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<はたらく>育休明け どう始める(下) 必要とされる努力を【求人ニュース】
2013年3月15日 |中日新聞 CHUNICHI Web
「仕事と家庭生活との両立はいばらの道かもしれないのに、なぜ皆さんは働き続けようと思ったのでしょうか」
二月、損害保険大手の損保ジャパン(東京)が、育児休業中の社員と上司を対象に、名古屋市内で開いたセミナー。外部講師として招かれたキャリアネットワーク(東京)のチーフコンサルタント、安藤博子さんが参加者たちに問い掛けた。
「キャリアや自己実現のため」と手を挙げたのは約四十人中、数人のみ。「社会との接点を持ち、社会貢献をするため」や「収入のため」に多くの手が挙がった。
社員の60%が女性の損保ジャパンは、勤務時間は変えずに出退勤時刻をずらせるシフト勤務制度のほか、二〇〇四年には勤務時間を最短四時間にできる短時間勤務制度を導入するなど、復帰後の支援を充実させてきた。
いずれも小学三年までの子がいると利用でき、昨年度は三百三十人が短時間勤務制度を利用。同社人材開発室ダイバーシティ推進グループの田川園子さんは「制度を利用しやすい環境は整っており、現在は利用するのが普通になっている」と話す。
ただ、制度が充実しているからこそ表面化したのが、女性社員の意識のばらつきだ。会社としては子育てが一段落した後、再びキャリアアップに取り組み、管理職を目指してもらいたい。しかし、現実には昇進より家庭も重視しながら、バランスを取って働きたいと考える女性が多い。
そこで同社は、キャリアアップを目指すタイプと、子育てや家族などを優先させたいタイプを分けて考え、それぞれの働き方で実力を発揮できるように、制度を整えてきた。
セミナーは同社が〇七年から毎年、育児休業中の社員向けに東京や名古屋、大阪など各地で開いている。求められる人材であり続けるために、何が必要かを考える場としている。
安藤さんは「収入に見合うだけの活躍や成果、責任が求められている。会社に貢献するために復職するのです」と説明。「子どもを預けてまで仕事をするなら、やりがいのある仕事をしなければ、子どもに申し訳ないと思いませんか」と語りかけた。
過去のセミナーの参加者からは「復帰にあたり自分に甘さがあることを実感し、会社での行動を考えさせられた」「ワーキングマザーだから現状で良いと考えるのではなく、スキルや意識の向上が必須であると感じた」といった感想が出た。 (稲熊美樹)
◆3カ月前に準備開始 復帰後は優先順位を意識
育休をへて職場復帰するまでに、具体的にいつから何をすればいいのか。キャリアネットワークによると、復帰の三カ月ほど前から職場との連絡を取り合うなど、準備が必要だ=表。
育児休業から復帰し、限られた時間で働いて成果を挙げるには、優先順位を付けて前倒しで仕事をすることが大切。子どもはしょっちゅう熱を出すので、「明日は仕事ができない」というつもりで、仕事に優先順位を付ける。重要かつ緊急の仕事のほか、重要だが急ぎではない仕事をする時間も、意識してつくる。
時間内にできそうにない仕事は早めに同僚や上司に相談したり、仕事の情報を共有。仕事を“見える化”して資料も整理整頓する。急に休んで仕事を代わってもらうとき、できるだけ迷惑を掛けないようにするためだ。いつも同僚に仕事を頼むばかりでは、同僚にも不満がたまる。小さなことでいいので、同僚への心配りも忘れずに。
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