子供が怪我をした時の保育士の対応方法とは?【保護者対応・傷痕・ランキング・残った・お詫び】

子供が怪我を保育園でしてしまった時、保育士さんはどのような対応が求められているでしょうか。1つの重大な事故の背景には、29の軽い事故と300のヒヤリハットがあるという「ハインリッヒの法則」。このヒヤリハットが保育の現場では、毎日のように起こっています。今回の記事では万が一保育園で子供が怪我をしてしまった時の対応方法から、怪我を未然に防ぐ予防方法まで詳しく解説していきます。

子供の怪我の原因

子供の怪我ランキング1位は骨折

内閣府子ども・子育て本部の「令和3年教育・保育施設等における事故報告集計」によると、令和3年1月1日から12月31日までの1年間に認定こども園・幼稚園・認可保育所等での負傷事故は前年度と比較して332件増えた2,347件でした。このうち81%を占めた1,888 件は骨折が原因です。事故発生場所は、保育施設敷地内の室外が多く占めていますよ。また死亡事故は5件起こったと報告されています。

認定こども
園・幼稚園・
保育所等
放課後児童
クラブ
割合
骨折1,4804081,88880.6%
意識不明140140.6%
火傷73100.4%
その他3666443018.4%
死亡5050.2%
※その他:指の切断、唇、歯の裂傷等を含む。骨折、意識不明、火傷、その他を負傷等のカテゴリーに入れる。

園内を走り回る

子供達はよく園内を走り回って遊びます。しかし未発達な子供はバランスがとれなかったり、頭が重いことで、躓いて転んでしまいます。また保育士さんと手を繋いでいても、突発的に走り出してしまったりと周りが見えなくなることもありますね。特に3歳以降の子供は、急激に好奇心が旺盛になるため注意が必要です。怪我を防ぐために遊ぶ前に、踵を踏んでいないか、マジックテープが取れていないか身なりを確認しましょう。そして準備体操も欠かせず、筋肉や関節を十分にほぐしてから遊ぶことが大切ですね。

子供同士の喧嘩

子供は感情をコントロールすることが難しく、言語能力も未熟です。特に玩具の取り合いをした時、つい手が出てしまい友達間のトラブルに発展してしまうことが多いですね。子供は力の加減もできないため、怪我に繋がりやすいためおもちゃの取り合いが起きにくい環境を作ることが大切です。玩具数と子どもの人数が釣り合っているか、玩具の数が少なくないか確認しましょう。そして物の貸し借りをするときは、「貸して」「ありがとう」「ちょっと待ってね」などの声かけができるように教えると良いですね。

誤飲やアレルギー食品の摂取

歯が生えてくる1歳前後になると歯がむずがゆかったり、好奇心の強さのあまり、つかんだものを口に入れてしまう傾向があります。特にキラキラしているビーズや玩具のパーツ、ボタン電池など小さい物は口に入れやすいため危険ですね。手作り玩具はパーツが取れていないか確認したり、物が落ちてもすぐ気づくことができるように室内を整えましょう。またアレルギー食品の摂取してしまうと、アナフィラキシーを引き起こし危険状態に陥ることもあります。そのため子供1人1人のアレルギーを把握し、保護者とも面接や連絡簿を通して密に連絡を取り情報を共有し合いましょう。

遊具からの転落

滑り台やアスレチック、ジャングルなど保育園には多くの遊具があります。しかし間違った遊び方をしたり、手を滑らせてしまうと怪我に繋がりますね。例えばブランコに乗っている際に手を放してしまい、落下する、階段やジャングルジムでバランスを崩し落下してしまうなど高さがある遊具は特に危険です。遊具を使用する時は、しっかりと遊具を握る、高いところに飛び降りない、遊んでいる友達の近くに立たないなどルールを定めてアナウンスしましょう。

保育士くらぶ

子どもが怪我をした時の対応

心構え

次に保育園で事故が発生し、園児が怪我をしてしまった場合にどうすればいいかを紹介します。園児が怪我をしてしまったら、まずは落ち着くことが大切です。事故が起これば冷静でいられないのは分かりますが、先生が不安になってしまうと子どもたちにもその気持ちは伝播してしまい、子どもたちまでパニックを起こしかねません。落ち着いて冷静に状況を見極めるように心がけましょう。

応急手当の方法

  • 擦り傷や切り傷といった外傷の場合、傷の具合を観察し水洗いや血液を拭き取るなどして傷口を清潔にし、消毒後に絆創膏やガーゼ・包帯などで処置します。
  • 縫合が必要な大きな傷の場合は、救急搬送や医療機関受診をしましょう。
  • 打撲は部位によっては重篤な怪我になることもあります。
  • 特に頭を打った場合には、その後の状態を注意深く観察する必要があります。
  • ケロッとしてすぐ元気になっても、数時間後または数日後に頭痛や嘔吐、意識不明といった重篤な状態に陥ることもあるので気を付けて観察しましょう。
  • 頭部以外の場所でも、単なる打ち身や捻挫なら湿布などで対応できますが、骨折や脱臼の疑いがある場合は医療機関を受診しましょう。
  • 火傷の場合は、軽傷であれば患部を冷やしたあと消毒して清潔にして軟膏などを塗り滅菌ガーゼで覆います。
  • 水疱ができてただれていたり、ショック症状があったりするなど重篤な場合は直ちに医療機関を受診しましょう。

園長や主任に報告をして指示を仰ぐ

次に応急手当てをしながら、子供の怪我の状況を速やかに園長または主任保育士へ報告し、指示を仰ぎましょう。1人で怪我の状態を把握し解決しようとすることは、判断を誤る危険性があるため、怪我の大小問わず報告、連絡、相談を徹底します。重篤であると判断された場合は救急車を、必要に応じてかかりつけ医を診てもらいます。後に大きなトラブルになる可能性もあるので、自己判断は控えましょう。

保護者対応の方法

保育士さんがどんなに気を付けていても事故が起こってしまうことがあります。そんな時に怪我をした園児の保護者の方にどう伝えるべきなのかを紹介します。

電話で連絡をする

出血が多かったり、怪我部位が頭部の場合など怪我が大きい場合は、園長に報告をし対応をした後に、保護者の方に速やかに電話をしましょう。保護者が電話に出ない時は、連絡簿に記載してある祖父母など第2・第3の緊急連絡先に電話をします。すぐに病院に連れて行くケースもあるため、早急な対応が求められますね。保護者の方は突然の連絡に困惑してしまうことも少なくありません。その中でも冷静に子供の現状を伝え、保育士のした対応もしっかりと伝えましょう。

対面でお詫びを伝える

現場にいた保育士がお迎え時に、直接保護者に怪我の状態説明し謝罪することも大切です。そして怪我について説明を行う際は、「いつ・どこで・なぜ」怪我が生じたのか詳しく正確に伝えましょう。その後の子供の様子や保育士がした対応も報告します。謝罪をした後は、予防策など今後どういった対策をするのか誠意持って伝えることも重要ですね。また大きな怪我などであれば、園長や上司にも同席してもらって説明をしましょう。

翌日以降もフォローを行う

子供が怪我をした翌日も、保護者の方に昨日の家での様子を聞きましょう。情報を共有することで、どの場面でより注意をすれば良いのかわかり保育がしやすくなりますね。また家で持続的にケアが必要な怪我の場合は、ホームケアの方法を伝えることを意識してくださいね。怪我によっては看護師さんから説明をしてもらいましょう。このような取り組みで保護者の方に安心して子供を預けてもらうことができます。

子供の怪我を未然に防ぐためには?

日頃から子供から目を離さないように注意する

続いては、園児の怪我が起きないためにどういった予防策を取ればいいかを紹介します。まずは、普段から危険なアクシデントが起こらないようにこころがけておくことが大切です。大丈夫だろうではなく、危険かもしれないと日頃からこころがけておくことで、とっさの時に危険を回避する行動にすぐ移ることができます。保育士さんが身構えておくことで、リスクを少なくすることにつながります。

危険な場所を特定して改善する

事故や怪我が起こりやすい場所や場面をリストアップし、その場所や場面での観察や用心をしっかりすることが重要です。例えばお昼寝の時には、こまめに子どもたちの様子を確認する、公園など外遊びの際には保育者の目が届かない場所を作らないといったことです。また、子ども同士の衝突や転倒が多く起こるような場所を作らないような環境づくりも効果的です。

保育者でヒヤリハット情報を共有する

保育士さんが感じたり経験したヒヤリハットを、他の保育士さん同士でも共有しましょう。例えば床掃除が甘く、床が濡れていて子供が転びそうになった、鬼ごっこをしている時に前を見ていない子供が友達にぶつかりそうになったなど様々なヒヤリハットがあります。ここが危ないといった話や、あの場面ではこうした方がいいといった情報が役に立つことがきっとありますし、みんなで共有することで目の届き方が違ってきます。

まとめ

子供が怪我をしたらすぐに応急処置と園長に報告しよう

絶対に起きて欲しくない子どもの怪我ですが、どんなに注意していてもアクシデントは突然起こる可能性があります。起こってしまったものは覆せないので、冷静になってまずは応急手当てをしましょう。怪我をするに至らなかったヒヤリハットでも、包み隠さず報告し情報を共有することで未然に事故を防ぐ予防策につながります。子どもが怪我をしてしまった場合には速やかに保護者に説明・謝罪するのはもちろんですが、ひとりで抱え込まずに先輩や主任・園長に相談することも大事です。保護者対応についても、経験豊富な先輩や上司にアドバイスを求めることも必要です。事後の対応策や応急手当などをしっかり準備した上で、普段から心がけをして事故を未然に防ぎましょう!

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