大変低水準にある保育士の給料。
ですが、政府は2021年11月19日に過去最大規模の経済対策を決定しました。
その内容には、介護職や保育士の給料引上げを実行することが明記されており、世間でも話題を呼んでいます。その他、看護師や幼稚園教諭などの業種においても同様に引き上げを検討しているとのことです。
正式名称は、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」というもの。
しかし、ニュースをパッと見ると保育士の給料が一律で9000円アップすると勘違いしている方が多いのではないでしょうか。
実はこの処遇改善策。補助を受けるには要件のクリアが必要です。中には対象外の保育者もいます。
そんな話題の処遇改善策の具体的な内容について本記事では徹底解説しちゃいます!
※情報は今後変わる可能性もございます。更新日時点での情報であることを予めご了承ください。
保育士の給料相場が未だ低い理由
本題の処遇改善について見る前に、保育士の給料事情について見ていきましょう。
理由①歴史的背景
保育士の給料は低いと言われますが、それにはいろいろな理由があります。
戦前の日本において子育ては一家の主婦の仕事であり、共働きの家庭でも両親や知人に預ける程度が一般的でした。
戦後、児童福祉法が制定されて保育園が正式に認可されてからも、保育の質は低く保育士(当時は保母・保父)の社会的地位も低く見られていました。
そういった歴史的背景もあり、保育の質が向上して保育士の重要性度が高くなった現在も低賃金のままなのかも知れません。
理由②人件費を賄う資金がない
さらに、認可保育園の運営費は国や自治体の補助金と保護者の保育料で賄われていますが、どの保育園も財政状況に余裕はなく必然的に保育士の給与は低く抑えられています。
そして、2000年の規制緩和で保育園の経営に営利目的で参入するNPO法人や企業が現れたことで、さらに人件費が削られるといったケースも出てきています。
こういった理由から、体力的にも精神的にも重労働である保育士の給与水準が低くなっていると思われます。
保育士の平均給与額から見る現実
実際、保育士の給与水準は他の業種の方たちと比べてどうなのでしょうか?
「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、

- 保育士の月額給与・・・213,000円
(公務員である公立保育園の保育士を除いたそれ以外の保育士の平均月額給与額) - 全産業の平均月額給与・・・304,000円
となっており、保育士の月給はほかの業種に比べて90,000円も低い額です。
ちなみに、一例ですが公務員である公立保育園の保育士はは「練馬区 職員数や給与の状況(2015年度の公表内容)」によると年収で6,463,026円、それ以外の保育士の年収が3,233,400円なので、ほぼ2倍になります。
予想していたとはいえ、公立保育士とそれ以外の保育士との賃金格差はかなり深刻ですね。他の職種との比較でも低水準だと言えそうです。
まだまだ現実は厳しい給料問題
具体化しつつある「保育士給与改善案」ですが、上で説明したようにまだまだ十分とは言えません。
公立保育士と私立保育士の賃金格差を是正する目的で私立の認可保育園に補助金が交付されています。
この補助金のうち「賃金改善要件分」についてはすべて職員の給与にあてなければいけないとされていますが、一律にアップするわけではなく誰にいくら加算するかは運営の裁量に任されているので、すべての保育士の給与が上がるというわけではありません。
賃金や労働環境の問題から保育士の離職率は高くなっていて、それもまた給与水準の低さを助長しています。
まだまだ現実には保育士の給与問題対策は十分とは言えないでしょう。
今より給料を上げるため…求人の探し方
保育士の処遇改善策(給与アップ)はまだまだ不十分…とはいえ、求職中の人は少しでもお給料の高い職場に就職したいと思うものです。
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そのためには給与アップが望める保育士求人を探すことが大事になってきます。そこで、高い給与が見込める保育園の求人を探すコツをご紹介します!
・ハローワーク利用は少し注意
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ハローワークで求人をかけるのは基本無料なのです。つまり、求人にお金をかけない=人件費も削減ということかもしれません。
・求人、転職サイトを活用しましょう!
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令和4年2月から始まる処遇改善策
①処遇改善策の時期
まず、処遇改善策はいつから始まるのか?時期についてみていきましょう。
処遇改善策は、令和4年2月より始まり令和4年9月までの8か月の間、保育士に対して3%程度(月額9,000円)の賃金改善を行う費用を補助されます。
また、10月以降は公定価格の見直し(※地方交付税措置)により同様の給料の補助を行います。
※地方交付税措置
国が地方に代わって徴収する地方税(地方の固有財源)により解決すること
②対象者と対象施設
保育所や幼稚園等に勤務する職員が対象。
(役員・延長保育・預かり保育専任担当等は対象外)
そして、認定こども園、保育所、地域型保育事業などの私学助成幼稚園が対象施設になります。企業主導型保育も対象ですが、別途要綱が必要になるそうです。
③補助要件
この処遇改善策には、要件があり以下の3つをクリアしないと受けることができません。事前にしっかり確認しておきましょう。
- 補助額の全額を賃金改善に充てること
- 最低でも改善額全体の3分の2以上を基本給または決まって毎月支払われる手当により行うこと
- 賃金改善計画の作成と実績報告の作成をし、市町村への提出が必要
④処遇改善策の内容
賃金改善部分と国家公務員給与改定対応部分において、基準額✖平均利用児童数✖運営月数を補助基準額とします。
補助基準額、実支出額、総事業費の少ない金額を交付額になります。(補助率は10/10)
ここでわかりにくいポイントがあり、補助基準額を計算するときは
令和3年度は、賃金改善部分✖年齢別平均利用児童数✖令和4年の2月・3月
令和4年度は、賃金改善部分+国家公務員給与改定対応部分✖令和3年度年齢別平均利用児童数✖令和4年の4月から9月
と分けて計算しなければいけません。
保育園や幼稚園の年度は4月で変わるため、このような計算が必要になるのです。
また、2月・3月分は特例で3月にまとめて一時金支給することが可能ですよ。
保育士さんに処遇改善策の説明が必要

冒頭でも書きましたが、ニュースをパッと見て保育士が全員一律で給料が9000円上がると思ってる人は結構いるかもしれません。
この処遇改善策は、加配保育の補助への分配を可能にしていたり、事業者によって職員の分配方法は自由です。
保育士さんへ、処遇改善策が一体どのようなものなのか。園ではどのように分配を行うのかについて説明の機会を設けることが必要になります。
説明をまとめる際には、この記事や内閣府がまとめているリーフレットをぜひご活用ください!
▽ 関連記事を読む
保育士くらぶでは、保育士の給料に関するまとめ記事をあげています。下記の記事では、保育士さんの給料の基本情報から形態別給与事情、給料アップのために出来ることについても紹介しています。現状がよく分かる記事となっていますので、是非参考にしてみてください!
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さいごに
希望が見えてきた保育士の給料事情✨
今はまだ、保育士のお給料は低水準ですが、今回の処遇改善策のニュースは保育士にとって少し希望がありそうです。
保育士さんが働きやすい環境にするために政府は頑張って動いています。
処遇改善策を待つだけでなく、高給な職場を探す「積極策」に打って出るのも必要かもしれませんね。著者もニュースを見ましたが、実際の現場では給料の引き上げだけではなく、保育士として働く人のケアやよりよい待遇を必要としているように感じました。こうしたことは、保育士の皆さんによる積極的な働きが、政府や園の施策の良い圧力になるかもしれませんよ!
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