一斉保育・自由保育が混在する保育園が多いと思いますが、両者のバランスをうまく考えて実践する保育園こそが良い保育園、とも言えるのではないでしょうか?

いずれにしても、保育の主役は子どもたちです。 ひとり一人の成長や発達を促し、個性を伸ばしてあげられるような保育を目指しましょう!

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