保育園の避難訓練【計画・記録の書き方・報告書・おかしもとは】

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9月1日は防災の日。見直すべき避難訓練

保育園でも毎年の様に実施される「避難訓練」。

文字通り訓練ですから、実際に災害が起こっているわけではありません。現場に立つ先生や園児達も緊張感なく訓練をやらされているといった感じの方が多く見受けられます。

そんな避難訓練にはどういった目的があるのでしょうか?1923年(大正12年)に発生し、10万人以上の死者・行方不明者を出した「関東大震災」にちなんで制定された9月1日の防災の日を前に、今一度考えてみる必要があるのではないでしょうか?

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避難訓練の目的・ねらい

避難訓練とは実際の災害にあった時の対処方法を日頃から知っておく、意識しておくためにあります。実際に被害に合った時にパニックを抑えるための訓練とも言えるでしょう。

多くの保育園では避難訓練の責任者、担当となる先生を毎年決めているはずです。その担当者は、事前に災害の想定、実施時間、避難方法、避難経路などを決め、意義のある避難訓練にしなければいけません。

そもそも保育園における避難訓練には、大きく分けて3つのねらいがあると言われます。

  1. 子どもたちにとって
    安全に避難したり逃げたりするために、保育士の指示にちゃんと従えるようにする。
  1. 保育士にとって
    子どもたちを安全に避難させるために正しい指示を出せるようにする。
  2. 保護者にとって
    子どもたちが家庭で災害に遭遇した時にも、パニックに陥らず慌てないで避難できるようにする。

そして、避難訓練自体の大きなねらいとは、災害という異常事態に慣れておくということです。子どもたちが地震や火事などの危険なことに出会ったときにどうすればいいのかを、前もって知っておくことがとても重要なのではないでしょうか?

避難訓練前の計画が大切

避難訓練を有意義なものにするためには、まずしっかりと事前に計画しておくことが不可欠です。そのために大切なことがあります。

・何を想定するかを決める

避難訓練の対象、つまりどんな災害から避難することを想定するかでその訓練内容が違ってきます。

地震なのか?火災なのか?台風や洪水といった災害なのか?それとも不審者の対策なのか?

何から避難するかを明確に定めて訓練を行えば、実際に事が起こった時に対処しやすくなるはずです。

例えば、地震への備えであれば頭を守るヘルメットや頭巾を用意しておく、火災対策に保育室などに設置した消火器の位置確認や使い方を知っておくなどが具体的な例です。

・計画書、マニュアルの作成

避難訓練を行うにあたって、事前に計画しておくのは当然ですが、その計画をしっかり把握するために、責任者となる職員と担当する職員をあらかじめ決めておくのが大事です。

そのリーダーを中心にどんな災害を想定し、どういった訓練をするのか、どんなものを用意しておくかといった事を記したマニュアルを作成しておくと避難訓練当日もスムーズに進行出来ますし、後々のためにも有用です。

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地震・火事のための訓練

避難訓練は企業や高校・中学校・小学校でも義務付けられていますが、保育園の子供達は、自分で正しく物事を判断できるような年齢では無いため、避難の難易度も上がります。

子供達が頼れるのは先生だけです。保育士の判断一つで結果が大きく変わってくることを強く意識しておかなければいけません。だからこそ、緊張感も無く、目的の無い避難訓練はやってはいけないのです。

また、地震や火事などの災害によって避難方法も違ってきますが、まず子供達の中でやってはいけないと言われる大前提があります。それは、


お=押さない
か=駈けない
し=喋らない
も=戻らない

「お・か・し・も」と言われ、標語の様にもなっていますが、これを園児達に避難するときは徹底させなければいけません。

・地震の場合

日本に住んでいる以上、必ずどこかで遭遇する地震。個人的には、これが一番突発的に発生するからこそ事前の対策が重要な災害だと考えています。

まず、先生はいち早く揺れを察知したら、素早く園児達に机やテーブルの下に身体を隠すように指示し、体の一部が身を隠す物から出てないかを全体を見渡しチェックする必要があります。

避難経路を確保しておくことも重要です。扉を開けておかないといざとなった時に扉が変形して開かないことがあります。また、火は必ず消しガスの元栓も締めておきます。

海の近くに建物がある場合は、もちろんすぐ避難する必要がありますが、建物によっては外に出るより中で待機したほうが安全な場合もあります。これも事前にしっかりシミュレーションしましょう。

・火事の場合

火災が起きた時に重要なのは、まずは火が何処から出ているのかの状況判断です。火元からできるだけ園児を遠ざけなければいけません。避難経路が断たれることの無いように、あり得る火元はすべて洗い出し、状況ごとの避難経路を考えておきましょう。

また、火災では煙を吸引してしまった事で亡くなってしまう場合も多いです。園児達には常日頃からハンカチやタオルを忘れないように持ってくることを徹底させましょう。

万が一火事が起こったときは、ハンカチやタオルで口を覆いながら、できるだけ煙を吸わないように、避難させる必要があります。ハンカチやタオルを水で濡らすと効果的です。

台風(水害)・竜巻のための訓練

台風や竜巻といった自然災害はある程度予想が出来るので、いつ起こるか分からない地震や火災よりも対処がしやすいと言えます。

・台風の場合

台風の影響で警報が発令された場合に、園児を帰宅させれば保育園としては安心ですが、園児がいる状態で近隣の川などが氾濫するなどの事態になったら…という想定で避難訓練をしておくと良いかもしれません。

浸水などに備えて上階に避難する、停電に備えて懐中電灯を用意しておくといったことが重要ですが、危ない場所に近づかないように園児たちにしっかり伝えることも必要です。

・竜巻の場合

最近は竜巻による被害も多くなっています。竜巻注意情報などは発表されますが、どこで発生するかは全くわかりません。万が一保育園に近づいてきた場合に備えて、建物の中心の部屋の窓から離れた場所に避難する、窓はカーテンを引いておくといったことが竜巻の際には有効です。

ディフィンドフューチャー

こちらの東京消防庁のHPに災害が起きた際の対応がまとめられています。事前にチェックしておくとよいでしょう。

不審者に対する訓練

首都圏の保育園では、入園証や保護者として証明するものがなければ、門の中に入れないようになっているところも多いですが、地方の保育園ではそこまでセキュリティーが徹底されているところも少ないです。

・保護者の送り迎えも重要?

なので、保育士の先生は送り迎えの時、保護者の顔をきちんと覚えておく必要があります。何か言動がおかしい、様子がおかしい不審者が現れた時には、決まり文句や合言葉などが園によって決まっています。

不審者が中に入ろうとしてきた時には、複数の先生達で応対する、園内放送をする、そして警察に連絡する等分担して対応し、保育室にいる先生は子供達を連れて避難させることが必要です。

こうした対応は常日頃から、先生達が意識していなければいけません。不審者役を置いて、凶器や武器を持っていた時の対応を訓練するべきです。

保護者が送り迎えで来た時には、きちんと玄関に出て子供を引き渡す。これは、常日頃からの不審者の防犯対策にもなっているのです。

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避難訓練後はしっかりと「反省」を

避難訓練が無事に済んでもそれで終わりではありません。施設によって訓練の回数は違うと思いますが、月に1回など頻繁に行っている保育園ならマニュアルもしっかり出来ていて訓練はスムーズに進むと思います。

しかし、子どもたちの反応はその時によって違い、未満児は意味も分からず言われるまま…といった事もあります。そのためにも避難訓練後には反省会などを開いて修正点などをしっかり確認しておくことが大切です。

具体的なポイントとしては…

  • 計画通りに進行できたか?
  • 避難経路は正しかったか?
  • 備品などは用意できていたか?
  • 誘導はスムーズだったか?
  • 指示連絡は的確だったか?
  • 危険はなかったか?
  • 子どもたちにちゃんと伝わったか

といった事をチェックして、次回の避難訓練にフィードバックすることが大事です。

避難訓練の大切さを説明するには?

避難訓練がとても大切なことはもちろんですが、子どもたちには災害の危険や怖さはなかなか実感できないと思います。

災害の怖さや避難訓練の大切さを子どもたちに教えるにはどうすれば良いのでしょうか?

・絵本やイラスト

防災について書かれた絵本を読み聞かせるのは、楽しく避難訓練に参加してもらう手段としては有効です。いくつか参考になりそうな絵本をご紹介します。

  • じしんのえほん こんなときどうするの?
    作者:国崎信江 福田岩緒

    状況ごとの身の守り方を教えてくれる地震防災絵本。
  • はしれ、上へ! つなみてんでんこ
    作者:指田和子 伊藤秀男
    東日本大震災で津波から逃げのびた「釜石の奇跡」と言われた実話をもとにしたお話。
  • はなちゃんのはやあるきはやあるき
    作者:宇部京子 菅野博子
    こちらも東日本大震災の際のお話で、避難訓練の大切さが伝わる本。

危険さを伝えるには、とにかく写真やイラストで「視覚的に」訴えかけることが重要です。災害の大変さは、理論ではまだ子どもたちは理解できないでしょう。危険さを直感的に理解してもらうことが有効です。

・紙芝居や劇

防災や避難の大切さを、子どもたちにも分かりやすく伝えられるような紙芝居を作って見せたり、簡単な劇にして楽しく学んでもらったりするのもいいですね。

例えば、先生自ら子どもの役をし、日常生活で突然の災害に遭遇する演技をする。そこで大切な先生が助かるには、どうしたらよいのか問いかければ、例え正解は出なくとも子ども達が一生懸命考えるきっかけになるのではないでしょうか?

避難訓練の重要性とは

・東日本大震災から学ぶ

未曾有の大震災となった東日本大震災。

避難訓練は法律で決まっているわけですから、何処の保育園も毎年、毎月やってきたと思いますが、東日本大震災では、考えもしなかった想定以上の地震、そして津波が起こってしまいました。あれだけの大きい津波が来ることを想定して避難訓練をしていた保育園はあまりなかったはずです。

・常に「想定外」の意識を

しかし、事前の計画でもしも、想定外の災害が起きた時の避難方法などを確立できていたら、先生達も迷うことなく避難でき、多くの命が助かっていたのかも知れないのです。

避難訓練はどうしても緊張感がなくなります。大きい震災が起こって初めて、避難訓練の必要性、重要性に気づくのです。それでは遅すぎます。東日本大震災の様な大きい震災が今後起こらないとは言えません。常日頃から意識し、備えておきましょう。

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