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【玄界島】子どもたちのふるさとを守り続ける。離島で働く保育士さんインタビュー~後編:加納孝郎主任/深町舞先生~ イメージ

【玄界島】子どもたちのふるさとを守り続ける。離島で働く保育士さんインタビュー~後編:加納孝郎主任/深町舞先生~

福岡・玄界島唯一の保育園「玄界島保育園」

前回松田園長先生のインタビューを掲載した。
今回同保育園の主任保育士・加納孝郎先生と、保育士・深町舞先生にも話を聞くことができた。

島ならではの環境や人情味あふれるコミュニティ、
子どもたちとの密接した関わり。
意志をもってこの玄界島で働くことを決め、
保育現場を見守り続けている保育士ならではの言葉がたくさん散りばめられていた。

180度異なる環境。それがすべてのきっかけに

玄界島保育園で勤務する前は、今よりも園児数の多い120名ほどの園で勤務していたという加納先生。

以前玄界島で働いていた友人に誘われ、島での合同運動会を見に来たことがきっかけだった。

「1クラスにも満たない環境で、子どもたちとこれほどまでに密に関われる保育のあり方に感銘を受けたんです」

当時は保育士の募集はしていなかったものの、次の年に臨時職員の募集で声をかけてもらった。
そうして働き始めた玄界島保育園は、以前の園とは180度異なる環境だったという。

「以前と大きく違ったのは自由保育の部分です。例えば鉄棒をするにしても、ここでは子どもたちに“やらせる”という感覚はない。その子が『やりたい』『やってみたい』という気持ちで自ら取り組むまで僕たちは気長に待ちます。」

子どもたち一人ひとりのペースに合わせた保育がしたい。
保育士がそのような想いを口にすることは少なくないが、
大勢いる園児たちを前にそれがどれほど難しいことかは周知の事実だ。

「以前の園だったら、好きなことを好きなだけ極めればいい、というやり方に対し協調性を保つのに今後苦労するのでは、という保護者からの声もあった。それも確かに理解できます。園児が多いとその同じ数だけ保護者もいますから、さまざまな要望や意見がくる。すべての要求に応えたくても実現するのはとてもハードルが高かったんです」

その点、ここ玄界島保育園では、言葉通り“1人1人のペースで”、好きなことに全力で取り組む姿勢をバックアップしている。

しかし、ただ成り行きに任せて自由にさせるのではなく、きちんとしたけじめを持つことが重要なのだということも教えてくれた。

人は人を見て育つ。だから私たちも努力を欠かさない

「うちの保育園では年中以上の子は全員すでに逆上がりができます。年少の子は上の子を見て、負けまいと必死に毎日練習しています(笑)」

兄弟でもそうであるように、下の子は上の子を見てたくさんのことを吸収していく。
それは子ども同士に限ったことではない。
子どもは周りの大人を見て同じように、行動や姿勢を習得していく。

「職員同士でも、逆上がりをどのように教えようかと真剣に議論をします。室内用の鉄棒を購入したり、その子の状況に合わせて園長先生からも、こんなことに次は力を入れてみたら?など僕たち自身が挑戦する機会をアドバイスいただきます。」

数少ない職員に対しての研修も充実している。

「けじめをつけることが大事です。気持ちが入った時だけ好きなだけやる、というのは違う。やりたいと思ったら、どうやったらそれを成し遂げられるか、苦手なものをどう克服していくかを考え、きちんと継続して頑張り続けること。きちんと努力をすること。それは僕ら保育士がまず姿勢として見せなければならないと思っています」

保育園で培ったその力は、今後子どもたちにどう活きてくるか。
彼らの成長がつい楽しみになるような指導がそこにはあった。

人数が少ないからこそ「集団力」を。自分たちで解決する、ということ

現在の園児数は14名。
人数が少なく、集団力が身に付きにくいという側面もある。

「なるべく子どもたち自身で話し合って問題は解決させ、人との“関係性を築く”という力を養っています」

保育士たちは見守り、必要であれば助言をする。

「年中さん同士でトラブルがあれば、自然と彼らは年長さんに相談したりもします」

上下の意識を持ちながらも、年齢に関係なく他人と関われる環境が作られている。
それは園児同士だけでなく、保育士と園児の関係も同様なのだとか。

「子どもたちが先生にお手紙を書いてくれたりしたとき、人数が多いと全員にお返事が書けなかったり。今はそういったこともできるようになって嬉しいです」

16年フェリー通勤を続けている加納先生
悪天候で欠航になっても、園の管理室に寝泊まりができるので働く環境としては申し分ない。

これからもここで子どもたちと一緒にチャレンジを続けたいと、笑顔で締めくくってくれた。

勇気を出した1本の電話。新卒で単身離島へ

「就活をしている時、主任のお話を聞いてこの保育園に惹かれたんです」

そう話すのは、勤務2年目の深町先生。
新卒で玄界島保育園へ就職を決め、単身親元を離れてこの島に渡ってきた。

「この保育園の保育のあり方に感銘を受けて、勇気を出して電話をし、まずは実習させてもらえないかお願いをしました」

実際に勤務し始めてからは、案外すんなりと島の生活に馴染んだ。

「もともと福岡出身ですが、ここでは島全体の住民が挨拶を交わしたり差し入れをしあったり…そういう光景は地元ではなかなか見られなかったので新鮮です。」

大変なことは、スーパーが17時半には閉まってしまうことと、買い物に行きたい日に限ってフェリーが欠航になることだという。
そんなところまで、島ならではです!と笑みを浮かべた。

先生から子どもたちへ。言葉のもつパワーの大きさ

「言葉一つで子どもの行動って変わってくるので、その子の状況に応じてどういった言葉を掛けたらいいかは日々意識しています」

今は小さい子のクラスを担当している深町先生。
年齢が低いほど短期間での心身の成長は著しい。

就職が決まった時に再度保育の現場を俯瞰してみて、これからどんな保育をしていこうか真剣に考えた。

「一人ひとり成長スピードは違うので、どうしたらその子に合った言葉をかけて行動を促せるかを模索しています」

自身もまだ保育士としては駆け出しの段階。

「私自身、もう少し心に余裕をもって保育に取り組まなきゃいけないなと日々反省もしています(笑)まずはそこからですが、今後は歌や踊りなど、私の力が活かせる部分で少しずつ島の保育に貢献していきたいです。」

小中学校ではエアロビクス、高校では和太鼓に取り組んできた。
短大時代にはエアロビでインカレ出場も果たしたという。

「今までにない環境で、他では経験できないことを経験できているありがたみを感じます」

親元や周りの友人と離れ、実は初めてホームシックも経験したという深町先生は、
先輩や子どもたち、島の住民からたくさんのことを吸収し、今日もまた奮闘している。

取材協力

玄界島保育園(社会福祉法人玄界福祉会)

〒819-0205
福岡市西区大字玄界島1262番地
交通アクセス:ベイサイドプレイス博多埠頭 市営渡船 玄界島行き 停留所より徒歩5分
定員:20名
障がい児保育/一時保育/園庭開放 対応可

加納孝郎主任保育士

当保育園で勤務
保育士を経て主任へ就任
今年で当保育園勤続16年目を迎える

深町舞先生

福岡市出身
短大卒業後、新卒で当保育園で勤務を開始
今年で2年目を迎える