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保育士・お母さんを困らせる!子供の試し行動
物を投げたり、人を叩いたり、机の上の物を落としたりなど、わざと相手を困らせることをするお試し行動。
愛情障害などが原因で大人になっても試し行動をすることもあるようですが、小さい子どもによくみられる行動です。
試し行動と言う言葉は知らなくても、子どもたちの大人を困らせる行動は目にしたことがあるのではないでしょうか?
2,3歳の時期には何でも「イヤ!」というイヤイヤ期がありますが、この試し行動もイヤイヤ期の一種と混同してしまいがちです。
家庭や保育園でお母さんや保育士さんを悩ませる試し行動とはいったいどういうものなのか?
その試し行動がどういった場面でどんな行動になって現れるのかや、試し行動の原因とはどういったものなのかを詳しく紹介します。
また、それらを踏まえた上で試し行動が起こった時にどうすればいいかの対応策と、これはダメと言うNGな対処法も併せて紹介します。
そもそも試し行動って何?
まずは、試し行動がどんなものなのかを具体的に紹介します。
試し行動の具体例
試し行動の主な例を、子どもの具体的な行動で挙げてみましょう。
- わざと物を投げる
- 絵本やおもちゃなどを破ったり壊したりする
- 食べ物や飲み物をわざとこぼす、吐き出す
- 人に嚙みついたり叩いたりする
- 大声で泣き叫ぶ
- わざとお漏らしをする
- 言うことを聞かずわがままを繰り返す
いくつか思い当ることがあるのではないでしょうか?
試し行動が現れる場面
さまざまな行動がある試し行動はどういった場面でみられるのでしょうか?
よく試し行動がみられる場面をいくつか挙げてみましょう。
- 家族が増えた
弟や妹が生まれその世話に追われてお兄ちゃんやお姉ちゃんのことが後回しになっている。
おじいちゃんやおばあちゃんと同居するなど、家族の構成員が増えて環境が変わった。
- 保育園・幼稚園に行くようになった
家族以外の大人やお友達など初対面の人に出会う。
- 叱られてばかり
いつも叱られてばかりで認めてもらえない。
- あまりかまってもらえなくなった
母親(父親)が仕事や子育てで忙しくなり、前よりかまってもらえなくなった。
- 担当保育士さんが変わった
進級や異動などで新しい先生に接する。
それ以外にも虐待を受けてしまったり、親の再婚などで環境が劇的に変わってしまったりといったケースにも試し行動が現れるようです。
子どもは大人の気を引きたい!
具体的な行動や試し行動が現れる場面は分かったけれど、そもそも試し行動とはどういったものなのかを考えてみましょう。
試し行動と言う語句自体の意味は、文字通り誰かを試す行動のことです。
リミットテスティング(Limit Testing)と呼ばれることもある試し行動は、相手の自分に対する愛情を計る、確認する行動で、子どもが大人の気を引きたい、自分に注目して欲しい時に起こる行動だと言われています。
また、悪いことをどこまで許してもらえるかの限界(リミット)を推し量る意味で相手を試す行動でもあります。
ドラマでも取り上げられた
2016年にテレビ朝日系「木曜ドラマ」枠で特別養子縁組をテーマにしたドラマ「はじめまして、愛しています。」が放送されました。
育児放棄された男の子を引き取る里親夫婦を描いたこのドラマの中で、男の子の数々の試し行動描写があります。
床に飲み物や食べ物をまき散らしたり、里親の手に噛みついたり、おむつを付けたがったり里親に抱き着いて離れなくなるなどの赤ちゃん返りといったシーンが描かれています。
このドラマのように、里親・里子の間で試し行動が問題となることがよくあるのだそうです。
アメリカのコメディ映画でもこの里親・里子と言うテーマが良く取り上げられていて、いろいろな試し行動の描写が見られます。
試し行動の原因
続いては、子どもの試し行動がどういったことが原因で起こるのかを紹介します。
試し行動の原因はいくつかあり、現れる場面によっても違います。
原因①相手にされていないと感じている
家庭内であれば、弟や妹が生まれてお母さんが赤ちゃんの世話で忙しくなった、あるいは親が仕事で忙しくかまってもらえなくなった時などに、自分は相手にされていないと感じ認めて欲しいために試し行動に出てしまう。
保育園などの場合、保育士さんが他の子にかかりきりになって自分が放っておかれたと感じた時や、お友達とうまくコミュニケーションが取れずに孤立したといった場合に自己PRのひとつの手段として試し行動をとってしまうようです。
原因②注目される手段として簡単なネガティブ行動
大人の気を引きたい、認めてもらいたいという欲求から注目されようとするのですが、子どもの場合うまく相手の注意を引く手段が見つからない場合があります。
そういった時に手っ取り早い自己アピールの方法としてネガティブな行動、つまり叱られるような悪いことをします。
認められていない、相手にされていない状態よりは、たとえこっぴどく叱られるとしても注目されている方がいいのです。
叱れば叱るほどいたずらがどんどんエスカレートするのは、注目してもらえてうれしいためもっとかまって欲しいとさらに悪いことをしてしまうからです。
原因③虐待を受けた
虐待を受けた子どもの中には、大人を信用できなくなり試し行動を行ってしまう子どもたちが多いと言われています。
虐待を受けている子どもは、自分は嫌われているから虐待されると受け取り、愛されているかどうかを確認するために敢えて悪いことをしてしまいます。
この試し行動は幼少期の一時期のものと言う認識は全てに当てはまるわけではないようです。
大人になっても試し行動をしてしまう場合が、虐待を受けた子どもの中に少なからずいるのも事実です。
厚生労働省の「里親手引」では、試し行動だと思っていたけれど発達障害などが原因になっている場合もあると注意喚起がなされています。
出典:厚生労働省「里親手引」
原因④環境変化による不安から
原因①とも関係しますが、弟や妹が生まれたり、保護者の再婚や離婚、祖父母との同居など家族が増えたり減ったりする環境の変化による不安が試し行動の引き金になることがあります。
また、保育園や幼稚園に通い始めるなど、家族以外の大人や同年代のお友達とはじめて接する場面が、試し行動のきっかけになることも。
さらに、年度が替わって担任や担当保育士さんが変わることなども、この人は信用できるかな?と試し行動を行ってしまう一因となります。
試し行動された時の対応策
では、園児の試し行動に直面した際に保育士さんはどういった対処、対応をすればいいのでしょうか?
対応の仕方によっては、子どもを傷つけてしまったりさらに大人を信用できなくなってしまったりする可能性もあるので注意が必要です。
もちろん、試し行動の原因やその背景は複雑なので、これが正解と言う対処法がありわけではありません。
そこで、試し行動に対処するためのひとつの指標としての方法を、3つのステップに分けて紹介します。
STEP1 まずはきちんと叱る
まずは、良いことと悪いことをはっきりと伝えることが大事です。
たとえそれが、心の傷によって起こされた試し行動だとしても、やってはいけないことはちゃんと「ダメ」と叱りましょう。
叱らなければいけない場面で変に遠慮してうやむやにしてしまうと、子どもは良いことと悪いことの判断ができなくなってしまいます。
してはいけないことはしっかり伝えて、毅然とした態度で叱ってあげましょう。
STEP2 叱るときも突き放さずに愛情を伝えるようにする
悪いことは悪いときっちりと叱るのがまず大切ですが、叱って終わりでは子どもの不信感や不安感は消えません。
ダメなことはダメと伝えた上で、ありのままのあなたを受け入れているよ、あなたのことが大好きだよと言葉や態度でしっかり伝えてあげましょう。
言葉をかけてあげるのはもちろんですが、手をつないだり頭をなでてあげる、抱きしめてあげたりするなどのスキンシップも子どもが安心する愛情表現です。
また、愛情表現を根気よく続けることも大切です。
足りない愛情の量は子ども一人ひとり違います。
何度も同じことを繰り返す子どもは、まだ保育士さんを信用していないか、保育士さんの愛情を感じ取っていないのかもしれません。
相手になかなか伝わらないのはつらいですし、保育士さん自身のモチベーションも続かなくなるのは当然ですが、信用してもいいんだ、好かれているんだと子どもが感じ取れるまで根気よくあなたを愛しているよ、大好きだよと伝え続けましょう。
STEP3 気を引きたくてわざと悪いことをしていると理解する
悪いこと、ダメなことなのは分かっていて敢えてやってしまうのが試し行動です。
相手に自分の存在を気づいて欲しい、どこまで悪いことをしたら叱られるのか試したい、悪いことをしても許されるくらい好かれているのか知りたい…
そんな心理で試し行動を起こしている子どもの気持ちをしっかり理解してあげましょう。
「怒らせてみたくてやっているのは分かっているよ」
「自分を見てくれているか不安なんだね」
言葉にしなくても態度で示してあげれば、きっと子供には伝わります。
自身も幼いころから試し行動を続けてきたある療法士さんのブログで、「リミットテスティング(試し行動)はする方もされる方もとても辛い試練のようなもの」と言う言葉があります。
試し行動をされるお母さんや保育士さんはきっとイヤな思いやつらい思いもするでしょう。
でも、試し行動をする子どもたちのつらい苦しい心も分かってあげた上で受け入れてあげましょう。
逆にNGな行動
こんな行動は試し行動を改善させるどころかもっとエスカレートさせてしまうかもしれないというNGな対処法をいくつか紹介します。
- 感情的に叱る
いい加減にして!うるさい!など、悪いことを悪いと叱るのではなく、感情的に責めるだけの叱り方はかえって逆効果かもしれません。
安心したくて起こした試し行動なのに、大人から感情的に叱られたら信頼する気持ちがより薄らいでしまいます。
- 無視する
反応するから図に乗る、放っておけばそのうち収まるかも、そういった対応はおすすめできません。
気付いて欲しくて子どもは試し行動をします。
無視したり、取り合わなかったりする対処法はかえって子どもの不安を増大させます。
認めてもらえるまで、気づいてもらえるまで子どもは試し行動を続けることになり、つらい気持ちや寂しい気持ちは行き場を失って心に積み重なっていきます。
- 叱らずにただ受け入れる
不安や満たされない思いで悪いことをするのだから大目に見てあげようと、叱らないのもNGな対応です。
何でも受け入れてしまうと、これでいいんだと判断してしまい試し行動がエスカレートする一因になります。
また、叱られないことで試し行動をやめることができなくなってしまします。
悪いことは悪いとキチンと叱ることが重要です。
- 否定する・疎外感を与える
物を壊したり、人に噛みついたりする行動を叱るのではなく、行動を起こした子どもを否定してしまうような対処も絶対避けたい対応です。
そんなことをする子は嫌い、もう勝手にしたらいい、といった子どもを突き放すような言葉は、自分は好かれているのか不安に思っている子どもの孤独感を一層煽る結果になりかねません。 何が悪いのかちゃんと説明して、もうしないように叱るのは良い対応ですが、子どもの人格を否定するような怒り方はしないようにしましょう。
まとめ
する側もされる側もつらい試し行動ですが、決して無駄な不毛な行いではありません。
試し行動をする子どもにとって、その対象となる人物は好かれたい、愛して欲しい存在です。
だからこそ、試し行動によって自分の存在を気づかせたい、認めてもらいたいと思うのです。
そんな子どもの気持ちを受け入れてあげて下さい。
悪いことは悪いと叱った上でしっかりと愛情表現をし、それを根気よく続けていくことで子どもとよりよい関係を築くことができる可能性が広がります。
対応策の3つのポイント、「悪いことは悪いと叱る」「感情的にならず冷静に対応する」「大切に思っている気持を伝える」を念頭に置いて、試し行動も成長の大事なステップと考えて根気よく対応しましょう。
全ての子どもたちと笑顔で信頼関係が築ける日が来ると信じて!
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