「認可保育園」と「認可外保育園」の違いは?「認証」とはどう違うの?

こんにちは!保育士くらぶ編集部です。

保育園には大きく分けると「認可」保育園と「認可外」保育園の2種類があります。(「無認可」は、「認可外」というのが正しい名称です。)

また、東京都内や大阪では「認証」保育園というのもあります。

みなさんはこれらの違いをご存知でしょうか?

今回は「認可保育園」と「無認可保育園」の違い、「認証」とは何かを詳しくご紹介します。双方の違いについて、今一度チェックしてみて下さい。

「認可」保育施設(保育園)とは?

認可保育所とは国の基準をクリアし、各自治体から認可された園のこと

認可保育園とは、児童福祉法に基づいて

  • 国(厚生労働省)が定めた基準(施設の広さや設備、職員数、管理体制など)をクリアした施設で、

かつ、

  • 都道府県知事や政令指定都市、中核市が設置を認可した保育園

の事を言います。
国の基準が大原則ですが、都道府県や自治体ごとにさらに厳しい条件をつけていることもあります。もし保育園を経営しよう、という場合であれば各自治体の定める基準を調べると良いでしょう。

認可の基準

認可基準には定員数や職員数や職員の所有している資格、幼児一人当たりの設備面積など細かい指定があります。

下表は国の求める基準です。ただしこれはあくまでも国の基準であり、実際に認可する都道府県などによってはこれよりも厳しい基準を要求してくることもあります。

対象0歳~小学校入学前の児童(2歳未満1割以上、3歳未満2割以上)
定員60名以上
職員数0歳児おおむね3人につき1人以上
1歳児および2歳児おおむね6人につき1人以上
3歳児おおむね20人につき1人以上
4歳以上児おおむね30人につき1人以上
資格保育士(保健師または看護師の特例あり・1名まで)
また自園調理の場合は調理師
設備乳児室またはほふく室:0歳児および1歳児1人あたり3.3m2
保育室等:2歳児以上1人あたり1.98m2
屋外遊技場:2歳児以上1人あたり3.3m2以上(保育所外の公園等を含む)
給食自園調理または委託(委託の場合は調理師を置かなくても良い)

入所条件

認可保育園への入所は市区町村に申請します
入所要件は各自治体によって違いますが、仕事や環境により保育が困難な状態であると認められ、各家庭を点数化した指数と優先順位を元にした選考を通れば入所できます。
とはいえなかなか認可保育園に入るのは難しく、待機児童が多いのも現状です。

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「認可外保育園」とは?

女の子の表情のイラスト「疑問」

認可外保育園とは認可の基準を満たしていない保育園のこと

一方、「認可外保育園」は、認可保育園以外の施設がこれにあたります。つまり、国の定める基準を満たしていないので「認可外」になるわけです。

ということは、無認可の保育園はダメな保育園、危ない保育園なのでしょうか?いえ、そんなことはありません。むしろ理想の保育園の形を実現させるためにあえて認可を受けないという保育園もあります。

施設の特徴

例えば園庭がない施設は認可されませんので、庭のないマンションの1室駅ビルなどに開設する場合は認可外になってしまいます。

あるいは、夜間保育や24時間保育をしようと思った場合、厚労省・夜間保育所の設置認可等についてによると、認可における夜間保育の開所は原則11時間までと定められているので、認可外になるケースが多いです。ベビーホテルといわれる保育所はその一つです。
(余談ですが、最近では入居すると必ず併設されている保育園に入所できる、というマンションを販売する不動産会社もあるようです。)

認可の保育施設は延長保育や休日保育に対応していなかったり、条件があったりすることもあります。その分、認可外保育園は制限が比較的緩やかで、間口が広いという一面もあります。

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入園申請は各保育園へ。入所条件は認可よりも比較的緩い

認可保育園は各自治体に入所の申請をしますが、認可外保育園は入園(所)したい保育園に出します。

認可保育園は各家庭ごとに点数を出して入園の選考がされ、地域によっては狭き門です。それに比べると認可外保育園は比較的入りやすいことが多く、その保育園によって選考基準が決まっています。

環境の見極めが大切

保育環境ですが、一応、認可外保育園にも厚労省の定める認可外保育施設指導監督基準というものがあるのですが、その実施状況は各園によって異なっています。理想の保育を追求する保育園がある一方、残念なことに環境のあまりよくない保育園も中にはあります

典型的なのは人手不足でしょう。基準を満たしていない保育士の人数でたくさんの子供たちの面倒を見るとなると、体力的にまずしんどいですし、保育中の事故の可能性も高まります。

また、園庭がないといった設備不足も、保育士さんによっては不満になるかもしれません。園庭がない場合は遊ばせるために公園に連れていく必要があります。

もちろん基準に満たない分を補填する取り組みをしていたり、認可にはできない部分を実現していたりする園もあります。各園によって特色が強く出るのが認可外保育園です。

「保育料無償化」により、認可外保育所に通う園児を持つ家庭にも補助が出る

去年の10月から始まった保育料無償化により、認可外保育園では3〜5歳までの園児については月額3.7万円まで無償になります。

ただし無償化の対象になるには、各自治体の「保育の必要性の認定」を受ける必要があります

また、都道府県に届出し、国が定める基準を満たす認可外保育施設のみが無償化の対象施設になります。

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「認可」とは違う、「認証保育園」とは

認証保育園とは

認証保育園とは国の定める認可基準には届かないが、保育園の設置されている自治体が別個定めた基準をクリアしている保育園のことです。各自治体によって呼び方が違い、「認定」と書かれている場合もあります。自治体が独自に基準を設けており、クリアすると助金を交付したりする制度もあります。

基準(例・東京都)

ここでは東京都の認証保育園について説明します。東京都では待機児童削減に向けて認証保育園の取り組みを積極的に行っており、民間企業を含む多様な事業者が保育園を運営しています。

基本は、

  • 0歳児から預かってもらえる
  • 13時間の開所を基本(認可は11時間まで)
  • 都が設置を認証し、保育の実施主体である区市町村とともに指導。
  • 各保育園の情報が公開されており、直接契約できる。
  • 料金の上限が定められており、月220時間以下の利用をした場合の月額は、3歳未満児の場合80,000円、3歳以上児77,000円を超えない料金(給食など諸経費を入れた料金)
  • 都独自の基準を設定し、適切な保育水準を確保
  • A型(駅前基本型)と、B型(小規模・家庭的保育所)の2種類あり、定員数と対象年齢など差がある。

ただしあくまで認可外の中の認証なので、保育料無償化については認可外と同等です。

待機児童と認可をめぐる問題

小規模認可保育園について

2015年の「子ども・子育て支援新制度」により、小規模認可保育園というものができました。これは今まで認可外であった少人数の保育園を認可し、待機児童を少しでも減らそうという動きからできたものです

待機児童で多いのは、幼児数対職員数がどうしても高くなってしまう0〜2歳児です。この小規模認可保育園は原則として0〜2歳まで、定員は6〜19名までと定められており、規模や職員の資格の有無でA型B型C型に分かれています。

「認可」を目指す認可外保育施設への国の支援

待機児童解消に向けて、認可保育所の設置基準を緩めて保育所の開設を増やそうという動きがありますが、現実として保育の質の低下につながる、保育士の給与の問題は何も解決しないという批判もあり、なかなか難しい問題です。

その中で2019年から保育料無償化と共に「子育て安心プラン」の一環として、認可外保育園を「認可」させる支援をはじめました。

これは認可化移行計画中(5年が上限)に認可を目指すというもので、保育士資格の人数によって補助単価が変わります。具体的には認可の基準をクリアするための設備の改修費や移行費、運営費を補助するというものです。

【参考】幼児教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要(抜粋)

「認可」と「認可外」、保育園を選ぶ上でどちらがいいのか

料金と条件

料金については認可保育園の方が安く、また3才からなら保育料無償化により無償になります。一方、認可外の保育園は基本的に国や自治体から補助金が出ていませんので比較的料金が割高になることが多く、保育料無償化に関しても月額の補助額が定められています。

とはいえ先述の通り、認可保育園に入るには各家庭毎の点数をもとに決まるので選考から落ちてしまうことも多く、また入れたとしても必ずしも第一候補の保育園に決まるとは限らないので家から遠い保育園になる可能性もあります。

また延長保育などがあるかも重要なポイントです。認可保育園には延長保育に条件がつけられていることも多いです。認可外は24時間保育や夜間保育を売りにしているところも多いです。必要な方は目をつけている保育園を調べてみましょう、

保育環境を見る

子供達が長時間過ごす上で保育園の設備や環境のチェックはとても重要です。

認可保育園は国や自治体の求める基準をクリアしているので、園庭や保育室などの設備が保証されています。

認可外保育園の場合、基準に満たない設備などを各自の園がいろんな形で補填していることが多く、またそれが園の個性になっています。ただし、それが必ずしも保証されているとは限りませんので入園する前に必ずチェックしておきましょう。

保育士の転職の上でどちらがいいか?

保育士の待遇・年収について

給与明細書のイラスト

最後に、気になる保育士の待遇はどうなのかをご紹介します。国や自治体から補助金の出ていないので小さな組織の認可外保育園の場合、やや給料が低いこともあるようです。とはいえ認可外・認証保育園の場合、その母体が社会福祉法人やNPO法人、株式会社など多様なので、一概にどの園の給料が高いかなどとはいえませんし、福利厚生も園によってまちまちです。

賞与に関してもまちまちですが、公立の保育園(もちろん認可)や認定子ども園はやや金額が多く、福利厚生などの面でも充実していることが多いようです。

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職場環境を見る

認可外保育園に関しては職場環境も園によって特色が出るでしょう。独自のカリキュラムやリトミックなどを行なっているところも多いですし、24時間保育や夜間保育などを行っているところは深夜勤務もあります。

「認可」「認可外」それぞれに特色がああります。入園や転職の際は、見学をして決定を。

いかがでしたでしょうか。認可、認可外にしても、最終的にその保育園によって環境や方針が変わってきますので、入園や就職の際は必ず見学をすることをお勧めします。

また転職に関していえば、マイペースな保育士さんが、認可保育園が合わず無認可の小さな保育園に転職したという例もあるそうなので、自分に合った保育園を見つける上で認可無認可、あるいは認証などの施設の違いを知ることも大切です。

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