保育ニュース
認定こども園、都市部で増えず
2012年8月2日 読売新聞
待機児童解消を目指し導入された認定こども園の設立が、待機児童の多い県内の都市部で進まない。県内には27園あり全国10位(4月現在)だが、さいたま市では1園、川口、朝霞、新座市などではゼロ。設立や補助金の手続きが複雑なことや、認定こども園の担い手と期待される幼稚園で定員が充足していることなどが要因とみられる。(南智佳子)
◇「効果は限定的」
国会では手続きを簡素化するなど、認定こども園を拡充する子育て関連法案が成立する見込みだが、関係者からは「効果は限定的」との声も聞かれる。
さいたま市内で唯一の認定こども園「母の会」(同市浦和区)。同園では保育所と幼稚園が併設され、0~5歳の子供約110人が通う。保育所と幼稚園の距離は約20メートル。日中は別々に過ごしているが、午後4時半になるとどちらかで一緒に過ごし、保護者の迎えを待つ。理事長の真崎みよ子さんは、「幼稚園の子が保育所の子の世話をするなど、年齢の違う子と触れ合うことで子供の世界が広がる」と話す。
真崎さんは「無駄な手続きは省くべきだ」と法案を評価するが、「そもそも幼保一元化に抵抗を感じている幼稚園、保育所関係者は多い」と話す。
◇余裕スペースなし
県子育て支援課は、都市部で認定こども園が増えない大きな理由として、〈1〉手続きが2省庁にまたがっており、煩雑〈2〉幼稚園の定員が充足しており、スペースに余裕がない――の2点を挙げる。
全埼玉私立幼稚園連合会の谷島正敏副会長も「都市部の幼稚園には空き教室がない」と話す。谷島副会長によると、子供の多様化で少人数教育を行っている幼稚園が多く、定員割れしていても教室に余裕はないという。「土地を取得して増設するにも都市部では地価が高い。多額の負債を抱えてまで認定こども園にする園があるだろうか」と疑問視し、「認定こども園が増えるかどうかは、行政がどれだけ財政補助してくれるかによるだろう」と話す。
帝京大学教育学部の村山祐一教授(保育学)の話「子供が少ない地方では認定こども園に移行するところもあるだろうが、都市部の幼稚園にはメリットがない。待機児童対策として、認定こども園は無理がある。保育所を増やした方が効果がある」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20120801-OYT8T01657.htm